すでにある「CX-60」、そして過去の「CX-8」との違いとは
鈴木ケンイチ(以下・鈴木):「CX-80」は、すでにある「CX-60」の3列シート版だと思うのですけれど、それ以上の意味合いはあるのでしょうか?
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柴田浩平氏(以下・柴田):「CX-80」は、マツダのフラッグシップを標榜するクルマです。ただ同じものを大きく伸ばしただけではなく、デザインも世界観も大きく変えています。室内空間は、より豊かに作っており、運転手だけでなく、後ろに乗る人も余裕をもって楽しめるように作り込んでいます。
鈴木:「CX-60」はドライバー・ファーストであり、「CX-80」は、もっとファミリーを向いているということですね。では、そうなると、過去の3列シート・モデルである「CX-8」とはどのように違うのでしょうか?
柴田:「CX-8」の目指すものを継承し、より成長しているというのが「CX-80」ですね。
「CX-8」は、走って格好良く、それでいて3列目まで大人がきちんと乗れるという実用性がありました。その組み合わせが、「CX-8」の一番のキモだと思います。その方程式を継承して、さらに「CX-80」ならではの存在感を出しています。
具体的には、直列6気筒エンジンや縦置きプラットフォームなど、「CX-8」よりも良いコンポーネントを使って、クルマとして、ひとつ上に行っています。
マツダの積年の夢をかなえるためのクルマ鈴木:ひとつ上のクラスを目指すというのであれば、やはりユーザーも、これまでと違うのでしょうか?
柴田:「CX-8」のお客様よりも、さらに上級志向になるでしょう。そして、そういうお客様は一筋縄ではいきません。ただ走りが良いとか、静粛性が良いではすみません。背景となるストーリーや、将来に向けた展望、技術的な哲学といったところまで共感を得られないと、購入まで行きません。
そのために「CX-80」では、骨格を走りに有利な縦置きプラットフォームに変え、電動化に対する備えをやっています。この従来モデルとの根本的な違いが、上級志向のお客様を納得させるに必要な武器だと思っています。
鈴木:それが「CX-80」などのラージ商品群ということになりますね。ただ、個人的にラージ商品群に挑戦することに、一抹の不安を感じています。無謀なチャレンジなのではないかということです。
柴田:不安は理解できますが、ラージ商品群は、マツダとしては、理詰めで考えた、手堅いモデルと考えています。
もともとマツダには積年の夢があります。これまで、マツダのオーナーは、次のクルマとして輸入車など上に行ってしまい、マツダから逃げてしまうという課題がありました。それを、しっかりとつなぎとめて、一生、マツダのクルマに乗り続けていただきたいというのが積年の夢でした。それに応えるのが、ラージ商品群です。
アメリカのマスの市場を手堅く狙うのがラージ商品群
柴田:また、ラージ商品群は、アメリカの市場を含んでいます。そのためマツダとしては、かなりの台数になるはず。ですから、単発でチャレンジして、失敗したら終わりというものではなく、もう収益の基盤をここ(ラージ商品群)で稼がなければいけない! というほど、腰の入ったものです。
また、アメリカのSUVの3列というと非常に市場が大きいんですね。ですから、ラージ商品群があって、ようやく、そのど真ん中に投げられるボールを持つことができたというところがあります。
鈴木:日本市場では、“大きすぎて大丈夫?”と思うかもしれませんが、確かにアメリカで考えると、ラージ商品群はミディアムサイズで、ボリュームの大きい市場に対する商品になりますね。では、そんなアメリカ市場において、すでに販売されているラージ商品群(CX-90)は、どのような状況なのでしょうか?
柴田:マツダのラージ商品群のスポーティな路線はわかりやすいようで、好評を得ています。排気量アップもわかりやすく、アメリカのお客様に理解いただけているようです。
「CX-80」のパッケージングは実のところ厳しい
鈴木:アメリカ向けの3列シートの「CX-90」と日本向けの「CX-80」の違いは何ですか?
柴田:日本国内では従来の「CX-8」のサイズ感がギリギリの寸法だと思っています。もっと大きな輸入車もありますが、そうなると売れるのは、ほんの一握りになってしまいます。ですから、手の内で操れるギリギリのサイズに収めたというのが「CX-80」になります。
高橋達也氏(以下・高橋):ただ、「CX-80」に使うコンポーネントは、もっと大きな「CX-90」と同じなので、パッケージングの難易度が上がります。エンジンは大きいし、床下にバッテリーもありながら、それでも外寸は決まっています。さらに室内寸法が「CX-8」よりも狭くなっては、お客様はがっかりします。「CX-80」は、「CX-8」よりもやることがたくさんあるクルマでした。
鈴木:室内空間でいえば、FRの「CX-80」よりもFFの「CX-8」の方が楽ということですね。
高橋:その通りです。
鈴木:ただ、撮影で室内を覗いてみると、「CX-8」よりも幅と足元が広く感じました。
高橋:そこを感じてもらえると、非常に嬉しいです。車両の外側の幅に比べて、中の幅が広いんですね。パッケージングで頑張ったところです。注目してほしいのはサードシートです。しっかりと大人が座れる空間がそこにあるのが勝ちだと思っていますので、「CX-8」以上の広さを感じてもらえる空間づくりを徹底しました。窓を大きくパノラマルーフがあることで、採光性が高く、明るさが大幅にアップしています。また、頭上まわりを30mm増やしているので、圧迫感もなくなっています。視野の広がりがあります。
懐の深いクルマとして、様々な使い方に対応する鈴木:最後になにかアピールはありますか?
柴田:今回の取材会では、実際に走行していただくことはできませんでした。ただ、走りに関しては、熟成を重ねてきています。ドイツのニュルブルクリンクにも持ち込んでガンガンやっています。そこは期待してほしいですね。
また、ラージ商品群は、6気筒エンジンとプラグインハイブリッドの走りがありながら、室内も上質で広々としています。ぜひ、いろいろな生活の広がりを、このクルマで感じてほしいですね。
高橋:主査である柴田が、たびたび口にしているように、「CX-80」は、懐の広いクルマだと思います。一人で運転しても楽しいし、その後ろにサーフボードが乗っててもいい。もう一組の友達を誘って、荷室をワゴンのように使ってもらってもいい。なんなら、もう一組誘って、3組であまり荷物のいらないグランピングに来てもいい。本当に、いろいろな使い方ができると思います。
単なる多人数乗車ではない、懐の深さを感じていただけると、すごくいいかなと思います。
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みんなのコメント
マツダは背水の陣なんだろう
広告費を全投入かな
実際は月販500台のCX60のロング版だから
月販300台がせいぜいだろうけど