走行距離8万kmでもタイトなフィーリング
初代トヨタGT86(86)は、2012年のお手頃ドライバーズカーへ選ばれ、年末の恒例企画、ベスト・ドライバーズカー選手権に進出。アストン マーティン・ヴァンキッシュやロータス・エキシージ、メルセデス・ベンツ C 63 AMGなどとしのぎを削った。
【画像】過去10年のベスト・オブ・ベスト お手頃ドライバーズカー選手権 5台を写真で比較 全142枚
数台のポルシェとも直接比較された。果たして最高出力200psの小さなフロントエンジン・リアドライブのクーペは、装備も価格も遥かに上回る相手へ見事な勝利を収めた。
2022年に再びトヨタ86を運転できて、とても清々しい。今回の審査員、誰もが同じ気持ちなようだ。お借りしたホワイトの86は走行距離が8万kmを超えていたが、とてもタイトなフィーリングでうれしくなった。
6速MTのシフトレバーやステアリングホイール、サスペンションのブッシュ類は確かに馴染みが出ているものの、4万kmだと聞いても疑わないだろう。シャシーはロードスターより明確に機敏で、勢い良くフロントノーズがコーナーへ吸い込まれる。
足まわりは路面へ追従し、姿勢制御も引き締まっているが、乗り心地に不満を感じることはほぼ皆無。自然吸気の2.0L水平対向4気筒エンジンはやや実務的だが、魂が宿っているように熱心に回る。
低いドライビングポジションは、世界トップクラス。リアアクスルの上にお尻が位置するようにも感じる。
まさに充足感に満ちたドライビング体験
グレートブリテン島の西部、ウェールズ地方のカーブが連続する道を、トヨタ86は鮮鋭に駆け抜ける。FK8型のシビック・タイプ Rに迫る充足感で。クルマとの深い一体感が伴い、路面を一緒に流れていくような気持ちになれる。
コーナーが接近したら、ブリッピングしながらシフトダウン。ノーズがフラットに旋回し始めるのと同時に、徐々に重心がボディのリア寄り外側へシフトしていく。ラインとノーズの向きを整えながら、頂点を通過。次のストレート目掛けての加速が始まる。
フォード・フィエスタ STと同じく、最高出力は200psだからパワーに余剰はない。さらに自然吸気だから、エンジンの回転数を維持し続ける必要もあるが、それがまたイイ。
充足感に満ちたドライビングとは、まさにこんな体験のことだと思う。トヨタ86はタイトだが、過度に張り詰めてはいない。お手頃なスポーツカーの理想像に、限りなく近いといえる。
2012年のトヨタ86は、衝撃をもたらすゲームチェンジャーだった。2022年でも、同じことがいえそうだ。
懐が深く扱いやすく、自在に操れるバランス
ここまで5台を試乗して、ベスト・オブ・ベストを決めなければならない。ホンダ・シビック・タイプRが1番だと思う人は? 審査員が顔を見合わせる。トヨタGRヤリスとフォード・フィエスタ STに対しても、誰もが悩ましい表情を浮かべるだけだ。
マツダMX-5(ロードスター)には、マット・ソーンダースが堂々と手を挙げる。ジェームス・ディスデイルも。マット・プライヤーとイリヤ・バプラートは、トヨタ86へ1票を投じた。
最終的には筆者の挙手で結論が導かれた。この判断が最適といえるのか、2週間後に原稿をまとめている今でも少し悩んでいる。ホンダ・シビック・タイプ Rは捨てがたい。だが、後輪駆動の方が楽しいことも間違いはない。
マツダ・ロードスターとトヨタ86は、別の領域にあるというだけで、どちらも素晴らしい内容に仕上げられている。ロードスターの方が、操縦性に深みがあることも事実だが、86の陶酔させられるような体験は捨てがたい。
懐が深く扱いやすく、自在に操れるという絶妙なバランスを実現したモデルは極めて稀有。10年前と同様に86は今でも特別な存在だと思う。とはいえ、それはロードスターにも当てはまる。
2台とも純粋に、ドライビングを楽しみたいというわれわれの欲求へ見事に応えてくれる。BMWやポルシェより、遥かに身近な価格で。
今回はトヨタ86以外の選択はない
世代交代を果たした、初代86が2022年の勝者だというのは少々もどかしい結果だった。だとしても、興奮度や乗りやすさなどを鑑みると、今回はそれ以外の選択はないように考えられる。何という結論だろう。
2012年にトヨタ86が英国ベスト・ドライバーズカーへ選出された時、審査員の1人が少し過大評価かもしれない、と口にした。確かに一理あったかもしれないが、その采配は間違いではなかった。
「この価値ある5台と再会して、素晴らしさを改めて確認できました。10年前のトヨタ86は、非常に重要な存在だと感じましたし、ベスト・ドライバーズカーに選ばれるべき存在でもあったと思います」
「それから10年が経ち、やはり正しい判断だったと結論付けられますね」。マット・プライヤーの言葉に、同意できない人はいなかった。
過去10年のベスト お手頃ドライバーズカー 5台のスペック
トヨタGT86(86) プロパッケージ(ZN6型/2012~2021年/英国仕様)
英国価格:2万8449ポンド(2017年時)
全長:4290mm
全幅:1790mm
全高:1320mm
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:7.6秒
燃費:11.8km/L
CO2排出量:191g/km
車両重量:1270kg
パワートレイン:水平対向4気筒1998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:200ps/7000rpm
最大トルク:20.8kg-m/6400rpm
ギアボックス:6速マニュアル
トヨタGRヤリス・サーキットパッケージ(英国仕様)
英国価格:3万3495ポンド(約562万円)
全長:3995mm
全幅:1805mm
全高:1455mm
最高速度:230km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.5秒
燃費:12.1km/L
CO2排出量:186g/km
乾燥重量:1310kg
パワートレイン:直列3気筒1618ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:260ps/6500rpm
最大トルク:36.7kg-m/3000-4600rpm
ギアボックス:6速マニュアル
フォード・フィエスタ ST(英国仕様)
英国価格:1万8995ポンド(2018年時)
全長:4068mm
全幅:1735mm
全高:1469mm
最高速度:231km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:16.7km/L
CO2排出量:136g/km
車両重量:1262kg
パワートレイン:直列3気筒1497ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:200ps/6000rpm
最大トルク:29.5kg-m/1600rpm
ギアボックス:6速マニュアル
マツダMX-5(ロードスター) 30thアニバーサリー・エディション(英国仕様)
英国価格:2万8095ポンド(2019年時)
全長:3915mm
全幅:1735mm
全高:1230mm
最高速度:218km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:14.5km/L
CO2排出量:155g/km
車両重量:1124kg
パワートレイン: 直列4気筒1998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:183ps/7000rpm
最大トルク:20.8kg-m/4000rpm
ギアボックス:6速マニュアル
ホンダ・シビック・タイプR GT(FK8型/2017~2021年/英国仕様)
英国価格:3万2995ポンド(2017年時)
全長:4557mm
全幅:1877mm
全高:1434mm
最高速度:271km/h
0-100km/h加速:5.7秒
燃費:13.0km/L
CO2排出量:176g/km
車両重量:1380kg
パワートレイン:直列4気筒1996ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:320ps/6500rpm
最大トルク:40.7kg-m/2500-4500rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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みんなのコメント
基本部分で国産車を上回ってる上に本格的なスポーツ走行をしても操安性が高い。
色々と難癖付けて乗らないより乗った方が絶対に良い。
メカ的にも水平対向搭載前提のパッケージングにも共感できない。
競争するわけではないのでこの中ならパワーは低くてもロードスターがいい。