メルセデスのジョージ・ラッセルは、F1スペインGP決勝のスタートで、4番グリッドから一気にトップへ浮上し会場を沸かせたが、この動きはアストンマーティンのフェルナンド・アロンソが過去に見せた動きにインスパイアを受けたモノだったという。
今年のスペインGPでラッセルは、フロントロウのランド・ノリス(マクラーレン)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の後列、チームメイトの隣4番グリッドから決勝スタートを迎えた。
■フェルスタッペン、幼少期はアロンソのファンだった?「カートに乗っていた頃、彼を応援していたんだ」
シグナルがブラックアウトし各車が一斉に飛び出すと、先頭ではポールシッターのノリスがフェルスタッペンを抑え込もうとコース右側へマシンを寄せた。これを見たラッセルは2台のスリップストリームを使いつつ、コース左側に舵を切った。そしてターン1で2台を大外刈り。首位に躍り出た。
2011年のスペインGPでも、似た動きが見られた。当時フェラーリに所属していたアロンソは、マーク・ウェーバーとセバスチャン・ベッテルのレッドブルコンビを抜き去ってトップに浮上した。
アロンソの場合はイン側から2台を抜いたが、この類似性は偶然ではなく、ラッセルの脳裏にはアロンソが見せたロケットスタートがあったという。そして4番グリッドからトップへ立つことは不可能ではないと考えていたと明かした。
「昨日(土曜日)の夜、夢にまで見たんだ。どんなアタックプランにしようとかね」とラッセルは語った。
「天気予報を見たら、ターン1から向かい風だった。だから、コーナーで本当に深くレイトブレーキングできると分かっていたんだ」
「僕がカートのレースをしていた時、2011年にフェルナンドが4番手からスタートしてトップに立ったのを見て、常に覚えていた。可能だと思っていたよ」
ラッセルは決勝前、レコノサンスラップでこのオーバーテイクを練習し、リスクを冒すに値すると確信したという。
「グリッドに着くまで4周して、1周ごとにできるだけブレーキングを遅らせる練習をした。だからどこが限界か分かっていた」とラッセルは説明した。
「風の強さも、マシンで何ができるのかも分かっていた。だから計算されたリスクだった。やってのけることができたのは満足だ」
ただレースでは、フェルスタッペンがすぐさまトップを奪い、ラッセルは長くリードを築くことはできず。最終的にフェルスタッペン、ノリス、ハミルトンの後ろ4位でのフィニッシュとなった。
フェラーリのシャルル・ルクレールに先行されるのを警戒して、予想よりも早くピットインすることとなったラッセルは、最終スティントをハードタイヤで走ることに。一方、後にピットへ戻ったハミルトンは、よりペースの良いソフトタイヤを履いた。
「今回は小さなことがいくつかあった。ピットストップが遅かったことで、中盤のスティントで後手に回り、プレッシャーを受けることとなった」とラッセルは振り返った。
「その後、ランドとのバトルでタイムをロスし、履き替えたハードタイヤは最悪だった」
「ハードがあまり良いタイヤじゃないと僕らは分かっていたけど、もし(第2スティントを)引っ張っていたら、シャルルの脅威に晒される可能性があったから、ルイスと僕でリスクを分散したかったんだ」
「もちろん、表彰台に上がれず少し残念だけど、先週(カナダGP)はあそこに上れたし、ルイスは良い仕事をしてくれた。チームとして、ここ数戦は本当に有望なレースだったとポジティブに捉えているよ」
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