現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > SUBARUの名機「EJ20」のファイナルエディションが555台限定のわけは?

ここから本文です

SUBARUの名機「EJ20」のファイナルエディションが555台限定のわけは?

掲載 更新
SUBARUの名機「EJ20」のファイナルエディションが555台限定のわけは?

■「555」はタバコのブランド、スバルWRCマシンのメインスポンサーだった

スバルが東京モーターショーの概要を発表、その中に「WRX STI EJ20 Final Edition」のプロトタイプを展示するという文字がありました。スバルの主力エンジンとして1989年に誕生した「EJ20」型水平対向4気筒エンジンは、何度もの改良を経て、現在はターボ仕様がWRX STIの心臓部として使われるだけになっています。そのEJ20型水平対向エンジンの生産が終了するという噂は何度も出ていましたが、ついにメーカー自身が2019年度内に終了してしまう予定であることを明言したのです。

スバル、東京モーターショー2019の注目は新型「レヴォーグ」と最後のEJ20型エンジン搭載車

つまり、日本市場向けの“現行型”WRX STIは、2019年末で受注を終了するわけです。

東京モーターショーで公開される特別仕様車「EJ20 Final Edition」プロトタイプは、まさにEJ20型エンジン30年の歴史の集大成といえるもの。特別にバランスを整えたEJ20型エンジンを積むだけでなく、スバルのヘリテージを感じさせるゴールド塗装のBBS製アルミホイールを与えられるなど装備面でも充実したものとなることが予想されます。

そして特別仕様車「EJ20 Final Edition」は555台限定の抽選販売を予定しているというのです。この「555台限定」という数字にはどんな意味があるのでしょうか?

古くからのスバルファンはご存知でしょうが、1992年にEJ20型ターボエンジンを搭載したインプレッサWRXが生まれたのはWRC(世界ラリー選手権)に参戦するためといっても過言ではありませんでした。コンパクトなボディに2.0Lターボを与え、そのパワーを四輪で路面に伝えるというプロフィールはWRCで勝つためのものだったのです。

そして、1993年からインプレッサWRXでのWRC参戦が始まります。そのときのメインスポンサーだったのがBAT(ブリティッシュアメリカンタバコ)であり、インプレッサWRXに描かれたのは「555」というブランドでした。モータースポーツのメインスポンサーとして様々なタバコメーカーやブランドがひしめいていた時代、アジア圏で人気の「555」タバコブランドはインプレッサWRXのイメージカラーとなったのです。

いまや「WRブルー」としておなじみになったボディカラーに、発色のいいイエローで555と描かれたボディは、シンプルでインパクトがありました。ゴールド塗装のホイールも欠かせないアイテムでした。そして、インプレッサWRXと555の関係は、結果として2007年まで続くことになります。スバルのWRCといえば「555」という数字が多くのファンに刻み込まれていきました。モータースポーツの世界でタバコの宣伝が禁止されてからもスバルといえば555という記憶が残り続けたのです。

そのため555台限定というのは、スバルの特別仕様車やSTIコンプリートカーではよく見るものでした。モータースポーツとの関係を象徴するのが「555」という数字なのです。スバルがWRC活動を休止したのは2008年ですから、その活動期間の多くを「555」というスポンサーカラーで過ごしたことになります。

「555」というタバコが日本ではポピュラーにはならなかったこともあってか、タバコブランドとしてではなく、この三桁の数字はスバルのモータースポーツと直結したイメージとなったわけです。

ですからEJ20型エンジンのファイナルエディションが555台限定というのは、そのエンジンが鍛えられてきたWRCへの思いを込めたものでしょう。逆にいえば、WRCからのフィードバックで進化を遂げてきたEJ20型エンジンが生産終了になるということは、たとえばモータースポーツであれば異なるカテゴリーとの関連で新しいブランディングをするという宣言ともいえます。おそらく555台限定という数字が使われるのは、今回が最後になるのではないでしょうか。強固なパートナーシップによりWRCで3度のマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得したスバルから555への感謝や惜別の思いがあることも感じます。

限定生産のファイナルエディションとなれば、投機的に狙うユーザーもいるかもしれません。ですが、「555」という数字が持つ歴史を考えると、その数字に共感できる、またリスペクトを感じる人にオーナーになってほしいと願うばかりです。

なお、特別仕様車「EJ20 Final Edition」の販売等に関するインフォメーションは2019年10月23日に公表される予定。専用WEBサイトも用意されています。

専用webサイトURL: https://www.subaru.jp/wrx/sti_ej20finaledition/

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【スクープ!】AMG製電動スーパーSUVデビュー間近!メルセデスAMGが新型電動SUVを開発中!
【スクープ!】AMG製電動スーパーSUVデビュー間近!メルセデスAMGが新型電動SUVを開発中!
AutoBild Japan
「マジで!?」ホコリまみれの“スクラップ車”が14億5000万円で落札!? 50年ぶりに見つかった1956年製メルセデスの“驚きの価値”とは?
「マジで!?」ホコリまみれの“スクラップ車”が14億5000万円で落札!? 50年ぶりに見つかった1956年製メルセデスの“驚きの価値”とは?
VAGUE
ミツオカ「M55」発売決定! 2025年生産販売台数は100台で、2024年11月22日から受付開始
ミツオカ「M55」発売決定! 2025年生産販売台数は100台で、2024年11月22日から受付開始
Webモーターマガジン
【10月の新車販売分析】受注停止車種が多くともトヨタ1強にかわりなし! 軽乗用車はホンダとダイハツの2位争いが熾烈に!!
【10月の新車販売分析】受注停止車種が多くともトヨタ1強にかわりなし! 軽乗用車はホンダとダイハツの2位争いが熾烈に!!
WEB CARTOP
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
『簡単にキズが消えた!』初心者でも簡単、コンパウンドで愛車の浅いキズを手軽に修復するテクニック~Weeklyメンテナンス~
レスポンス
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
くるまのニュース
スクーターのようでスクーターではない!? シリーズ最大排気量イタルジェット「ドラッグスター700ツイン・リミテッドエディション」発表
スクーターのようでスクーターではない!? シリーズ最大排気量イタルジェット「ドラッグスター700ツイン・リミテッドエディション」発表
バイクのニュース
MINI コンバーチブル【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
MINI コンバーチブル【1分で読める輸入車解説/2024年最新版】
Webモーターマガジン
【最新モデル試乗】期待のストロングHV登場! SUBARUクロストレックS:HEVの実力
【最新モデル試乗】期待のストロングHV登場! SUBARUクロストレックS:HEVの実力
カー・アンド・ドライバー
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
新車198万円! スバルの全長4.3m「“7人乗り”ミニバン」が凄い! 得意な「AWD×水平対向エンジン」採用しない“謎のモデル”に注目! 意外な「小型ミニバン」誕生した理由とは
くるまのニュース
愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(番外・後編)
愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(番外・後編)
GQ JAPAN
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
くるまのニュース
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
カー・アンド・ドライバー
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
ベストカーWeb
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
ベストカーWeb
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
Merkmal
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
ベストカーWeb

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村