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モーターは「ホイール」の中! べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EVへ試乗 低価格化へつながる?

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モーターは「ホイール」の中! べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EVへ試乗 低価格化へつながる?

バッテリーEVの設計にも革命を与える?

クラシックカーのバッテリーEV化、エレクトロモッドは、すべての人が賛同するコンバージョンとはいえない。特徴的なエンジンを失ったクルマは、本来の魂を抜かれたも同然、と考える読者はいらっしゃるだろう。

【画像】モーターは「ホイール」の中! べデオ・ランドローバー・ディフェンダー EV 海外で進むクラシックカーの電動化 全130枚

今回試乗した初代ランドローバー・ディフェンダーも、エレクトロモッドされている。エンジンだけでなく、トランスファーやドライブシャフト、ロッキングデフも取り除かれた。これを従来のモデル名で呼んで良いのか、という疑問が湧いてくる。

ただし、AUTOCARでしばしば取り上げる例とは若干異なる。新しいバッテリーEVの設計にも影響を与える可能性を持つ、現実的で汎用性の高い電動化技術が盛り込まれているからだ。

このディフェンダー 110を仕上げたのは、グレートブリテン島南部、ファーンハムに拠点を置くベデオ・グループ。同社はバッテリーの生産と電動化システムを専門とするベデオ社と、電気モーターを生産するプロティアン・エレクトリック社で構成される。

彼らがデモ車両で試みた技術が、インホイール・モーター。4本それぞれのホイールの内側へ、駆動用モーターが組み込まれている。

メリットは、より緻密に前後左右のパワーを調整できるだけではない。バッテリーEVのアーキテクチャ自体にも、革命をもたらす可能性があるという。

軽量化と小型化、低価格化にもつながる技術

シャシー側へ駆動用モーターを搭載しないことで、アクスルやドライブシャフト、サブフレームなどが不要になる。簡素化されたプラットフォームには、駆動用バッテリーをコンパクトに搭載できる。その結果、全高を抑えることも可能になる。

インホイール・モーターは、バッテリーEVの軽量化と小型化につながる。ひいては、低価格化も実現できるとベデオ・グループは主張する。

グレー・グリーンに塗られたディフェンダー 110が履くのは、スポークの細い18インチ・ホイール。その内側にあるシルバーの塊が駆動用モーターで、インバーターも内蔵するそうだ。

1基当たりの重さは約30kgあり、最高出力は80psで、最大トルクは66.1kg-m。運転しやすいよう、ソフトウエアが50%以下に調整しているというが、0-100km/h加速は10.0秒を切る。最高速度は128km/hがうたわれる。

駆動用バッテリーの容量は75kWhで、従来のドライブトレインが降ろされた空間と、シャシーレールの間へ分割して実装。航続距離は246kmで、急速充電能力は最大50kWへ対応する。

ドライブシャフトやアクスルが省かれた結果、駆動用バッテリーを載せても、車重は大きく増えていないとか。実際どんな印象なのか、試乗させていただいた。

静かでキビキビ 悪路での運転練習に理想的かも

筆者が初代ディフェンダーを運転したのは、だいぶ前だ。ディーゼルエンジンのノイズが、車内へ大きく響いたことを覚えている。現代の技術者なら音振の酷さに呆れるかもしれないが、それもクラシックカーとしての味だった。

エレクトロモッドされたディフェンダー 110は、スタートボタンを押しても極めて静か。重たいクラッチペダルを踏む必要はない。

ハンドブレーキ・レバーは従来のまま。曖昧なステアリングの反応は変わらない。これを失ったら、ディフェンダーらしさは一層薄れるだろう。

試乗は、ファーンハムの市街地からスタート。右足の角度に合わせて、線形的で滑らかにパワーが展開される。キビキビと走れるほど、加速の勢いは鋭い。息が詰まるような、圧倒的なトルクは放たれない。

回生ブレーキは自然。ブレーキペダルを踏まずに止まれる、ワンペダルドライブに対応する。ディフェンダーのカタチをしているが、渋滞に紛れても運転しやすい。

流れが速い、郊外の道でも問題なし。優しい揺れがお尻へ伝わるのを感じながら、記憶と違わない感触のステアリングホイールを回す。

続いてオフロードへ。デモ車両には、テレインレスポンスやドライブモードは備わらない。両手両足で、直接操ることになる。悪路での運転練習に理想的かもしれない。

ホイールの内側へ、モーターが入っている実感はない。比較対象がないから評価しにくいが、ぬかるんだ道をスルスル進んでいく。さほど過酷なルートではなかったものの、難しいことは一切なかった。

さらに魅力的になったと感じる人はいる

電動化されたことで、魅力の一部がなくなったと感じる人はいるだろう。反対に、さらに魅力的になったと感じる人もいるはず。クラシックカーを現代化して、日常的に乗りたいと考える裕福なオーナーは、少なからず存在する。

このディフェンダー 110は、同社が掲げるリボーン・エレクトリック・アイコンと呼ばれるプログラムの、最初のデモ車両。CEOのオスマン・ボイヤー氏は、実際に普段使いしていると話す。子どもの学校への送迎にも活躍している。

ベデオ・グループが、直接クルマを売る計画はない。エレクトロモッドを実施する企業へ、独自の電動パワートレインを提供することを、事業の中心に据えたいそうだ。

それに向けて毎年1台ずつ、デモ車両としてクラシックカーを電動化する計画が立てられている。空冷のポルシェ911も、そこには含まれているらしい。

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