テコ入れするも販売台数が伸びなかったモデルも
毎年何台もの新型車が登場する裏側で、ひっそりと販売を終了していく車種も存在する。なかには販売終了後も話題になることもなく、記憶から消えかけてしまった車種も残念ながら少なくない。そこで今回はそんなクルマを弔う意味でももう一度思い出してみようではないか。
1)トヨタ・パッソセッテ/ダイハツ・ブーンルミナス
コンパクトカーであるパッソ/ブーンのプラットホームを流用しながらも3列シートで多人数乗車を可能としたパッソセッテ/ブーンルミナス。トヨタとしては2003年に登場し5年が経過していたシエンタ(初代)の後釜として、ダイハツとしては2004年に販売を終了したアトレー7以来久々の3列シート車として、高い期待をもってリリースされた車種だった。
しかし、発売後まもなくスタートした「エコカー減税」にかすりもしなかったため、ファミリーカーとして重要な主婦層の支持を集めることができずに販売台数は大惨敗。一旦生産が終了していたシエンタが再生産されるほどの事態となり、登場から3年と少しという短期間で姿を消すこととなっている。
2)三菱エクリプススパイダー(3代目)
北米市場向けに北米の工場で生産されていた三菱エクリプスだが、初代、2代目ともに左ハンドル仕様のまま、一部日本の法規に対応する改善だけを受けて販売されていたことを覚えている人も多いだろう。初代は「ゴリラ・警視庁捜査第8班」に登場するガルウイング仕様の劇中車として、2代目はワイルドスピードで主人公が序盤に乗るクルマとしても知られている。
しかし、1999年に北米での販売がスタートした3代目は日本に導入されることなく……と思っている人が多いかもしれないが、なぜかモデル末期の2004年10月にオープンモデルのスパイダーだけが正規販売を開始している。こちらも左ハンドルのままなので並行輸入車と思われがちだが、れっきとしたディーラー車だったのだ。
3)日産ルネッサ
「セダンとステーションワゴンとミニバンの真ん中に位置するクルマ」を目指してリリースされたルネッサだったが、それが結局中途半端なポジションとなってしまい、販売台数に繋がらなかった不運なクルマだった。エンジンも2リッター、2.4リッター、そしてシルビアなどでもお馴染みのSR20DET型2リッターターボを用意し、モデル途中ではCVTを追加するなどテコ入れをするも販売台数が上向くことはなかった。
じつはルネッサは電気自動車としても開発がされており、中途半端なフロア高も床下にバッテリーを搭載する前提であった。当時のスペックで一回の充電時間は約5時間、航続距離は230kmとなっており、現在のリーフが存在するのもルネッサEVがあったからこそかもしれない。
4)ホンダ・オルティア
6代目シビックのプラットホームを流用して作られたステーションワゴンであるオルティア。シビックベースながら、2リッター(のちに1.8リッターも追加)エンジンを搭載するなど、ミドルクラスのステーションワゴンとしてリリースされていた。テールゲートに開閉式ガラスハッチを設け、ダブルゲートとしバックウインドウのみ開閉することができる機構を現行セレナに先駆けて採用するなど、ユーティリティにも優れていた。
しかし、すでに当時オデッセイやステップワゴンが登場しており、市場のニーズはミニバンに移りつつあったことや、2000年には同サイズの3列シート車ストリームが登場したことなどもあって、2002年にひっそり生産を終了している。
5)マツダ・ファミリアハッチバック
乗用タイプのファミリアの歴史は1998年から2003年まで生産されていた9代目が最終型となるが(その後アクセラへバトンタッチ)、3ドアハッチバックとなると、ひとつ前の世代の8代目が最終型となる。7代目まではマツダがラリーにチャレンジしていたこともあり、4WDターボというホットモデルが設定されていたが、8代目は一転し、クーペ風の寝かせたリヤゲートを持ったファミリアネオが3ドアハッチバックのポジションを担っていた。
しかしこのファミリアネオ、欧州市場では人気だったものの、実用性を求める日本市場ではクーペ風のフォルムとアクの強いフロントマスクが受け入れられず、登場から2年後にセダン系と同様のフロントマスクを持ち、一般的なリアハッチを持ったオーソドックスなスタイルに大改造。しかし離れた顧客は戻らず、3ドアハッチバックは一足先に終了してしまった。
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