EQCを置き換える、新しいGLC EV
メルセデス・ベンツのバッテリーEVが、大きく1歩前進する。現行のEQCを置き換える、GLC EVが約半年後に控えている。これによって、エンジン版のGLCと理想的なペアが完成するだろう。
メルセデス・ベンツを率いるオラ・ケレニウス氏は、バッテリーEVの販売を勢いづけるべく、EQを冠するモデル名でラインナップを展開してきた。しかし今後は、エンジン版との差別化を小さくし、両輪のような体制で市場へ訴求することになる。
つまり、ガソリンとディーゼル、プラグイン・ハイブリッドで構成される現行のGLCの仲間として、電動のGLC EVが加わる、と考えて良い。正式なお披露目は、2025年9月のドイツ・ミュンヘン・モーターショー。会場では花形の1台になるはずだ。
GLC EVが基礎骨格とするのは、新開発のMB.EAプラットフォーム。これはバッテリーEV専用の設計で、2026年に登場予定のCクラスと、Gクラス・ジュニアと呼べるSUVも採用する。コストの削減や、生産の合理化も実現する見込みだ。
さらにGLC EVは、2023年のコンセプトカー、ビジョンEQXXで予告されていた電動パワートレインを実装。eATS 2.0で稼働する、初の量産車でもある。
最も強力なツインモーターの四輪駆動仕様では、490psを発揮。シングルモーターの後輪駆動版では、271psになるという。駆動用バッテリーは、94.5kWhのニッケル・マンガン・コバルト(NMC)。航続距離は650km以上がうたわれる。
電圧800Vのアーキテクチャ ブレーキにも新技術
電動アーキテクチャは、電圧800Vで稼働。急速充電は、最大320kWへ対応する。理想的な条件なら、10分ケーブルをつなぐだけで、260km走れる電気を蓄えられる計算になる。高効率なヒートポンプ式エアコンも、標準装備になる。
同社がワンボックスと呼ぶ、回生ブレーキシステムも新しい。ブレーキペダルは完全なバイワイヤ制御で、制御ユニットが必要な制動力に合わせて、摩擦ブレーキと回生ブレーキのバランスを調整するとのこと。
GLC EVの開発で車両エンジニアリングの責任者を担う、ドミニク・ヴォークト氏は、「ゲームチェンジャー」だと、この技術を説明する。
2015年の登場以来、中型SUVのGLCは同社のベストセラーになってきた。それを次のフェイズへ引き上げる、新しいGLC EVも完成は間近。スウェーデン北部、北極圏に位置するガルティスプーダ峠で、プロトタイプへ試乗する機会をAUTOCARは得られた。
山肌にカーブが連続する道が伸び、ヘアピンや急勾配の区間も多い。路面は基本的に圧雪だが、部分的に凍結もしていた。シャシーには、かなり厳しい条件といえる。
写真をご覧のとおり、ボディは全面ラッピングで偽装。インテリアも、分厚いクロスで覆われていた。ガラスルーフ越しの陽光が、筆者を柔らかく照らす。
車内空間は拡大 滑らかで意欲的な加速
デザインでお伝えできることは限られるが、車内が既存のGLCと異なる雰囲気なことは間違いなさそうだ。むしろ、そのエンジン版がフェイスリフトを受け、ワイドなモニターパネルや最新のインフォテインメント・システムを獲得する可能性は高い。
とはいえ人間工学は、既知のメルセデス・ベンツへ通じるもの。運転姿勢も同様だろう。MB.EAプラットフォームの効用として、ホイールベースは僅かに長く、エンジン版より後席側の空間にはゆとりが生まれている。
荷室は、560Lと広い。フロント側にも、100Lのフランクが設けられる。
スタート地点は、ガルティスプーダ峠の頂上付近。発進させて2kmも過ぎれば、eATS 2.0パワートレインの意欲的な能力を理解できる。四輪駆動システムの反応は高速で、電子制御のアシストも相乗し、トラクションは揺るぎない。
間違いなく滑りやすいコンディションでも、加速力には驚かされる。スタビリティ・コントロールは、運転の邪魔をすることなく、裏方として見事にスムーズな前進を維持してくれる。
ヴォークトの説明では、オペレーティング・システムの刷新で、CPUとネットワークの処理量を大幅に削減できたとのこと。より円滑・迅速に、タイヤへ伝わるパワー調整が可能らしい。実際、GLC EVは圧雪路でスルスルと速度を高めていく。
車重や全高を感じさせないほど機敏な旋回
それ以上に印象的なのが、コーナリング。車重や全高を感じさせないほど、機敏なのだ。ステアリングは適度に軽く、反応は正確。後輪操舵システムも実装され、最大4.5度までリアタイヤは向きを変える。フィードバックが濃く、操る自信を高めてくれる。
カーブの出口付近で凍結していた区間があったが、そこでもまったく動じず。至って安定していた。
クルマの様子を見ながら、徐々に速度域を高めていく。そろそろ限界かな、と感じるところまで加速させても、身のこなしは躍動的。バランスに優れることも明らか。タイヤは、一般的なスタッドレスなのにも関わらず。
サスペンションは、前がダブルウイッシュボーン、後ろが5リンクの構成で、エアスプリング。姿勢制御や乗り心地へ触れるには時期尚早ながら、洗練度は非常に高い。既存のEQCより遥かに優れる、動的能力と精度を宿すことは疑いようがない。
新しいブレーキは、ややペダルの感触が曖昧かもしれない。回生ブレーキの強さは、シフトセレクターの位置で調整可能。物理ブレーキを使わず、急ブレーキをかけた勢いで速度を落とすこともできる。その効率の高さも、特筆すべき点だろう。
新しいGLC EVは、ドイツ・ブレーメンと中国・北京の工場で生産が計画されている。だが、トランプ政権の関税政策により、アメリカ・タスカルーサ工場で生産される可能性もあるだろう。
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