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安全性能だけじゃない!ドイツ御三家とは違うプレミアム感を纏ったSUV、ボルボ「XC60 B5」の完成度

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安全性能だけじゃない!ドイツ御三家とは違うプレミアム感を纏ったSUV、ボルボ「XC60 B5」の完成度

スウェーデンの自動車メーカー、ボルボは今、全モデルの電動化を推し進めている。ここで言う電動化とは、EVのみならず、HV、PHEVを指す。すでに日本仕様のボルボ車のほとんどが、クリーンディーゼルとPHEVに置き換わり、次の一手として登場したのが、XC60に用意された、48Vマイルドハイブリッドである。これで、2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤー、そして2018年ワールドカー・オブ・ザ・イヤーを受賞した、ボルボとして世界最量販車種となるボルボXC60の日本仕様のラインナップは、クリーンディーゼルターボのD4 AWD、PHEVのT8 AWD、そしてこのB5と呼ばれる48Vマイルドハイブリッドに集約。ボルボは全モデルを電動化させる世界で最初のプレミアムブランドになるという。

さて、XC60 B5 AWDだが、エクステリア、インテリア、装備類に大きな変更はない。進化のポイントはパワーユニットで、最新の第三世代となるDrive-E、直4 2LターボエンジンにISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)を追加。ISGMとは、運動エネルギーを回収することで発生する電力を48V、0・5kWhのリチウムイオンバッテリーに蓄え、マイルドハイブリッド機構としてエンジンの始動や加速時のアシストを行う機構だ。ガソリンターボエンジンの250ps、35・7kg-mに加え、モーター出力10kW、40Nmのアドオンがある。

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さらに、ブレーキバイワイヤー、シフトバイワイヤー、そしてエンジン回転数が3000rpm以下、30km/h~160km/hの範囲内で、なおかつ変速操作が行われず、エンジントルクが安定している条件下で作動し、WLTPモードで2・5~4%の燃費改善が見込まれる気筒休止システムも採用。

そこまで聞くと、ハイブリットだからこれまでのT5のようなガソリンモデルに比べ、価格が大きく上昇するのではないか?という疑問があるはずだが、そうではない。ガソリンターボのT5に対して約10万円高でしかなく、むしろクリーンディーゼルターボのD4よりリーズナブルな634万円(モーメンタムグレード/試乗したインスクリプショングレードは734万円)となっている。つまり、これからのボルボ車のベースグレードが48V マイルドハイブリッドになるということだ。

試乗したXC60 B5 AWDは、上級のインスクリプショングレードにエアーサスペンションをオプション装備したモデル。SUVにして、よじ登り感など一切ない快適な乗降性で運転席に着座すれば、北欧モダンな雰囲気に包まれ、ドアを閉めた瞬間に外界と遮断されたかのような、静かで心地よい空間が出迎えてくれる。インスクリプショングレードのシフトセレクターは、ひんやりとしたさわり心地が特徴の、スウェーデンの高級クリスタル製品メーカー、オルフィス社のクリスタル製だ。インスクリプショングレードに標準装備される本革シート、センスのいいウッドパネルのあしらいとともに、シックな北欧の家具に囲まれたような、落ち着き感と高級感溢れる空間が演出されている。



19インチ大径タイヤを履く走行性能は、なるほど、これまでのT5とは異なる。走り出せば、マイルドハイブリッドの、微力とはいえもモーターのアシストがあり、出足からウルトラスムーズでトルキーそのものだ。そこからの加速感も素晴らしく滑らかで、たとえエンジンを高回転まで回すようなシーンでも、乾いた心地よいエンジンサウンドを放ち、騒々しさとは無縁。クルージング状態ではさらに進化した車内の静かさもあって、まるで北欧モダンな家具に囲まれたリビングルームが、そのまま空間移動しているかのようだ。

後席エアコン吹き出し口が、センターコンソール後端だけでなく、左右Bピラーに装備されるのもボルボならではで、暑さ、寒さ知らずの快適すぎる移動が、後席でも味わえる。

乗り心地はエアーサスペンションということもあり、おおらかでストローク感ある上質なタッチに終始。ただ、低速域、荒れた路面では、さすがに19インチタイヤの硬さ、ゴツゴツ感が伝わってくる。とはいえ、速度を上げていくにしたがって、フラットで快適な乗り心地になる。もし、乗り心地重視でXC60を選ぶのであれば、18インチタイヤとなり、シートもふんわりとしたファブリックになるモーメンタムグレードを検討すべきだろうか(長距離ドライブで威力を発揮する前席シートマッサージ機能は付かないが)。

操縦性もまた、おおらかだ。キビキビしたスポーティー感覚は薄いが、そのぶん、リラックスした運転、ドライブが可能になる。そう書くと、穏やかすぎる性能のクルマだと思いがちだが、カーブや山道での安定感は見事で、ほぼ水平感覚の走行を披露。もちろん、250ps、35・7kg-mを誇る2Lターボ、マイルドハイブリッドエンジンの動力性能は文句なしに力強い。ドライブモードが、もっとも加速力が強まりスポーティーな走行も可能なダイナミック(コンフォートに対して車高20mmダウン)でなく、デフォルトのコンフォート、走りが穏やかになると同時に燃費も向上するエコ(コンフォートに対して車高10mmダウン)でも、交通の流れをリードする速さを身に着けている。

ちなみに、オフロードモードでは、車高がコンフォートに対して車高40mmアップし、デフロック機能とヒルディセントコントロールが働くから、悪路や雪道、急な坂道などで威力を発揮。オールラウンダーとしての安心・安全を担保してくれるのだ。

先にマイルドハイブリッドによるモーターアシストがあると記したが、それは加速時の微力なアシストだけにとどまらない。そう、アイドリングストップ復帰時の音、振動がほとんど気にならないレベルまで低減する効果とともに、エンジンが2気筒になった際のトルクの瞬間的な落ち込みをカバー。実際、高速クルージング中、2気筒になっても、トルクの落ち込みや音・振動の変化に気づかされることはなかった。最新制御の面目躍如といったところだろう。

そうそう、このXC60 B5 AWDには31万円のエアーサスペンションがオプション装備されているが、よりシャキッとした走りを望むなら、標準サスペンション選ぶといいかもしれない。が、アウトドアライフ、愛犬とのドライブの機会が多いというなら、エアーサスペンションをオプション装備する意味が強まる。理由は、人の乗降や荷物の積載にも有利に働くからだ。ラゲッジルームのスイッチ操作で任意に車高を20-30mmほど下げることができ、シニアや子供、小柄な女性の乗降性を高めてくれることはもちろん、アウトドアの重い荷物の出し入れ、さらに後席や荷室にジャンプして乗り込む愛犬にもうれしい機能装備となるからだ。

最新のボルボは安全性能においても世界最高水準だ。なにしろ、15種類以上の世界最先端の先進安全技術を満載。歩行者やサイクリストに対応する衝突軽減ブレーキはもちろん、逆走による衝突事故を回避する対向車対応機能、そして、衝突回避支援として機能する、車線変更時などで、ブラインドスポットモニターと合わせて威力を発揮するステアリングサポートなどをフル装備。そのステアリングサポートは特筆すべき機能で、車線変更による接触事故、危険を察知すると、強いステアリングアシストで元の車線にグイッと引き戻してくれる、うっかり起こりうる接触事故を未然に防いでくれる高度な機能として注目に値する。

今、世界中で勢いに乗るボルボ。この最新のXC60 B5は、古くから定評ある基本的な世界最先端の安全性能に、センス抜群のエクステリア、インテリア、上質な走行性能、世界最高峰の先進安全装備、電動化が加わるだけでなく、ドイツ御三家とは違う粋なプレミアムSUVという選択であるところが、はっきり言って、大きな魅力と言っていい。

ボルボXC60 https://www.volvocars.com/jp/cars/new-models/xc60

文/青山尚暉

モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。

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みんなのコメント

1件
  • 今の時代、センスよく安全おだやかにSUV乗ろうと思ったらボルボ一択だろうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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