1974年にデビュー以来、コンパクトFF車のベンチマークであり続けるフォルクスワーゲン ゴルフ。日本でも間もなく8代目となる新型が発表されるが、その前に初代から現行型までのゴルフを振り返ってみたい。今回は、初代ゴルフのさまざまなバリエーションを紹介しよう。
第1次石油危機から開発されたディーゼルも搭載
近年のゴルフには、ゴルフ バリアントやゴルフ トゥーランなど、ワゴンやSUV系モデルのほか、さまざまな兄弟車が揃っている。それからすると、初代ゴルフのバリエーションは少なかったともいえるが、それでも興味深いモデル展開がなされていた。
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初代ゴルフのバリエーションとして、前回紹介したGTIは最も印象的なものだったが、ゴルフ ディーゼルも重要なモデルだった。その開発の発端は、ゴルフ発売の前年、1973年に起こった第1次石油危機だったといわれる。導入はGTIと同じ1976年のことである。開発が比較的早かったのは、ブロックを共有するガソリンのEA827型1.5Lエンジンが、最初からディーゼルに転用しやすい資質を持っていたからだった。
ゴルフ ディーゼルは、戦前からディーゼル車を設定していたメルセデスは別格として、フランスのプジョーなどとともに、乗用車のディーゼルとしては先駆者的存在だった。エンジンの特性が軽快なことに加え、1979年に第2次石油危機が襲ったこともあり、ランニングコストの安いゴルフ ディーゼルはよく売れた。ゴルフ1だけで100万台以上が生産され、ゴルフ1全体の15%程度を占めた。その後ディーゼルはヨーロッパで普及し、ゴルフもGTIのディーゼル版的なGTDを出すなどしてシェアを伸ばしていった。だが2015年のいわゆる「ディーゼルゲート」を大きな契機に、電動化要請と排ガス規制のゆえにディーゼルそのものが厳しい状況に置かれているのは、時代の流れというものだろう。
いまは電動化に力を注いでいるフォルクスワーゲンだが、じつはゴルフ1でもディーゼル市販化と同じ1976年にEVモデルを製作しており、その後EV技術を磨き続けて、7代目ゴルフではe-ゴルフがカタログモデル化されている。
1979年には、ゴルフ カブリオレ(タイトル写真)が登場している。これはある意味、日本人にもなじみ深いモデルで、1997年まで長く生産されたこともあって、今でも日本の路上で見かけることがある。ゴルフ カブリオレは、ビートル カブリオレに替わる形で導入されたモデルで、先代同様にカルマン社でつくられた。ドイツ流の重厚な幌が特徴で、コンパクトカーでありながらスタイリッシュな雰囲気が持ち味となっている。
ゴルフはドイツ国外でも、派生モデルを生み出した。1978年にフォルクスワーゲンはアメリカのペンシルヴァニア州ウェストモアランドで工場を立ち上げ、ゴルフの現地生産を始めた。もともとフォルクスワーゲンにとってアメリカ市場はビートルを500万台も販売したドル箱となっていたので、その後継であるゴルフも当然のようにアメリカに導入された。
ただ、ゴルフはビートルのようには売れなかった。大きな理由は、1970年代頃からアメリカ市場を席巻し始めた日本車の存在である。当時フォルクスワーゲンはアメリカ市場でしっかり生き残っていた唯一のヨーロッパ製大衆車といってよかったが、残念ながらゴルフ1の時代からは、苦戦をしいられることになるのだった。
アメリカでのゴルフは、現地生産モデルについては、独自に「ラビット」という名前が与えられた。アメリカらしい親しみやすいポップな名前であるが、ドイツ製品であるフォルクスワーゲンに求められるイメージにふさわしいかというと、日本人の感覚としても少し首をかしげたくなるもので、2代目モデルからは、「うさぎ」をやめて通常のゴルフに統一された。
ちなみに「ゴルフ」という車名は、北アメリカからヨーロッパへと大西洋上を流れるメキシコ湾流(ドイツ語でGolfstrom)からとったもので、風をテーマにした同時期のシロッコやパサートと同系統のネーミングである。ただし球技のゴルフという解釈もメーカーは否定しておらず、ゴルフのあとに出たポロやダービーはそれと同系統のネーミングである。よく知られるとおり、ゴルフ1のシフトノブはゴルフボール型となっていた。
ドイツ国外の独自名称のゴルフとしては、メキシコのカリブ(Caribe)もあったが、ユニークなのが南アフリカのシティ(Citi)。ゴルフ1は南アフリカでも現地生産していたが、1983年にモデルチェンジしたゴルフ2がやや大型化したので、現地市場で必要とされるベーシックモデルとしてゴルフ1の生産も継続。その際、区別のために「シティ ゴルフ」という名称にした。シティは2009年まで生産が続き、ドイツ本国で1983年に生産を終えたときまでに、ゴルフ1の累計生産は678万50台とされているが、このシティまで含めると、総計では715万台以上に達していると思われる。(文:武田 隆)
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