マツダの主力モデル「CX-3」は、2015年2月27日に発売されたが、2019年11月末までに4度の商品改良を行っている(うち2度は大幅改良)。
しかし、2019年に入ってからは、商品改良を加えたにもかかわらず、その販売状況は芳しいとは言えない状況が続いていた。そこにきての新型車「CX-30」の投入だ。身内に背後から攻撃を受けたような格好となったCX-3は、現在厳しい状況に立たされている。どうやら、ラインナップからの消滅まで検討される状況になっているようだ。
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どうしてこのような状態になったのか? 現在のCX-3の状況と、販売の現場でささやかれている情報を、遠藤徹氏が追った。
文/遠藤徹
写真/編集部
【画像ギャラリー】CX-3とCX-30はどう違う? 気になる内外装を比較する
■CX-30の登場が、その立場を危うくさせた
マツダCX-30が2019年9月20日に登場し、好調な立ち上がりを見せている。ところがこれと引き換えにコンパクトサイズのCX-3が激減している。最近は首都圏のマツダ販売店筋では「CX-3は中途半端で売れなくなっている。どうやら2020年中にモデルの廃止に踏み切るらしい」ということがささやかれ始めている。
CX-30の発売当初、マツダ首脳陣は「新型CX-30は、CX-3とCX-5の中間をカバーする新しいSUVであり、マツダSUVラインアップの中核を担う新型車だ」と高らかに宣言したものだった。
CX-3。マツダ2をベースとした、コンパクトサイズSUV。ライバルであるヴェゼルやC-HRが堅調な売れ行きなのに対して、陰りが深刻化している
CX-30。マツダ3をベースとしたミディアムサイズSUVで、2020年1月には新開発エンジン「SKYACTIV-X」搭載モデルを発売予定
それが、最近のCX-3は月販500台を割り込み、低迷の一途となっている。今年1月以来、10月までの登録推移は1月:1036台、2月:1606台、3月:1946台と1000台ラインを超えまずまずだったが、その後は4月:566台、5月:785台、6月:760台、8月:207台と急落、9月に1387台と一旦回復したが、10月:417台と前年の3分の1以下に落ち込んでいる。消費税引き上げや台風の影響があったといえ、あまりにもマイナス幅が大き過ぎる。
この状況を首都圏にあるマツダ販売店では、「CX-3は215~315万円の価格帯で、トヨタのC-HRやホンダのヴェゼルに対抗させる狙いだった。ところがこれより全長が長く、ほとんど同じクラスのエンジンを搭載したCX-30が発売になったことで、新型車効果もあり、こちらのほうが好調に売れだしたのと引き換えに、CX-3の購入希望が激減している」と実情を打ち明ける。
■迷走するマツダ、翻弄されるCX-3
CX-3は、約5年前の2015年2月27日に発表・発売した。当初は、コンパクトサイズで1.5Lクリーンディーゼルエンジン搭載専用モデルとして売り出し、月販2000台以上と好調な立ち上がりだった。
ところがその後、需要一巡期に入ると売れ行きにブレーキがかかりだしたことで、1.5Lを1.8Lに引き上げ、2Lガソリン車も追加した。こうなるとコンパクトクラスではなく、上級のミディアムサイズの領域もカバーするといった印象で、クラス的に中途半端になり、余計に売れなくなってしまった。
2018年5月17日に大幅改良を行い、新開発の1.8Lディーゼルエンジンを採用したCX-3(写真左手前)。2Lガソリン(写真右奥)は2017年6月に追加された
これに今回、本格的なミディアムサイズでリーズナブルな価格設定の新型CX-30が登場した。パワーユニットは2Lガソリン、1.8Lディーゼル、SKYACTIV-X(2Lガソリン)を搭載。つまり2Lガソリンと1.8Lディーゼルは、CX-3と同じで売りのひとつとなっていて、SKYACTIV-Xが追加されているのが異なっているところ。
このSKYACTIV-X搭載車は、2020年1月下旬発売で、10月度の登録に反映されていない。両モデルの価格帯での違いはあまりないので、購入希望がCX-30にシフトするのは当然ともいえる。
車両本体価格は、CX-3が216万7000~315万1786円に対して、CX-30は239万2500~371万3600円で、その差は22万5500~56万1814円、CX-30のほうが高い。これだけ見ると、コンパクトクラスとミディアムクラスに相当する価格差になっている。
ところが、同じエンジンの売れ筋で比較すると15万円程度の僅差になっている。ボディサイズは、CX-3が全長427×全幅1765×全高1550mmに対して、CX-30は4395×1795×1540mmでありCX-30のほうがひと回り大きい。ホイールベースも長いので、居住性、走行性に優れており、買うならモデルが新しく、質感の高いCX-30を選ぶというのが自然といえる。
最近になってCX-3は特別仕様車を標準車に繰り入れたことでグレード構成は従来の16タイプから12タイプにラインアップを絞っている。これはモデル廃止を見込んだ措置と言えなくもない。逆に、CX-30は33タイプものワイドバリエーションである。どちらも売れ筋は2Lガソリンのプロアクティブとなっている。
マツダのSUVラインアップは、現在CX-3、CX-30、CX-5、CX-8となっている。クラスはそれぞれコンパクト2列シート5人乗り、ミディアム2列シート5人乗り、アッパーミディアム2列シート5人乗り、アッパーミディアム3列シート6~7人乗りとなっている。
搭載するパワーユニットは、CX-3とCX-30は前述のとおりだが、CX-5とCX-8は同じで2.5LNAガソリン、2.5Lガソリンターボ、2.2Lディーゼルターボとなっている。今後の展開は、両モデルとも2.5Lガソリンの「 SKYACTIV-X 」が2021~2022年の世代交代期にラインアップされるはずである。
CX-5、CX-8はマツダ6がベースで、こちらは今後の世代交代で従来のFFベースからFRベースに移行する可能性がある。こうなると、CX-5やCX-8も次世代モデルでFR化を採用するかも知れない。あるいは2.5Lターボの搭載でラグジュアリークラスの新規モデルの投入にこぎつける可能性もある。
コンパクトクラスのCX-3はマツダ2ベースであるから、フルモデルチェンジして直列3気筒1.5L SKYACTIV-Xを搭載して、これを売りにすれば復活の可能性があると思われるが、今のところこうした開発プロジェクトは動いておらず、CX-30に吸収される運命にあるようだ。
■販売の現場が語るCX-3の危機感
●証言:首都圏マツダ店営業担当者
CX-3が当初、1.5Lクリーンディーゼル専用モデルとして登場した当初は、明確なコンセプトで人気が高い滑り出しを見せていた。ところがその後、クリーンディーゼルを1.8Lに引き上げ、2Lガソリンを追加して上級シフトさせ、ミディアムクラスまで引き上げたことで中途半端な印象を受け、販売が頭打ちになった。
これにCX-30が登場し、同じパワーユニットを搭載し、一部コンセプトが重なった。こちらのほうが新しく、新開発のSKYACTIV-Xを搭載したことで話題性もあるので、余計にCX-3の影が薄くなった。このままだと生産中止に追い込まれるのは必至の情勢になっている。
ただ現時点ではメーカーから何の連絡もなく、普通に生産を継続し、どのグレード、ボディカラー、オプションも含め1カ月程度で納車が可能な状況にある。モデルチェンジして、1.5Lクリーンディーゼル中心に戻し、リーズナブルな価格設定をすれば、人気が復活できると思うのだがこれは期待できそうもないようだ。
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