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クラウンもアルファードもN-BOXも質感が高まる! ヨコハマの新コンフォートタイヤ「アドバンdb V553」の進化にレーシングドライバーも舌を巻いた

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クラウンもアルファードもN-BOXも質感が高まる! ヨコハマの新コンフォートタイヤ「アドバンdb V553」の進化にレーシングドライバーも舌を巻いた

 この記事をまとめると

■横浜ゴムのプレミアムコンフォートタイヤ「アドバンdb」が「V553」にモデルチェンジ

【試乗】FRスポーツのBRZをなんと雪道で全開! 「まともに走れるの?」どころか「楽しすぎ」て笑うレベルだった

■レーシングドライバーの中谷明彦さんがさまざまなカテゴリー・サイズのクルマで乗り比べた

■V553の満足度は非常に高く上質なタイヤを求めるならアドバンdB V553は賢い選択と言える

 プレミアムコンフォートのアドバンdBが「V553」に進化

 横浜ゴムのプレミアムコンフォートタイヤ「アドバンdB(デシベル)」が「V553」として進化し登場した。これまでのV552に対し、さらに静粛性や快適性、また摩耗時の性能低下を防ぐさまざまな新技術が盛り込まれている。

 今回そのV553に試乗する機会を得たのでリポートしよう。

 試乗場所はクローズドコース(総合試験路)と一般道である。用意されていたのはV553を装着したトヨタ・クラウンクロスオーバー(HV・e-four)とトヨタ・アルファード(HV・e-four)、トヨタ・プリウス、三菱エクリプスクロスPHEV、そしてホンダN-BOXと 多種多様だ。

 まずクラウンクロスオーバーでクローズドコースを使って静粛性と快適性などを確かめる。発進加速を電動モーターで行うクラウンの場合、フルスロットルで加速をすれば、エンジンのパワーも加わって強力な加速性能を発揮する。

 そうした場面でV553は非常に直進性に優れ、また駆動モーターの大きなトルクが加わってもホイールスピンなど起こさないので、トラクションコントロールが介入することもなく、 まっすぐに加速していくことができる。加速時安定感が非常に優れていて、ステアリングを持つ手にもほとんど力を入れなくていいほどに直線的に突き進んでいった。

 速度が高まったところに段差や路面の継ぎ目などがあり、そこを通過するが、タイヤがしっかりと真円形状を保ち、また車体に伝わる振動やハーシュもごくわずかで、瞬く間に通過してしまうという印象だ。V553では、タイヤのショルダー部へのベルト追加やカーカスの配置などでケーシング合成を高めていて、ちょっとした段差や 路面の継ぎ目においてもタイヤの撓みが少なく、ユニフォミティ(真円性)の変化なども起こさないので、余分な衝撃を伝えずに収束させてしまうという印象だ。

 さらに、車速を上げられる場面においても、ロードノイズやパターンノイズはほとんど高まってこない。クラウンクロスオーバー自体の静粛性の高さもあるが、制音性能はおそらく車外騒音としても大きな低減効果を発揮していると思われる。

 新しくデザインされたトレッドパターンにはストレートグループが4本あり、それに横方向のサイプの切り込みを造形し、また左右非対称とすることでウエット路面とドライ路面でのバランスを果たしている。

 転がり抵抗が非常に少なく、またパターンノイズやロードノイズも少ない設計ができたという説明であったが、まさしくその通りで、クラウンクロスオーバーが重さを感じさせることなくじつに軽快に走りっていると感じ取れた。

 また、摩耗進行時の性能低下を抑えているということで、今回は50%ほどにまでタイヤの表面を削り込んだ疑似的な中古タイヤも用意されていた。同じクラウンクロスオーバーに装着して走り比べても、ほとんど差異は感じられなかった。

 通常の走行で摩耗が進んだ場合は、真円度が変化したり、また偏摩耗を起こしたりしてユニフォミティ面でバランスが崩れ、細かなシミーやステアリングの振動などが起こったり、またタイヤトレッド面のゴムの厚さが減少することで、トレッド面の固さを感じてハーシュなどもきつく車体側に伝わってくるようになるのだが、V553はまさしく新品と同様の乗り味を維持していることが確認できた。

 さらに、比較対象として従来のV552モデルを同様に50%摩耗させて装着したクラウンクロスオーバーも用意されていて走り比べた。

 それはまさしく中古タイヤの感触だった。タイヤの乗り味で振動や路面継ぎ目のハーシュが増幅され、車体に不快な振動が伝わってくるし、また直進性やステアリング切り込み時の応答性などにおいても、 やや劣化した印象を受けた。

 すべての性能が大きく向上しているアドバンdB V553

 このクローズドコースでの比較だけでも、V553がいかに進化しているかを感じ取ることができたのだが、次は一般道を走って確かめてみる。

 まずV553を装着したトヨタ・プリウスで走ってみる。プリウス自体は走りの質感が非常に高く、またモーターで走り始めるため、とくに低速時の走行音の低い静かな乗用車であるが、V553を装着したことによって、さらにもう1ランク上のクラスのクルマに乗っているような快適な居住空間が得られていることがわかる。

 また、直進安定性やステアリング切り込みの応答性、旋回中に横Gがかかってコーナー外側の車輪に荷重がかかる際の撓みの少なさなども感じ取ることができ、プリウスの運動性能が1段も2段も上がったように感じた。

 今回のV553にはe+(プラス)という記号が加わった。これは電動化モデルにもマッチしているということを示していて、 プリウスやクラウンクロスオーバー、エクリプスクロスPHEVのように、電動化により車重を増したモデルにもマッチングして十分その性能を発揮させることができるということを象徴的に表している。

 その技術的手法のひとつは、 タイヤの構造部であるカーカスの左右ショルダー部に補強ベルトを巻くことでトレッド面の変形を防ぎ、またケーシング全体の剛性を高めていることによる。かつて、バブル期においてクルマがどんどん高性能化し、また車重も増えていった時代は、 タイヤの剛性がものすごく要求される時代でもあった。その要求を果たすべく、各メーカーはカーカスやコード類を補強し、左右のショルダー部にベルトを幾重にも配するなどして剛性向上に努めてきていたのだ。

 だがバブル経済が弾け、景気が悪化しコストダウンが大きく叫ばれるようになると、エコカーを中心に操縦性よりも燃費性能が求められるような時代になり、 コストダウンの意味も含めて複雑な構造が成りを潜め、固くてヒステリシスロスの少ないゴムが多用されるようになり、エコタイヤとしての燃費性能を上げてきていた。

 だが、近年の電動化モデルなどの登場によって車重がどんどん重くなり、さらに電動化で駆動トルクが大きくなっていることなどが重なり、V553はそうした大トルク、ハイパワー、そして高車重のクルマにもマッチするケーシング剛性が与えられたと解釈することもできる。

 次に三菱エクリプスクロスプリスPHEVに乗ってみると、まさにその効果は絶大で、 クルマの制音性能が向上し、EV走行しているときの静粛性が大幅に高まっていることがわかる。

 4輪駆動は本来直進安定性に優れているものだが、そこにさらにタイヤの直進性の良さが加わり、外乱に対して大きな強みとなって直進安定性を支えていることがわかった。

 コーナーにおいてもステアリングの応答性、またタイヤの歪みによるセルフアライニングトルクの操舵力変化などもなく、タイヤのケーシングは常に理想的な形状に保たれているということがわかるのである。

 その延長でトヨタ・アルファードにも試乗してみるが、さらに重心が高く車重も重いクルマであるにもかかわらず、タイヤのケーシングが負けていない。

 結果として車体のロールが減少し、クイックなステアリングレスポンスや、駆動トルク変化に対する応答性の高さも引き出すことができて、アルファードが軽快なクルマに感じられるほどであった。にもかかわらず、制音性能が高いこと、また乗り心地面もソフトで振動の収斂性が高く扱いやすいタイヤであることがわかった。

 最後に、V553を装着したホンダN-BOXに試乗してみる。N-BOXは軽自動車であり、これまでの普通乗用車とは異なり制約が大きい。ひとつには価格的な制約、またサイズによる制約などもある。

 V553は、サイズによってトレッドパターンや構造などを作り分け、ベストバイベストのバランスをタイヤと車間で取れるように作り込まれているという。そういう意味で、N-BOXとのマッチングにも興味があった。

 N-BOXは軽自動車のなかでも重心が高く、また車重も重いが、 従来の軽乗用車用タイヤだとタイヤ自体の撓みが非常に大きく、また軽量に作られていることもあってバネ下の安心感、重厚さが足りていない。その結果、クルマ全体の質感を損ねている面があった。

 V553を装着すると、タイヤの撓みが極めて少なく車両安定性を高め、またそれにより質感が大幅に向上していることがわかる。

 タイヤの撓みが少ないので、その分スプリングに応力がかかってくる。より固いスプリングを装着しても快適性は担保されるのではないかと思えるほどだ。

 また、高速で走っていてもタイヤの撓みから来るユニフォミティの変化がほとんど感じられず、真円度が高い状態が保たれていて、クルマ全体の質感が高まったように感じた。

 こういう乗り味であれば、普通乗用車から、あるいは高級車から軽自動車へ乗り換えても安っぽさなどを感じることなく、それまでの普通乗用車と同じような乗り味を得ることができ、満足度が高く得られるはずである。

 今回試すことができなかったウエット性能だが、社内評価では最上級のaランクを獲得し、また転がり抵抗面においてもAA~Aを獲得していて、剛性の高さは転がり抵抗を低減させているということもわかる。トレッドゴムにはシリカをバランスよく配合し、ウエット性能を高め、また摩耗が進んでもシリカの含有量が大きく変化しない。トレッドパターンも摩耗に合わせて変化するなど、排水性能においても大きく低下しないような工夫が施されているのも注目に値した。

 値段的には従来のものよりも高価になるかもしれないが、それによって得られる満足度は非常に高いものがある。かつてバブル期に多くあったような上質なタイヤを求めるなら、アドバンdB V553をチョイスするのは賢い選択といえるだろう。

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みんなのコメント

3件
  • zoo********
    静粛性や乗り心地の良さはV552で折り紙つき。
    問題は価格設定。
    ブリヂストンのレグノに比べてどの程度安価に買えるか。
    ミシュランのe-プライマシーも性能と価格のバランスが取れているなか、どれだけこのジャンルに食い込めるか。
  • nsj********
    この手のタイヤの試乗に元から静かで乗り心地のいい車使っても意味無いでしょ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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