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噂のポルシェ製フルEV、タイカンを国内初試乗! 異次元の加速性能をレポートする

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噂のポルシェ製フルEV、タイカンを国内初試乗! 異次元の加速性能をレポートする

Porsche Taycan

ポルシェ タイカン

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EVはポルシェの主役たりえるか

ポルシェ初のフルEVであるタイカンが、ついに日本に上陸した。60年以上もの間、常に世界のスポーツカー界をリードし続けたポルシェは、4ドアクーペのEVをどのようなクルマに仕上げたのか。ポルシェの未来が込められた1台を試す。

「すべての操作は極めて自然な感覚。ポルシェの走り方はEVでも同じだ」

2019年の秋に正式発表されたタイカンだが、その時点で年間の販売予定台数の2万台を遥かに超える3万1000台のオーダーが入っていたという。そして驚くのは、そのおよそ半数が既存のポルシェオーナーではないという事実だ。新たなジャンルのクルマを登場させ、新たな顧客を獲得していく。つまりこれはカイエンがポルシェにもたらした効果とまったく同じではないか。2002年に初のSUV、そして2019年に初のEV。時流を読んだ商品戦略と言えばその通りだが、それもつまりはユーザーの期待に応えるプロダクトを提供する力があるからである。既に多くのハイブリッドを生み出しているポルシェだが、このタイカンから始まるEVシリーズのために、60億ユーロを投資して新たな工場も建設中だ。ポルシェのこれからのビジネス戦略の主役を担うのが、EVなのである。

既に何度か実物を見てはいたが、初めて日本の路上で見るとタイカンは想像以上にスタイリッシュだ。今まではパナメーラと似ているな、という印象だったが、それは誤りだった。特に低く落とし込まれたフロントノーズは特徴的で、このクラスの他の4ドアモデルとは明らかに異なる佇まいだ。なるほど、エンジンを載せる必要がないとデザインの自由度は飛躍的に高まるのだな、ということがよくわかる。

低いボンネットに対して盛り上がったフロントフェンダーはまるで911のようで、そこに埋め込まれた4本の爪を持つ薄いヘッドライトはタイカンの外観上の大きなポイントのひとつ。ルーフからリヤエンドにかけてのラインも911を彷彿とさせるもので、ポルシェファミリーであることを全身でアピールする。

「コクピットの眼前に広がるのは新世代ポルシェの風景だ」

やはり911と同様のポップアップ式ドアハンドルを引いて乗り込むと、そこは新世代ポルシェの風景だ。16.8インチのTFTによるメーターはポルシェ初のフルデジタルで、室内に残る針の計器はスポーツクロノのみである。ただ水平基調のダッシュパネルに乗る楕円形のメーターパネル、その中のメーターも5つの丸を基本としていたりと、随所にポルシェらしさを感じさせてくれる。試乗車はオプションのパッセンジャーディスプレイも装備されていたのでインパネはTFTの画面だらけ。すべての機能と操作を覚えるのは1日ではとても無理そうだ。

前席は十分な広さがあるが、後席に座ってみると、やはり広さはそれなりだ。ホイールベースが2900mmもあり、後席の床にはバッテリーを置かずにスペースを確保しているので足元はともかく、さすがに全高がパナメーラよりも44mmも低いと頭上がタイトだ。試乗車は標準の4人乗りだったが、オプションの5人乗りを選択しても中央席に座るのは遠慮したくなるだろう。まずはポルシェのイメージに合わせた4ドアクーペでEVを発売し、実用性を重視する人には遅れて登場するタイカン・クロストゥーリスモを、というのがポルシェの戦略なのだろう。

「キーを持って乗り込んだ時点でシステムは作動する」

運転席に座り、いざエンジン、ではなくシステム起動を、と思ったら、既に電源がONになっている。どうやらキーを持って乗り込んだ時点でシステムは作動するようで、これはテスラと同じだ。そして次はシフトレバーが見当たらない。なんとメーターの左下にあった。ここはドライバーからは死角になる場所なので、初めて乗る人は必ず戸惑うはず。ちなみにシステムOFFのスイッチはメーターの右下にある。

タイカンには3つのグレードがあり、今回試乗したのは最もベーシックな4S。さらにターボ、ターボSとあり、パワーとトルクは4Sが530ps/640Nm、ターボが680ps/850Nm、そしてターボSが761ps/1050Nmとなっている。もちろんターボと言ってもタービンは付いていないのだが、このグレード呼称は確かに分かりやすい。ターボなどの複雑な機構に頼らなくても出力差をつけやすいのも、EVのメリットだ。

「まるで外界から隔絶されて移動しているような気分だ」

ベーシックとはいえ、530ps/640Nmはさすがに力強い。2140kgという大型SUV並みの質量が、氷上で滑るかのごとくスムーズに移動する。驚くのはその静かさだ。EVだから当然なのだが、タイヤから発生するノイズまでほぼ抑え込まれているので、まるで外界から隔絶されて移動しているような気分だ。

アクセルやブレーキのフィール、ステアリングの感覚などに不自然さはまったくなく、従来のポルシェ車を扱っているのと同じような気分で運転できる。ブレーキを踏むとメーター内の回生充電を示すグラフがスーッと伸びるが、最後に停止するまでペダルタッチに違和感はなかった。アクセルも普通に踏んでいる限りでは慣れ親しんだガソリン車のような加速感で、アクセルOFF時のエンジン(?)ブレーキも極めて自然だ。

逆に言えば、あらゆる意味でEVであることをことさらに主張しない、とも言える。例えば他のEVで採用されているワンペダルドライブはできないし、回生量を強めて減速する、というモードもない。ポルシェの走り(走り方)はEVになっても変わるものではない、というメッセージを強く感じることができた。

「強烈な加速は異次元レベル──もはや体がついていけないほど」

高速道路に乗り、速度を上げてみる。100km/hくらいまではあっという間だが、強烈なのはその加速度だ。強めにアクセルを踏んだ時の瞬発力は、まさに瞬間移動。背中がシートに押しつけられる、というよりも内臓が後ろに移動するような感じで、正直体がついていかない、と思うほど。4Sでこれなら、ターボやターボSはどうなってしまうのか。少なくとも動力性能だけなら、ボクは4Sで十分だ。

2トンを超える重量ながら、重心高は911よりも低い、というだけに、ステアリングを切った際の反応も素晴らしい。路面に張り付くようにスパッと向きを変え、サスペンションは舐めるように路面に追従してくれる。フロアまわりの剛性の高さは運転していても十分に感じられ、それが高速域での安定をもたらしている。

ただシフトダウンできないので、減速はすべてフットブレーキとなる。PDKにもシフトパドルがあるのだから、回生量を増やして減速できるパドルは欲しいな、と感じた。そして試乗車にはオプションのエレクトリックスポーツサウンドが装備されていたが、モーター音をサンプリングしてスポーティに仕上げた、というその音はちょっと微妙な感じで、途中からはOFFにしてしまった。EVであえて人工的なサウンドを出すことについては、好みが分かれるところだろう。

「その静粛性、快適性は従来のポルシェ車を遥かに上回る」

都内から高速道路までを走った結果分かったことは、タイカンはポルシェの中でも素晴らしいスポーツ性能を持っている、ということだった。加えてその静粛性、快適性は従来のポルシェ車を遥かに上回る。4Sで約1450万円という価格も、十分に魅力的だ。あとは日本では150kWとなるポルシェ ターボチャージャーをどれくらい設置できるか。

「待ってろ、テスラ」タイカンからは、ツッフェンハウゼンのそんな思いが聞こえてくるようだ。

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/篠原晃一(Koichi SHINOHARA)

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ タイカン4S

ボディサイズ:全長4963×全幅1966×全高1379mm
ホイールベース:2900mm
車両重量:2140kg
モーター:永久同期式×2
最高出力:390kW(530ps)
最大トルク:640Nm(64.2kgm)
トランスミッション:前1速 後2速
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前225/55R19(8J) 後275/45R19(10J)
0-100km/h加速:4.0秒
最高速度:250km/h
価格:1448万1000円

【問い合わせ】

ポルシェカスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911

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みんなのコメント

2件
  • ベンベ8シリ、グランクーペには太刀打ち出来ない。
    やっぱクルマはベンベに限るよね!
  • 見た目で後席が狭いのが分かっていたので、トゥーリズモに期待です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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