■18・19インチの装着が当たり前になってきた最近の新型車
クルマの走行性能や見た目を大きく左右させるパーツがホイールです。ホイールの種類には、スチール(鉄)、アルミニウム、マグネシウム、カーボンなどが素材として主に使われていますが、最近のクルマには、素材にアルミニウムを使用した”アルミホイール”が一般的になってきました。
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ここ数年で発売されたクルマのホイールにもアルミホイールが多く採用されていますが、そのアルミホイールのインチサイズが、ここ数年で大径化している傾向があります。
10年以上前の高級セダンであれば15インチや16インチ程度のインチサイズが一般的でした。
しかし、最近発売された高級セダンには18インチから19インチのホイールが純正装着されているのが当たり前で、輸入車のスポーツモデルであればノーマルで20インチ、21インチなど大きなホイールが装着されていることもあります。
なぜ最近のクルマには、インチサイズの大きいホイールが純正装着されるようになってきたのでしょうか。その背景をホンダ広報部に聞いてみました。
――最近発売するクルマのホイールが大径化しているのはなぜですか
一概に全ての車種のホイールが大径化している訳ではありませんが、確かに大径化している車種もあります。その代表的なジャンルは、高級車やスポーツカーなどの高い走行性能を必要とするジャンルの車種です。
――高性能車のホイールが大径化してきたのはなぜですか
高級車やスポーツカーなどに大径ホイールが採用される理由は2つあります。まずひとつ目は、走行性能の向上を目的とする制動力の強化です。ブレーキのローターは外径が大きいほど制動性能が向上します。大きなブレーキローターを取り付けるためには、インチサイズの大きいホイールが必要不可欠なのです。
もうひとつは、クルマを洗練された見た目にすることが目的です。ホイールのインチサイズが大きく、扁平率が低いタイヤを装着することで、クルマにアグレッシブでスポーティなイメージを与えることが可能です。
クルマのホイールのインチサイズが大径化してきたのは、変わりゆく時代と共にクルマの性能にも高いものが要求されるようになってきたといって良いのではないでしょうか。
■インチアップに伴うタイヤの低扁平化には、どのようなメリット・デメリットがある?
ホイールのインチサイズを大きくすれば、迫力が増して見た目がカッコよくなります。しかし、何かの性能が上がれば何かを犠牲にしなければいけないというのも、クルマを設計するに当たってよく生まれるジレンマです。
それでは、ホイールのインチサイズを大きくするとクルマにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。自動車用ホイールメーカー大手のワークは以下のようにコメントします。
――ホイールのインチサイズが大きいことによるメリットは何でしょうか
一番のメリットは、やはりクルマ全体の印象がスタイリッシュになることです。ホイールはクルマの印象をガラッと変えてしまうほどの効果があるパーツなので、デザイン性が高くインチサイズが大きいものに交換すれば、クルマ全体が洗練された印象になります。また、ハンドリングのダイレクト感や操縦安定性が向上することもメリットです。
――デメリットはありますか
デメリットとしては、ホイールの価格が高くなってしまうことです。また、地面とホイールの距離が近くなりますから、ホイールを傷つけてしまう確率も上がってしまいます。さらに、扁平率が低いタイヤを履かなければいけなくなりますから、突き上げによる乗り心地の悪化も懸念されます。しかし、それらのデメリットを払拭できるほど、ホイールのインチアップは魅力的だといえます。
私たちワークでは、ユーザー様のイメージや使い方に合う様々なデザイン・サイズを取り揃えており、ホイールの色やオフセットをカスタマイズすることができるモデルも用意しています。ぜひ、みなさまのイメージに合ったホイールを装着して、素敵なカーライフを贈ってください。
※ ※ ※
タイヤの外径(直径)をそのままでホイールのインチサイズを大きくすると、タイヤの扁平率を低くする必要があります。
扁平率が低いタイヤは一般的に低扁平タイヤと呼ばれていますが、タイヤの扁平率を低くするとどのような効果があるのでしょうか。タイヤメーカー大手のダンロップは以下のようにコメントします。
――扁平率が低いタイヤにはどのようなメリットがありますか
タイヤが低扁平化するメリットとしては、まず第一に操縦性の向上が挙げられます。扁平率が低いタイヤはゴムがたわむ部分が少ないので、扁平率が大きいタイヤに比べてダイレクト感のあるハンドリングを実感していただけます。
――扁平率が低くなるデメリットを教えてください
デメリットとしては、乗り心地の低下と、タイヤ内部の金属ワイヤーが外部からの衝撃により切れてしまう“ピンチカット”が発生しやすくなることです。ですが、我々ダンロップではサイドウォールを“点”ではなく“面で”たわませることにより、衝撃を分散できるような設計としています。
その技術により、10年前や20年前の低扁平率タイヤでは考えられないような乗り心地の良さと耐ピンチカット性能を実現しています。低扁平タイヤが当たり前となりつつある昨今の事情に合わせて、タイヤもドラスティックな進化を遂げているのです。 ※ ※ ※
クルマの走行性能や安全性を高めるために、自動車メーカーはさまざまな方法で総合性能を向上させていますが、ホイールのインチアップも現代のユーザーのニーズや自動車社会のニーズに合わせた結果だということが分かりました。
走行性能と乗り心地の両立、そして高いブレーキ性能をはじめとする安全性能の向上など、ホイールのインチアップとタイヤの低扁平化は現代のクルマに必要なことなのです。
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