売れ行き好調のサクラ、実際に試乗してみると?
2022年6月に発売された日産「サクラ」は、計画を大きく超える台数の販売を記録するなど、上々の滑り出しを見せています。
2022年8月の軽自動車新車販売台数ランキングでは10位、同年9月も11位にランクインしており、これまでのEVのイメージを覆す人気ぶりです。そんなサクラを実際に試乗する機会を得たのでレポートします。
「プレミアムインテリアパッケージ」はオススメ!
今回試乗したのは、最上級グレードの「G」でボディカラーは「暁 -アカツキ- サンライズカッパー/ブラック」の2トーンです。
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日産の電気自動車「アリア」を彷彿とさせるフロントマスクや、シャープなLEDヘッドライトが近未来感を演出していますが、ボディサイズや全体のシルエットは一般的な軽自動車と大きく変わらないため、親しみやすさも感じます。
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一方の内装は、これまでの軽自動車とは一線を画すプレミアムなものとなっています。
コックピットには、2つのディスプレイが水平方向にレイアウトされた「統合型インターフェースディスプレイ」が先進的かつ機能的な印象を与えているほか、ファブリックとカッパー加飾の組み合わせが上質かつモダンな空間を演出しています。
さらに試乗車には「プレミアムインテリアパッケージ」が装着されており、本革巻きステアリングやインテリアライティングなどが備わっていました。4万4000円のオプションですが、サクラの上質な雰囲気にマッチしているので積極的に選択することをおすすめします。
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航続距離は「100km強」が安全圏
アクセルを踏み込むと、モーターの高トルクを活かしたスムーズな加速をすぐに実感することができます。
最高出力は軽自動車の自主規制を意識した64PSに制限されていますが、最大トルクは一般的な軽自動車のおよそ2倍となる195Nmとなっています。そのため、意図してアクセルを強く踏み込んだ際の加速感はこれまでの軽自動車とは比較になりません。
一方、普通の操作をしている限りはスムーズな動きを見せてくれるため、ガソリン車からの乗り換えでも違和感を覚えることはないでしょう。
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高速道路での走行は、同セグメントの軽自動車と比べ重量があるためどっしりと安定した走りを披露してくれました。「プロパイロット」による運転支援もあり快適なクルージングを楽しめますが、航続距離がどんどん減っていくため、精神衛生上あまり高速道路を使いたくないという気持ちがよぎったのも事実です。
航続距離で言えば、サクラは満充電でおよそ150km走行をすることが可能です。残りの走行可能距離はモニターにわかりやすく表示されるためうっかり電欠してしまうことはないと思われますが、残り30kmを切った頃からアラートが出るため心理的にかなり不安を覚えます。
また、エアコンをONにすると、走行可能距離がおよそ1割程度減少します。そうしたことを考慮すると、一回の充電で走行できるのは100km程度と考えた方が良さそうです。
走行可能距離の表示はかなり正確で、走行環境によって大きく変化することはありませんでした。この点は非常に誠実であると感じました。
ちなみに販売店担当者によると、走行可能距離が0kmになってしまうと「ほんの少し走ったら電欠する」とのことなのでガソリンエンジン車ほどの余力はないようです。あくまで近距離用のクルマと割り切った方が良いでしょう。
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実際に使ってわかったサクラの維持費
筆者の自宅には充電設備が備わっていないため、実際は販売店で充電を行いましたが、自宅で充電を行ったものと仮定してサクラのランニングコストを算出してみます。
今回はおよそ300km走行しましたが、その間の平均電費はおよそ6km/kWhでした。つまり約50kWhの電力を消費した計算となります。
筆者の場合、電気料金はおよそ25円/kWhの契約であるため、50kWh消費した際のコストは約1250円となります。
サクラのベースとなったガソリンエンジン搭載の軽自動車、日産「デイズ」と比較してみましょう。「デイズ(FF車)」のWLTCモード燃費は23.3km/Lですが、実燃費を20km/Lとした場合、300kmの走行で消費するガソリンは15Lとなります。
レギュラーガソリンの価格を160円/Lとすると、300kmの走行にかかるコストは2400円でサクラのおよそ2倍となります。
個々の環境や契約状況によって異なる部分もありますが、例えば、すでに自宅に設置してある太陽光発電で作った電力で充電することができれば、デイズに比べサクラの方が圧倒的にランニングコストを抑えることができます。
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購入時は補助金切れに注意!
一方、サクラを購入する上で注意すべき点も少なくありません。
まず、一般的な軽自動車に比べて車両価格が割高という点が挙げられます。デイズ(ハイウェイスターX プロパイロットエディション・FF)の価格は169万1800円、今回試乗したサクラ(X)の価格は294万300円で、その差はおよそ125万円にもなります。
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国や地方自治体の補助金を利用することで価格差を大幅に埋めることができますが、補助金が振り込まれるまで一時的な持ち出しが発生する上、補助金は予算上限に達するとその年度の申請が締め切られてしまうため、タイミングによっては翌年度の補助金を待つ必要があります。また住んでいる地方自治体によって補助金の額が異なる点にも注意が必要です。
経済産業省は、2022年度第2次補正予算で電気自動車の購入補助金が計上されたことを受け、11月8日以降に新規登録・届出された車両を補助対象とすると発表しましたが、今後補助金そのものが打ち切りとなるリスクもあります。
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自宅に充電器は必須
自宅に充電器がない場合もサクラを購入するのは現実的と言えません。販売店などで都度充電するという方法も考えられますが、サクラの航続距離を考えると少なくとも週に1~2回は充電する必要があるためかなりの手間がかかります。
さらに、充電器が空いていなくて長時間の充電待ちをしなければならない場合もあります。手間と時間を考えると、自宅に充電器は必須と言えるでしょう。
このように、サクラは新しいカテゴリーのクルマであるため、使い方によっては既存の軽自動車と比べデメリットに思えるような部分があることも事実です。
また、執筆時点(2022年11月)でサクラの新車受注は停止されています。半導体をはじめとする部品不足に加え、補助金を意識した駆け込み受注が原因と見られており、受注再開の目処は立っていません。
ただ、これまでの軽自動車らしい使い勝手の良さに加えて、EVならではのトルクフルな走りやランニングコストの安さがサクラ躍進の背景にあることは間違いなく、EV普及への一端を担う存在となることは間違いないでしょう。
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文:ピーコックブルー
写真:日産自動車
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みんなのコメント
いろいろあった初代リーフを満6年所有してましたが、登録車と軽自動車という違いはあるにせよ、10年以上前に出た初代リーフとは大違い。この間の進歩を感じます。
WLTCモードで180kmだから初代リーフ前期型のJC08モード200kmと実質的には同じ。それでも、我が家から以前のリーフと同じルート走ったり同じパターンで買物・食事などの外出に使って帰宅しても電気の減り具合は明らかにリーフより少ない。
エアコン使用、一部は高速に乗って辛めに見て3割減の130kmは大丈夫。もちろん、空っぽになるまで走るのではなく自宅には帰り着かないといけませんからさらに30km差し引いて100km。その範囲なら全く心配ありません。そもそも、そういう使い方が前提の車です。
なお、グレードは最上級のGではなく55万円安いXがお勧め。高速で長距離走る車じゃないのにプロパイロットは不要です。