スーパーハイト系の室内空間で使い勝手の良い一台に!
日本カー・オブ・ザ・イヤー2019-2020でスモールモビリティ部門賞を受賞したのが日産デイズと三菱ekクロス/ekワゴン。その日産デイズはハイト系ワゴンだが、デイズルークス(三菱版はekスペース)というスーパーハイト系も存在した。スーパーハイト系はホンダN-BOX、ダイハツ・タント、スズキ・スペーシアが属する、今や日本でもっとも売れている新車のジャンル。新型デイズで軽自動車を初めていちから開発した日産としても、満を持してスーパーハイト系のデイズルークス(ekスペース)をデビューさせようと目論(もくろ)んでいるところだ。
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先代のデイズとデイズルークスの関係からすれば、プラットフォームは共通。そこに両側スライドドアを備えた、よりハイトなボディを乗せてくるのは当然である。室内はスーパーハイト系ならではの広大な空間が広がり、一家に一台のファーストカーにもなりうる使い勝手を備えていることは間違いない。
先代デイズルークスのパッケージ、室内空間をおさらいしておくと、フロントドアは約85度も開き、地上高約35.5cmのサイドシルからの乗降性は、フロントシートが高めにセットされているため、乗り降りはごく自然な姿勢で行えた。シートのかけ心地も、シートサイズがゆったりとしていて、クッション性が良く、なかなか快適。じつは、デイズのフロントシートはスカイラインでも採用されるゼログラビティシートがおごられているのだ。
後席はと言えば、スライドドアの開口部は幅約590mm、高さ約1235mmと広大で、地上高約375mmのワンステップフロアからの乗降は、たとえ荷物を持っていても、子供を抱いていても快適楽々。フロアに対してシートが高めにセットされているので、いすに座るような自然な着座姿勢が取れたのも好印象。
身長172cmの筆者のドライビングポジション背後で、頭上に約290mm、ひざ回りに約330mmものスペースがある、フラットフロアの居住空間も、十分すぎる広さと言っていい。
荷室は260mmスライドする後席最後端位置で、奥行き約240mm。後席を前端までスライドさせれば、奥行きは約480mmに達する。フロア幅は約960mm、天井高も最小で1155mmもあるから、後席のアレンジによって大きな荷物の積載も可能となった(床下収納はなし)。
しかし、ホイールベースは先代デイズの2430mmから新型は2495mmに延長されていることから、デイズルークスも同様となるはずで、つまり、65mmの延長分は、ほとんどが後席ひざまわり空間にあてられると予想でき、後席の前後方向はよりいっそう広々とするに違いない。
もし、ホイールベースの+65mmが、新型デイズルークスの後席にあてられたとすると、筆者のポジションでのひざまわり空間は400mm前後となる。それは、N-BOXの最大450mmに届かないにしても、タントの約355mm、スペーシアの約340mm(すべて筆者のドライビングポジション背後による)を大きくしのぐものと予想できる。ちなみに後席ひざまわり空間約400mmは、トヨタ・ヴォクシー&ノアなどのMクラスボックスミニバンの約350mm平均を大きく上まわる広さなのである。
デイズルークスは全車マイルドハイブリッド仕様になりそうだ
走行面でも、先代はターボが基本……と言えるほど、NAモデルの加速性能は鈍重だった。が、新型デイズでは日産が新開発したNAエンジンが搭載され、上位モデルには、リチウムイオンバッテリーがおごられるマイルドハイブリッドが加わっている(ターボも)。スーパーハイト系の重量増からすれば、新型デイズルークスは全車マイルドハイブリッド仕様になると予想できるのだ。
そのマイルドハイブリッド仕様のNAエンジンは、先代と別物のトルク、加速性能を備え、2名乗車ぐらいなら高速走行も楽々こなす実力だから、CVTの最終減速比を加速方向に持っていけば、スーパーハイト系の車重でも、街乗りメインなら十分に使いこなせると思われる。もちろん、ターボならフル乗車でも余裕たっぷりに走ってくれるはずである。
インテリアもデイズのセンスの良さからすれば、シートファブリックなどオシャレなファブリックが使われ、9インチの大画面インフォテイメントシステムと、メーター内には4.2インチのTFT液晶ディスプレーが採用されることになる。バックモニターが、デジタルルームミラー(マルチアラウンドモニター表示機能付)または、9インチディスプレーに表示できるのも、デイズ譲り。
ゼログラビティシートの新採用によって、長時間の運転、着座でも疲れにくくなることは、新型デイズで経験済み。デイズルークスの前席快適度が飛躍的に向上することは間違いないだろう。
新型デイズルークスへの期待はそれだけじゃない。デイズ同様に、日産自慢の高速道路同一車線運転支援技術のプロパイロットや、緊急通報オペレーターサービスのSOSコール(車載専用通信機器から緊急通報専門会社のオペレーターに接続)などを採用することになり、さらに、日産コネクトナビを装備すれば、超便利で安心なオペレーターサービスも利用でき、まさに常時、つながるクルマとして登場することになる。
新型デイズの安全装備を見れば、デイズルークスに軽自動車としてはぜいたくなサイド&カーテンエアバッグまでもが全グレードに装備されることも確かだろう。
つまり、下手なコンパクトカーより、先進運転支援システム、安全装備ともに進んでいるというわけだ。マイルドハイブリッドによって燃費性能が向上するのも必至で、街乗りから高速走行までをしっかりとこなすスーパーハイト系、インテリジェント&スモールモビリティの究極、と言っていいかもしれない。
王者N-BOX、2019年11月にN-BOXの販売台数を凌いだタントもうかうかしていられない、どころか、コンパクトカーも真っ青な注目の新型車なのである。新型デイズルークスのプロパイロットエディションは、まさにミニセレナというわけだ。
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