連載/石川真禧照のラグジュアリーカーワールド
アメリカのジープといえば、1950年代の創業以来「日常の中に冒険を」というコンセプトで、優れた悪路走破性や実用性を発揮する、多くのクロスカントリー4WDやSUVを送り出してきたメーカーだ。その歴史の中で、すべての車種がオフロード走破を得意とするSUVだけを生産してきたメーカーは世界でジープだけ。
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その最新モデルの走破性の高さを、オフロードだけでなく、雪上でも試そうと、今年の春に北海道のトマムリゾートで試乗会が行なわれたので参加した。3月上旬だったとはいえ、まだ降雪もあり、一部は砂利道や舗装路面もあるという変化に富んだ試乗コースが用意されていたので、絶好の機会となった。
試乗したのは、ジープ「レネゲード4Xe」。ブランド初のプラグ・イン・ハイブリッドモデルだ。2021年10月に日本上陸。すでにオフロードでの試乗は体験したことがあるのだが、雪上は初めてだ。このクルマの4WDシステムなど走行系のメカニズムだが、パワーユニットは4気筒1.3Lガソリンエンジンと電気モーター2基に6速ATが組み合わされている。ちなみに、ガソリンモデルの「レネゲード」は2.4ℓエンジンに9速ATが組み合わされている。
「4Xe」の1.3ℓガソリンエンジンは前輪を駆動する。後輪は独立したモーター1基を備え、状況に応じてモーターが駆動する。前部に搭載されるモーターは、減速時やアクセルオフの時に路面からの運動エネルギーを回収し、電気に変換して、バッテリーに蓄える回生ブレーキとして機能する。アクセルオフの時の回生は、強さを2段階で調整できる。
リチウムイオンバッテリーは、家庭用200V充電器や公共の充電設備などの外部電源から充電することができる。バッテリー+モーターだけでの最大航続距離はカタログ値で48kmとなっている。ハイブリッドシステムは3モードから選択できる。
「HYBRID」モードは走行状況により自動的にエンジンとモーターを効率よく使い分ける。「ELECTRIC」モードではモーターのみのEV走行。最長46km、最高速は130km/hまで出せる。「E-SAVE」はバッテリーの消費を抑えてエンジンを活用して走行するモード。いざという時にモーター走行できる余力を残しておけるモードだ。このスイッチはセンターパネル下部に設けられている。
シフトレバーのすぐ上にあるダイヤル回転スイッチは「4WD Lock」「4WD Low」「ヒルディセントコントロール」と「ドライブモードスイッチ」を兼ねている。ちなみに、ドライブモードは「Auto」「Snow」「Mud&Sand」「Rock」に加えて、「4Xe」専用のモード「Sport」が追加される。これはスロットルレスポンスとハンドルをシャープにするモードを指す。
「4Xe」には「リミテッド」と「トレイルホーク」があるが、試乗したのは後者。2車はエンジンチューンが異なり、「リミテッド」は191PS、「トレイルホーク」は239PS。燃費はそれぞれ17.3km/ℓと16.0km/ℓ(WLTCモード)となっている。エクステリアはグリルにブルーのワンポイント、「4Xe」のエムブレムがサイドとリアに付けられている。
雪上の試乗は「Auto」「Snow」「HYBRID」の各モードを選択してスタート。走行中に組み合わせを変えてみるが、気温やバッテリー充電量により、組み合わせ不可のモードもあった。179PS、270Nmの1.3ℓエンジン(前輪)と60PS、2250Nmのモーター(後輪)は、1860kgの車重の4WDクロスカントリー車には十分すぎる性能だと思う。実際に、雪上で持て余すようなシーンに何度か遭遇した。
試乗車のタイヤは、ミシュラン「X-ICE 3+」の235/55R17サイズを装着していたが、それでもコントロールを要するシーンがあった。プラグ・イン・ハイブリッドの「4Xe」は、積極的に雪道を楽しむというより、いざという時の心強いパートナーと考えたほうがいいかもしれない。
超低温でのプラグ・イン・ハイブリッドは、いろいろと制約が出てくるからだ。雪道中心に乗る生活なら、2.4ℓガソリンエンジンの「レネゲード」のほうがワイルドかつ快適に楽しめるかもしれない。
■関連情報
https://www.jeep-japan.com/4xe-hybrid/renegade-4xe.html
文/石川真禧照 撮影/萩原文博 動画/吉田海夕
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