■話題の新型「ハイラックスチャンプ」を試乗
2024年1月にタイで発売されるトヨタ新型「ハイラックス・チャンプ」。
現地で乗った印象はどうだったのか。ガソリン車・ディーゼル車を試乗してみました。
【画像】「えっ…!」めちゃカッコイイ! トヨタ新型「ハイラックス チャンプ」を画像で見る!(50枚以上)
1つのプラットフォームを用いて世界の新興国の多様なニーズにあわせて生産を行なう世界戦略車プロジェクト「IMV」。
あまり知られていませんが、トヨタのクルマづくりの構造改革「TNGA」をいち早く実践した物づくりを行なっているモデル群になります。
ちなみに、このプロジェクトの責任者は当時アジア本部長だった豊田章男氏です。
現在は「ハイラックス(IMV I-III)」、「ハイラックス・フォーチュナー(IMV IV)」、「イノーバ(IMV V)」をラインナップ。
「カローラ」や「ヤリス」、「カムリ」と並ぶトヨタのビジネスをけん引する重要なモデルへと成長しています。
IMVの開発コンセプトは「多くの人に移動の自由の提供」で、アフォーダブルな価格ながらも魅力ある商品展開が特徴です。
しかし、世代を重ねるにつれて豪華な方向にシフト。
この辺りは消費者側のニーズの変化もあるので難しい部分ですが、手に入れられない層が出てしまっているのも事実です。
そんな反省を元に、「IMVの原点に戻る」と開発されたのが、2022年12月に行なわれた「タイトヨタ60周年記念式典」で初公開された「IMV 0」になります。
この時トヨタは「市販モデルは1年くらいの間に登場します」と。その公言通り、2023年11月27日にタイで「ハイラックス・チャンプ」と言うネーミングで正式発表、2024年1月から発売が開始されるそうです。
そんなモデルにタイで試乗を行なってきました。
先日行われた「ジャパンモビリティショー2023」のトヨタブースに展示されていたことからも解るように日本導入を検討中です。
筆者を含めた日本メディアにあえて試乗させたのは、「日本での反応を確かめたい」と言う意図があるような気がしています。
エクステリアは日本でも発売される「ハイラックス(8代目)」と異なり、平面を組み合わせたかのようなカクカクしたデザインを採用。
トヨタの名をアジアに広めた功労車とも言える「初代キジャン・ピックアップ」を彷彿とさせつつも、最新のランクル(250や70)にも似たフロントマスクや各部のリブ形状、ボディ下部の樹脂パーツなども相まって、シンプルながらも決して質素ではなくどこかアソビ心があるスタイルに仕上がっています。
インテリアは水平基調のインパネにシンプルなアナログメーター(何とタコメーターレス)、初代bBを思い出す丸形の空調グリル(オレンジの加飾付きも有)、ユーザーが後から様々なアイテムを装着できるようなアタッチメント(様々な部分にネジ穴が存在)が配置されたシンプルかつ機能的なデザインです。
ちなみに今回の試乗車は“素”に近いモデルで、随所にスイッチホールカバー(上級モデルはここに様々なアイテムが装着されるはず)が見かけられたのと、手動式ウィンドウレギュレーター仕様(パワーウィンドウ付も設定)でした。
シングルキャブのため運転席/助手席の後ろのスペースは最小限ですが、170cmの筆者は普段と同じシートポジションにできるくらいの調整代はあります。
シートはシンプルな形状の一体式で見た目と裏腹にクッション性が高く座り心地は良好。欲を言えばビニールレザーの表皮は滑りやすいので前後左右共にもう少しホールド感は欲しいですが、贅沢はいいません。
パワートレインはハイラックス(IMV I)のリソースを活用しながら最適化して搭載しています。
■試乗するとどんなクルマなのか?
今回の試乗車はガソリンが2.7リッター(2TR-FE:166hp/245Nm)、ディーゼルが2.4リッターターボ(2GD-FTV:150ps/400Nm)で、どちらも6速AT(シーケンシャルシフト付)との組み合わせ。
サイドブレーキはハンド式となっています。現時点ではピュアなICEのみですが、将来に向けたパワートレイン(ハイブリッド/BEV/FCEV)の搭載も視野に入れた設計になっているそうです。
今回はリアに1トンのオモリを搭載しての走行でしたが、ガソリン車は発進時はおっとり穏やかな応答性ですが、実用域はスペック以上のトルク感とガソリン車らしい吹け上がりの良さを実感しますが、回転が高まると頭打ち感が強いので、早め早めのシフトアップのほうが気持ちよく走れるかなと。
そういう意味ではATよりMTとの相性は良さそうです。
ディーゼル車は発進時は意外と鋭い応答性に加えて、実用域は「おっ、力強い!!」と思うくらいのトルクを活かした力強さでグイグイと車速を伸ばします。
ディーゼルにしてはレスポンスも俊敏かつ上までスッキリ回る特性のため、心地よさはガソリン車よりも上。ATとのマッチングも良いと思いました。
どちらも「音」に関してはかなり賑やかですが、嫌な振動は上手に抑えられいる印象で、クルマのキャラクターを考えればネガには感じませんでした。
むしろ、今のクルマでは感じにくい、パワートレインとのピュアな対話はしやすいと思います。
シャシーはIMV共通のフレームを活用しながらチャンプ用に最適化。
用途に合わせてホイールベースは2種類(2750mm/3085mm)用意されていますが、今回の試乗車は2750mmです。
サスペンションはフロント:ダブルウィッシュボーン(コイルバネ)、リア:リジット式(リーフスプリング)とピックアップトラック定番の仕様ですが、こちらも仕様に合わせて複数のセットが用意されています。
フットワークはフレーム車独特の緩さはありますが、操舵はスローな上に間があるものの鈍な感じはなく、むしろハイラックスより俊敏な印象。
コーナリング時はステアリングで「無理やり曲げる」感は少なめで、最新のトヨタ車に共通する素直で自然なフィーリングなので、ハイラックスよりも気負いなく乗れる上に軽快な動きのため、「意外とスポーツかも?」と言ったフィーリングに感じました。
ただ、そうは言っても最新モデルのように無理な操作を全て許容するような懐ではないので、上手に綺麗に走らせるためにはクルマと対話しながらのドライビングが求められます。
そういう意味では、ちょっと粗削りだけどピュアだった昭和時代のFRスポーツの操縦性に近いかなと。
快適性は正直期待していませんでしたが、想像以上に高いレベルです。
さすがに大きな入力は厳しいですが、タイに多い凹凸のある路面でもリーフ特有のヒョコヒョコするような動きは少なく、雑味の少ない足の動きとスピードよりも時間を重視した吸収性、更にシートのクッション性なども相まって、乗用車と比べると硬めではあるものの、非常に優しい乗り心地だと感じました。
※ ※ ※
短時間の市場ながらも、最近のクルマでは見かけなくなった「シンプルisベスト」をカタチにしたモデルに仕上がっています。
見た目も走りも「素朴」、「ピュア」で、ある意味クルマの原点を見直す一台と言ってもいいかもしれません。
タイでは主にビジネスツール(架装されるケースが多い)として活用されるのが主ですが、日本ではミニバンやSUVとは違う、道具を超えた遊びのツールとして活用できそうです。
もちろん、日本に導入される時には安全装備や快適装備をプラスする必要がありますが、筆者の肌感覚では進化版ランクル70くらいのレベルでいいと思っています。
価格はタイでは45万9000バーツ(約189万円)から57万7000バーツ(約237万円)ですが、日本でも「買ってみたい!」と思わせる驚きプライスを期待したい所です。
ネーミングは各国に合わせてサブネームが異なります(インドネシア:ハイラックス・ランガ、フィリピン:ハイラックス・タマラオ)が、日本では? 個人的には「ハイラックスZERO」が良いかなと。
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