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ポルシェ・ミッションRコンセプトへ試乗 1100ps 純EVのケイマンが透ける 後編

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ポルシェ・ミッションRコンセプトへ試乗 1100ps 純EVのケイマンが透ける 後編

非常にリニアなアクセルレスポンス

執筆:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

<span>【画像】ポルシェ・ミッションR 現行の718ケイマンとタイカン ロータスの純EV エヴァイヤも 全75枚</span>

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ポルシェ・ミッションRコンセプトのシートに座り、ステアリングホイールを握り、息を整える。ヘルメット内側のヘッドセットから、無線が飛んでくる。

「アンドリュー、ステアリングホイールのスイッチをポジション1に。準備が整ったら、コースに入ってください」。アクセルペダルを踏み込み、ピットレーンを発進させる。

試乗したコースは狭く、技術も求められるレイアウトだった。最高速度100km/hに制限された条件ではあまり意味のないバンクがあり、路面の起伏も多く、高低差も小さくない。

最初に驚いたのは、かなり車内がうるさいこと。純EVが駆動用モーターで静かに走ると知っていると、なおのこと賑やかに感じる。

コースインすると、すぐにストレートが待っている。アクセルペダルを踏む右足へ力を込める。四輪駆動のシャシーにミシュランのレーシングスリック・タイヤを履いている。トラクション・コントロールやABSがなくても、ホイールスピンはまったくしない。

高いグリップとパワーで、ミッションRは立ち上がり直後から極めて鋭く加速する。途中、どのくらいのスピードに届いたのか意識する余裕すらない。

筆者は、純EVのレーシングカーを運転するのは今回が初めて。即時的なアクセルレスポンスへ慣れるまで少し時間が掛かるのではないかと気にしていたが、無用だった。非常にリニアで、すぐに感覚を掴むことができた。

特徴的なトルクカーブがあるわけでもない。常に、太いトルクが控えている。

コーナリング時は横方向に最大2G

ポルシェ911 RSR用のサスペンションにミシュランのスリックタイヤ、具体的な量は不明ながら、強大なダウンフォースがミッションRを支える。コーナリング時は、横方向に最大2Gの力まで耐えられるという。

リアタイヤはしっかり路面を掴み、スライドさせるには挑発するような操作が必要。だが、フロントタイヤは意外と簡単にラインから外れていく。そんなアンダーステアは、アクセルペダルを戻せばすぐに修正できる。

「前後のバランスがお好みでなければ、レース中でも変えることができますよ」。とカーンが説明する。ステアリングホイールのスイッチで、前後のタイヤへ掛かるトルク割合を変更できる。かなりイイ感じのシステムだ。

とはいえ、クラッシュせずに試乗を終えることの方が優先。運転自体は難しくない。むしろ、かなり運転しやすい。すぐそばにコースバリアが立っている。ぶつけることなく、10周後にピットレーンへ戻ることができた。

筆者は、純EVのスポーツカーがどれほど動的な楽しさを与えてくれるのか、ということへ常に関心を抱いてきた。少なくともミッションRなら、心配はいらなそうだ。

確かに水平対向6気筒エンジンの唸りや、パドルシフトを弾いた瞬間の面白さには及ばないだろう。でも純EVのミッションRにも、一体感や充足感といった運転する魅力が備わっていることを、体験できたと思う。

まだコンセプトカーという段階にあることを考えると、驚くほどの水準といえるだろう。

純EV版のケイマンとも遠くないはず

ポルシェは、完全な空想でコンセプトカーを作ることはない。このミッションRも同じなはず。

2015年に発表されたミッションEは、2019年に発表されたタイカンとどれだけ似ていたか、思い出していただきたい。恐らくこのクルマは、ポルシェが将来的に作るであろう、レーシングカーの姿をある程度は予見していると考えていい。

さらに、ポルシェがケイマンを純EVで作ると決断したのなら、恐らくミッションRとは大きく違わない姿になるだろう。走りも、かけ離れることはないと思う。その決断が下される日は、それほど遠くないのかもしれない。

筆者は、内燃エンジンを載せたクルマを楽しめる現在から離れたくない。でも、もはや選択肢としては選べなさそうだ。

完全に純EV化した未来は、現在と同じくらい楽しいものになるだろうか。それが叶う可能性は高いと、ポルシェがカタチにした純EVスポーツカーの未来像、ミッションRコンセプトを体験して思った。

番外編:ミッションRが四輪駆動のワケ

ミッションRコンセプトのプロジェクト・マネージャーを務めたミヒャエル・ベーア氏へ、後輪駆動ではない理由を訪ねた。車重は1500kgと重くはないが、フロント・モーターを削れば、より軽くなるのではないかと考えたからだ。

その理由は2つあるという。クオリファイ・モードで1100psを解き放つには、トラクションが極めて重要になるということが1つ目。

そしてベーアが続ける。「さらに、後輪駆動ではクルマが重くなります」。思わず聞き直してしまったが、事実だ。

フロント・モーターが減速時に回収する運動エネルギー量は、かなり大きい。全体の40%以上を賄っているという。回生ブレーキで得られる電気が減れば、同じ距離を走るために、バッテリーをそのぶん大きくする必要がある。

駆動用モーターよりバッテリーが重たいことは、ご存知のとおり。結果として後輪駆動のミッションRは、四輪駆動より重くなってしまうのだ。

ちなみに、回生ブレーキと、従来のパッドとディスクで制動する摩擦ブレーキとの制御は見事だった。思い切りブレーキペダルを踏んでも、どこまでが回生ブレーキで、どこから摩擦ブレーキが働いているのか、知覚できないほどだった。

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