現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 良く出来たスポーツカーは季節も道も選ばない──新型日産フェアレディZ試乗記

ここから本文です

良く出来たスポーツカーは季節も道も選ばない──新型日産フェアレディZ試乗記

掲載 10
良く出来たスポーツカーは季節も道も選ばない──新型日産フェアレディZ試乗記

フルモデルチェンジした日産の「フェアレディZ」を、小川フミオが氷上でテストドライブ。意外な面白さとは?

意外なほどよく走る

愛車の履歴書──Vol14. 岸谷五朗さん(前編)

日産の新型フェアレディZは、グランドツアラーとしても、すぐれた性能を発揮する。遠出の先には雪国も……なんてこともありそう。そんなとき、新型フェアレディZはどうなるのか?

2023年1月の下旬。大寒波が日本列島を襲ったその日に、長野県・立科町の女神湖で、新型フェアレディZでもって氷上を走る機会にめぐまれた。

新型フェアレディZは298kWの最高出力と、475Nmの最大トルクを誇る2997ccV型6気筒ガソリンターボエンジンに、後輪駆動方式を組み合わせる。それだけだと、滑りやすい路面はあまり得意でないだろうなぁ、と、多くの人は予想するだろう。

凍結湖である女神湖を使って、ツルツルに凍った路面を、フェアレディZで走るというのは、かなり無謀な試みかもしれない。

冬の旅に出て、もし、眼の前の路上が積雪あるいは凍結していたら……たいてい、そこでUターンするのではないだろうか。

もちろん君子あやうきに近寄らず、というのは正しい行為であるけれど、それではすまない場合だってある。

新型フェアレディZは、ステアリングの正確さと、ロールを抑えた足まわりとで、ファントゥドライブなクルマだ。乾いた路面では、なんて楽しいんだろう! と、ドライブが楽しめるのだけれど、滑りやすい路面でも意外なほどよく走れた。スタッドレスタイヤを装着していた車両は、氷と雪がまだら模様をつくるコースで、楽しい思いをさせてくれた。

乗りはじめのときだけ、駆動をうけもつ後輪へどれだけトルクをかけていいか、わからない。結果、最初は駆動力に対して車輪のグリップが負けて後輪が空転したり、前輪が滑って、意図する方向に進まなかったり、ということはあった。

でも比較的短時間に、滑らないで走らせるため、アクセルペダルやブレーキペダルの踏みこみ具合や、適切な操舵角などがからだでわかってくる。

むしろ、新型フェアレディZは慣れるのが早いクルマといえるかもしれない。

上記のように、最大トルクはかなり太めの475Nm。それがエンジン回転でいうと、1600から5600rpmとかなり広い範囲で得られる。

パワーをかけるとき、アクセルペダルの踏み具合で、微妙な調整ができる。それで車体の動きを感じながら、細かいアクセルワークがおこなうのが、だんだん楽しくなってくるのだ。

女神湖の氷上のように、摩擦係数がかなり低い路面では、車輪がグリップしたり滑ったりを繰り返すため、後輪駆動の新型フェアレディZでは、思ったほど速度は出しにくい。

ちなみに最高出力417kW、最大トルク637Nmを発揮する「NISSAN GT-R」は、4WDだし、優れたトラクションコントロールシステムをそなえている。そのため、滑りやすい路面でも、スタッドレスタイヤを履いていれば、かなり安定して速い。

新型フェアレディZはNISSAN GT-Rよりシンプルな構造なので(そこがいいところだけれど)、電子制御は限定的だ。そういえば、ポルシェ「911」も、リアエンジン+後輪駆動しかなかった、いわゆるタイプ930の時代も、雪道だから……と、気後れすることはないと謳っていたのを思い出した。意外なほど安心して走れたのだ。

グランドツアラー的な性格をそなえた(よくできた)スポーツカーは、季節も道を選ばない、というのは、今回のフェアレディZでも再確認できたと思う。別に高速で走る必要はない。安心して、確実に走れることが、なにより肝要だ。

そういえば、かつて英国でスポーツカーを作っていたMGというメーカーは、有名なスローガン「Safety Fast!」を掲げていたのを思い出した。MGは4輪にしっかり効くブレーキをそなえていたから安心して速く走れることを喧伝していた。

安心のうえに速さがある、それはいまもおなじであることを今回の試乗で再認識した。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)

こんな記事も読まれています

エンブレムが立ち上がった! メルセデスベンツ『EQS』が「電気自動車のSクラス」らしく進化 1535万円から
エンブレムが立ち上がった! メルセデスベンツ『EQS』が「電気自動車のSクラス」らしく進化 1535万円から
レスポンス
4連覇達成のフェルスタッペン、レッドブル離脱は考えていたのか? 内紛とライバル猛追に苦しんだ2024年を回顧
4連覇達成のフェルスタッペン、レッドブル離脱は考えていたのか? 内紛とライバル猛追に苦しんだ2024年を回顧
motorsport.com 日本版
もう“永遠の2番手”じゃない。ヌービル、悲願のWRC初タイトルは「諦めず頑張り続けたご褒美。残る全てはオマケだ!」
もう“永遠の2番手”じゃない。ヌービル、悲願のWRC初タイトルは「諦めず頑張り続けたご褒美。残る全てはオマケだ!」
motorsport.com 日本版
「くっそかっこいいやん!」トライアンフの新型ミドルアドベンチャー登場にSNSは好感触
「くっそかっこいいやん!」トライアンフの新型ミドルアドベンチャー登場にSNSは好感触
レスポンス
「横で積む」それとも「縦に置く」? 知らないドライバーも多数! 外した「夏タイヤ」の「正しい積み方」正解はどっち!?
「横で積む」それとも「縦に置く」? 知らないドライバーも多数! 外した「夏タイヤ」の「正しい積み方」正解はどっち!?
くるまのニュース
メルセデス・ベンツ「Gクラス」の電動仕様「G580」のスゴさとは? 戦車みたいに“その場”で旋回! BEV化にて舗装路も悪路も「走りが格上」に
メルセデス・ベンツ「Gクラス」の電動仕様「G580」のスゴさとは? 戦車みたいに“その場”で旋回! BEV化にて舗装路も悪路も「走りが格上」に
VAGUE
初めてのスポーツバイクにオススメ 『境川サイクリングロード』を走ってみた
初めてのスポーツバイクにオススメ 『境川サイクリングロード』を走ってみた
バイクのニュース
サインツ予選2番手「マクラーレンに勝ってタイトルをつかむため、最大限のポイントを獲得する」フェラーリ/F1第22戦
サインツ予選2番手「マクラーレンに勝ってタイトルをつかむため、最大限のポイントを獲得する」フェラーリ/F1第22戦
AUTOSPORT web
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
Auto Messe Web
【カワサキ×IXON】初コラボでジャケットを設定!2024秋冬から販売中!緑がチラチラ、かっこいい!  
【カワサキ×IXON】初コラボでジャケットを設定!2024秋冬から販売中!緑がチラチラ、かっこいい!  
モーサイ
残す? それともクビ? レッドブル、ラスベガスでも大苦戦セルジオ・ペレス処遇を最終戦後の会議で決定へ
残す? それともクビ? レッドブル、ラスベガスでも大苦戦セルジオ・ペレス処遇を最終戦後の会議で決定へ
motorsport.com 日本版
4K映像 × EIS手ブレ補正機能搭載のバイク用ドライブレコーダー「AKY-710Pro」の予約販売が12月末スタート!
4K映像 × EIS手ブレ補正機能搭載のバイク用ドライブレコーダー「AKY-710Pro」の予約販売が12月末スタート!
バイクブロス
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開
悲願の「全固体電池」が実現間近! ホンダが2020年代後半の量産開始を目標にしたパイロットラインを初公開
THE EV TIMES
ホンダ『N-BOX JOY』の走りを変える! ブリッツの「スロコン」「スマスロ」が登場
ホンダ『N-BOX JOY』の走りを変える! ブリッツの「スロコン」「スマスロ」が登場
レスポンス
「えっ…ホント!?」マイ自転車に取り付ければ“電動アシスト化”! フル充電で約50kg走行する「P.Wheel」って何?
「えっ…ホント!?」マイ自転車に取り付ければ“電動アシスト化”! フル充電で約50kg走行する「P.Wheel」って何?
VAGUE
究極の新型「爆速ラグジュアリーSUV」実車公開! 史上最もパワフルな「新型ディフェンダーオクタ」が置かれたイベントとは
究極の新型「爆速ラグジュアリーSUV」実車公開! 史上最もパワフルな「新型ディフェンダーオクタ」が置かれたイベントとは
くるまのニュース
茨城県唯一の本格的石垣城砦「笠間城」に昂る!
茨城県唯一の本格的石垣城砦「笠間城」に昂る!
バイクのニュース
全長3.4m切り! ダイハツ「車中泊“特化型”軽バン」がスゴい! 超デカい2段ベッド×ちょうどいい感じの「シンプル仕様」! カスタムセレクト「コンパクトAS」どんなモデル?
全長3.4m切り! ダイハツ「車中泊“特化型”軽バン」がスゴい! 超デカい2段ベッド×ちょうどいい感じの「シンプル仕様」! カスタムセレクト「コンパクトAS」どんなモデル?
くるまのニュース

みんなのコメント

10件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索
フェアレディZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村