タンクやエスティマが消え、次はヴェルファイアも消滅か?
新型コロナウイルスの騒動に隠れてしまったキライもありますが、2020年の国内自動車市場におけるビッグニュースのひとつが、5月に実施されたトヨタの「販売店統合」でしょう。トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店と販売チャンネルごとに取り扱い車種が異なっていたトヨタですが、5月以降はどのお店でも全ラインナップを購入することが可能になりました。
これによりトヨタのラインナップから販売チャンネルに合わせて存在していた兄弟車を整理する動きが出始めました。また販売チャンネルに合わせて残していたモデルを整理することにもつながっています。前者の例としてわかりやすいのは、プチミニバン・カテゴリーの「タンク」と「ルーミー」です。タンクはトヨペット店とネッツ店、ルーミーはトヨタ店とカローラ店向けのモデルとして用意されていたのですが、すべてのトヨタ車を全店で取り扱うようになったいま、こうした兄弟モデルを残しておく必要はありません。というわけで、ルーミーが残り、タンクが消えることになったのです。
若干タイミングはズレますが、トヨタ店で取り扱っていたLクラスミニバンの「エスティマ」が2019年秋で生産終了となったのも、販売店統合に合わせた対応といえます。統合以前は、トヨタのドル箱といえるLLクラスミニバンの「アルファード」はトヨペット店、「ヴェルファイア」はネッツ店の取り扱いでした。そのためトヨタ店の取り扱いモデルとして「エスティマ」が必要だったのですが、そうした配慮は不要になり、売れるクルマを全店で売っていくという体制に変わったといえます。
その結果、アルファード/ヴェルファイアのような兄弟車においてはメーカー推しのモデルが売れる傾向にあります。実際、2020年11月の販売実績を見ると、アルファード10,109台に対してヴェルファイアは1,241台と明確な差が生まれています(※自販連調べ)。これはアルファード/ヴェルファイアが将来的に統合されたときにアルファードの名前が残るという話が販売現場やユーザーに広まっているためともいえます。リセールバリューを考えると、名前が消滅してしまうモデルを嫌うというユーザー心理は理解できます。
売れているヴォクシーが残りノアが廃止になる、は間違い!?
こうなると気になってくるのが、トヨタのMクラスミニバンでしょう。「ノア」、「ヴォクシー」、「エスクァイア」の3モデルで残るのは、どの名前になるのでしょうか。同様に2020年11月の販売台数でいうと、ヴォクシー6,860台、ノア4,448台、エスクァイア1,257台となっています。エスクァイアが状況的に残ることはないとして、販売データを見る限りはノアよりヴォクシーが優勢に感じますが、一概にそうとはいえないかもしれません。
なぜなら、現時点では「ノア」を残すというトヨタの意思を強く感じるからです。
そもそもノア/ヴォクシーについては5ナンバーサイズの標準ボディと3ナンバーサイズのエアロボディがラインナップされていたわけですが、現時点で両方のボディが残っているのはノアだけです。ヴォクシーはグレード整理によって全長が長く、ボディ幅も1735mmとなる3ナンバーボディのZSグレードだけになっているのです。こうした動きにメーカーの意思があるのは明らかですから、トヨタのMクラスミニバンは、おそらくフルモデルチェンジのタイミングで「ノア」に統合されると予想されるわけです。
思えば、トヨタがMクラスミニバンに参入したときのモデル名は「タウンエースノア/ライトエースノア」という名前でした。モデルの歴史を考えると、「ノア」という名前に統合されるのは妥当です。ノアの方舟に通じる響きやイメージからすると生き残るべくして生き残るといえるのかもしれません。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
※写真1枚目 左:ノア 右:ヴォクシー
※写真2枚目 左:ルーミー 右:タンク
※写真3枚目 左:アルファード 右:ヴェルファイア
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みんなのコメント
メーカーにとっては無駄なコストやオペレーションの一挙解消、ユーザーにとっても最寄・馴染み・たまたま訪問の一拠点から全車種の購入とメンテが可能と良いこと尽くめである一方、社内守旧派や販売店サイドからの大反対や徹底抵抗は必至であり、ふつうに考えたら実行不能であるからである。
日本においては、政府や政治よりも、個別企業の方がよほどリーダーシップや状況改善に優れていることの好例。
業界における反例はもちろん、痛みを伴う改革が一切できず、結局はゴーン・ルノー・内部抗争に明け暮れるアホ幹部らに蹂躙された挙句、再度破綻しそうな日産である。