■新型プリウス…HEVの実力はいかに
2022年11月の世界初公開以来、大きな反響の5代目「プリウス」。
【画像】これがプリウスなのか…? カッコよさ増した! 赤ボディの新型プリウスを見る!(35枚)
2023年1月10日にハイブリッド車(HEV)が正式発売されましたが、すでに2023年の枠が埋まったという話も聞こえてきます。
そんな好調の新型プリウスには、どのような特徴があるのでしょうか。
プリウスは5代目でその立ち位置を少し変えました。
12代目「カローラシリーズ」がトヨタのCセグメントモデルのスタンダードになったことで、プリウスはその上級版かつスペシャリティ方向にシフト。
この辺りは最新のトヨタ車共通の思想「各々のモデルの“個性”を明確にする」という考え方です。
そんな新型プリウスのハイブリッド車のサーキット試乗は以前におこないましたが、今回は公道試乗です。
サーキットでは日常を超えた領域で基本素性の良さを実感しましたが、日常ではどうなのでしょうか。
今回は5代目の“本命”といわれる2リッターモデルのFF/E-Fourを試しました。
パワートレインはサーキット以上に力強さを実感しました。
一般道ではアクセルを踏んで瞬時にスッと走り出す俊敏さ、高速は力強さが衰えない伸びのある加速と、要するに全域で力強いのです。
日常域では「ヨッコラショ」と加速、高速ではエンジン音だけ唸り加速がリンクしない先代とは別物です。
燃費は簡易計測ですが意識せずに普通に走らせても20km/Lを超えは余裕です。
動力性能があるので無駄なアクセル操作も減るので、実用燃費は従来モデルよりも高いかもしれません。
走行中の静粛性も格段にアップ、それもエンジン音だけでなく風切り音やフロアからの振動などクルマ全体で静かになっています。
ちなみに中・高周波を抑えて低音を強調したエンジン音には賛否があるようですが、筆者は濁音の多い音質のダイナミックフォースエンジンの中では雑味が抑えられており、サウンドと呼んでもいいかなと。
フットワークはカローラと同じく一連のクルマの動きに連続性のある自然で素直なハンドリングですが、少しだけスポーティなキャラクターが与えられています。
FF/E-Four共にステアリングを切るとスッとノーズがインを向き、低重心と低い全高を活かした路面に張り付くようなライントレース性と安心感の高いコーナリングを実感。
高速道路ではFF/E-Four共にCセグメントのモデルとは思えないほどドッシリとした直進安定性が備えられています。
これは低重心、ワイド&ローの基本素性の良さに加えて、PDAの機能の一つ「車線内走行時常時操舵支援」もサポート。
この機能はステアリングの反力を変化させることで不要な操作の抑制や操作遅れを防止、スムーズな走行をサポートする機能で、直進時の「座りの良さ」と操舵時の「滑らかさ」を両立。このデバイスはほかのモデルにも水平展開してほしいです。
ちなみに駆動方式で乗り味は若干異なります。FFはクルマの軽さを活かし、クルマの動きは俊敏でスポーティモデルに足を踏み入れている印象なのに対して、E-Fourはクルマの動きはFFより穏やかなのと重さがグランドツアラーらしい余裕や安心を生んでいます。
ちなみにE-Fourはリアモーターをトラクションだけでなく曲がるにも活用しています。
具体的には旋回時に駆動力制御をおこなうことで舵角の少なさやより四輪で曲がる感覚などにより、「より安定」、「より楽」に走ることが可能になっています。
これまでトヨタのE-Fourは低μ路でトラクションをサポートするシステムでしたが、最新のE-Fourは曲がるために活用。
つまり、プリウスのE-Fourは舗装路でも積極的に選びたくなる4WDです。
快適性は先代よりレベルアップしています。19インチを履いているのを忘れる柔らかさを持っていますが、フワフワした柔らかさではなくカチッとした柔らかさです。
加えて、乗員を揺らさない、つまりバネ上のフラット感はトヨタ車のなかでトップレベルかもしれません。
こちらもハンドリングと同じように駆動方式で若干性格が異なり、FFはスポーティモデルのような張りのある乗り心地でコツコツ感は若干多め。
E-Fourはグランドツアラーを彷彿とさせるシットリした足の動きで細かい入力まで上手に吸収してくれる乗り心地です。
総じていえば、キビキビ系のFF、ゆったり系のE-Fourですが、正直どちらを選ぶか悩みどころです。
■これは…次世代パフォーマンスモデル!? PHEVの実力はいかに
さらにユーザーを悩ます1台が遅れて登場するプラグインハイブリッド車(PHEV)です。
今回プロトタイプに少しだけ試乗ができました。
ナンバーが付いていないため袖ヶ浦フォレストレースウェイの走行ですが、MAX80km/hと一般走行を想定しての走行パターンです。
エクステリアは専用デザインのアルミホイールやテールランプの色、パンパーの色。
インテリアはシフト周りにレイアウトされるEV/HEVモード切替スイッチくらいで、HEVとほぼ同じ。
新型でのPHEVの位置づけは「特別なモデル」から「プリウスの上級グレード」というわけです。
今回はメカニズムに関する詳細はまだ未公表ですが、パワートレインは2リッター+THSIIですが、駆動用モーターを113psから164psに高出力化されており、システム出力はプリウス至上最強となる232psを発揮。
ちなみに先代はモーター出力が低かった苦肉の策としてEVモード時に駆動用モーターに加えて発電用モーターも駆動に使う「デュアルモータードライブ」を採用していましたが、新型は高出力モーターを搭載しているのでその必要がないので未採用です。
バッテリーは先代の8.8kWhから13.8kWhで航続距離は先代の50%以上と発表されていますが、先代のEV航続距離(68.2km)から推測すると100km以上なのは間違いないです。
つまり、日常走行はほぼEVとして使えるというわけです。
フットワーク系はHEVに対して約100kgの重量アップに対応するために、サスペンションのセットはPHEV用に最適化されています。
試乗が僅か2周、1周目はEVモードで走行します。
HEVよりもアクセルを踏んだ際のレスポンスや電動化ならではのトルクの立ち上がり、滑らかなフィールは実感しますが、電気自動車に多い「内燃機関とは違うでしょ!」といったモリモリ湧き出るドーピング的な力強さではなく、あくまでもジェントルな走行フィールです。
先代よりも格段に引き上げられた静粛性から、室内は下手な電気自動車よりも静かかもしれません。
2周目はHEVモードで走ります。EVモードはある意味想定内でしたが、アクセルをグッと踏むと思わず「速っ!!」と声を出してしまうくらいの力強い加速でダッシュ。
0-100km/h加速は6.7秒で「GR86」のそれが6.3秒と聞くとその凄さが解るでしょう。ちなみに先代は10秒くらいだそうです。
ちなみにアクセル全開時は低音が効いたサウンドが響きますが、加速力が伴っていると不思議な事にノイジーには感じません。
さらに伸びあるフィーリングはプリウスのパワーユニットであることを忘れそうで、筆者はプリウスに乗って初めて「エンジンが掛かって良かった!!」と感じました(笑)。
フットワークは今回の走行パターンでは+100kgの重量増はほぼ感じられませんでしたが、前後重量配分がHEVよりも適正化されているので、FFながらもハンドリングのバランスやグランドツアラー的な乗り味などHEVのE-Fourに近い印象でした。
総じていうとPHEVは「EVの皮を被った次世代パフォーマンスモデル」と呼びたくなる魅力を持っています。
価格は未公表ですが、恐らく400万円から500万円と予想。
それなりのお値段ですが、総合的に見れば納得かなと。恐らく、HEV同様に争奪戦になるのは間違いないのです。
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