「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、三菱 ミラージュ(6代目)だ。
三菱 ミラージュ(2012年:6代目フルモデルチェンジ)
タイの新工場で生産が始まって早5カ月あまり(編集部註:2012年8月)。ようやく日本でも新型ミラージュが発売された。ガソリンエンジン車トップの低燃費27.2km/Lという数値ばかりが先行している感もあるが、実際に乗ってみるとクルマとしても上出来なのだった。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
12年ぶりに復活したミラージュは、プラットフォームもエンジンも、三菱久々のオールニューモデルで登場した。その見所ポイントは3つ。CMでもお馴染みの「低燃費」「低価格」「コンパクト」だ。
まずは「低燃費」からチェックしていこう。前述のようにJC08モードで27.2km/Lと、このクラスでは現在トップ。その秘密は軽自動車と小型車の中間くらいに位置する、メチャクチャ軽い870kgという車両重量から始まり、Cd値0.27という高い空力性能、そして999ccエンジン+CVT+アイドリングストップ機構という組み合わせによるものだ。
当然、パワートレーンのプログラミングも、ずいぶんと燃費寄りに振られており、その極めぶりはタコメーターを見ていると一目瞭然。走行中にも関わらず、1000rpm付近を指している時間の長いこと。そのままストンと落ちてしまうのでは?と若干心配になるほどだが、けっしてそんなことはない。それでも、100km/hで1900rpm、80km/hで1600rpmほどというハイギアードだ。
それでも、パワー的には問題ない。どちらかといえば高回転域の伸び代が大きいフィーリングではあるが、タイで試乗した1.2Lモデルの低~高速域ほどの落差はなく、滑るように走り出すとまではいかないものの、軽さを生かした街乗り性能が確保されていた。
燃費重視で乗り心地も良く、価格も魅力的
かなり低燃費方向に振られているぶん、CVTのロックアップ領域の拡大を極めているので、切り替え時のショックは伝わってきてしまうが、これにはエアコンの影響も大きいようだ。試乗日は35度を超える酷暑だったので、ほぼエアコン全開状態。その状態でもアイドリングストップ機構は、けっこう頑張って働いてくれたし、試しにエアコンをオフにしてみると、ショックはほぼ収まった。
今後は、燃費とスムーズさの両立に注力されるのだろうが、逆に燃費関係ナシのセッティングを行えば、かなりスポーティなクルマができ上がる予感がヒシヒシと伝わってきた。今のところ確たる予定はないというが、かつてのサイボーグRのようなスポーツバージョンの登場も期待したいところだ。
「低価格」はあとで語ることにして、「コンパクト」さはどうか。廉価版のEグレードを除けば、シートリフターも標準装備されているし、視界も良く、ボンネットの見切りもいい。4.4mという、これまたクラストップの小回り性を生かし、街中での取り回し性能はかなり高ポイントがつけられる。駐車時やUターン時のアドバンテージは抜群だ。
中でも、特筆すべき点は乗り心地の良さで、路面の悪い場所でもガツンとした衝撃は一度も感じられなかった。これで車両価格は100万円を切る99万8000円から。この「低価格」もライバルに対する大きなアドバンテージだ。新型ミラージュ、CMのキャッチフレーズではないけれど「乗って、ミラージュ!」の価値は大いにあるといえるだろう。
三菱 ミラージュ G 主要諸元
●全長×全幅×全高:3710×1665×1490mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:870kg
●エンジン:直3 DOHC(MIVEC)
●総排気量:999cc
●最高出力:51kW(69ps)/6000rpm
●最大トルク:86Nm(8.8kgm)/5000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・35L
●JC08モード燃費:27.2km/L
●タイヤサイズ:165/65R14
●当時の車両価格(税込):128万8000円
[ アルバム : 三菱 ミラージュ はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
自動車は国際商品だから、円安、資源高の影響をモロに受けているのだろう。