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EVレースの醍醐味は「楽しく地球にやさしく」全日本袖ケ浦EV40kmレース大会

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EVレースの醍醐味は「楽しく地球にやさしく」全日本袖ケ浦EV40kmレース大会

 ベストカー本誌でもベストカーWebでも多くの記事を書いてくださっている国沢光弘氏は、クルマ界の未来とモータースポーツ所有する日産リーフe+にてEVレースのシリーズ戦に参戦している。

 この8月24日、袖ケ浦フォレストウェイでもレースに参戦…と思いきや、国沢さんはその週末はドイツでWRCに参戦とのこと。代打として急遽走るのは、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)副会長である竹岡圭氏でありました!

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 文:竹岡圭 写真:永田恵一

■主催は日本電気自動車レース協会(JEVRA)で年6戦開催

 「突然ですが8月24日、袖ケ浦で電気自動車レースに出ませんか? 私のリーフe+です~」(原文ママ)。国沢親分から突如メッセンジャーが飛んできました(笑)。スケジュールを見てみたら、ちょうど空いてる…。

 「お声がけありがとうございます! 大変嬉しいのですが、私遅いけど大丈夫ですか? スミマセン~!」と、お返事。すると「楽しんでもらえたらウレシイです!」とのご回答だったので、僭越ながら代打をお引き受けすることにしました~。

 そう、国沢親分は、ドイツのWRCに出場していてちょうど留守なんですよね。

 昨年は私もドイツのWRCに行っており、国沢親分の勇姿を拝ませていただこうと思ったら、残念ながらお会いできなかったのですが、今年はスケジュール的にもドイツには行けないので(昨年はお盆休みだった)、日本で代打…って、私で役に立つのかな? とまぁ、不安ではありますが、レース楽しそう~♪という気持ちが勝って、袖ケ浦フォレストレースウェイに出かけることにしたという具合です。

参戦車両は国沢号の日産リーフe+。モータースポーツはクルマの楽しさの原点でもあります

 さて、このレースの正式名称は「全日本袖ケ浦EV40kmレース大会」。主催者は日本電気自動車レース協会(JEVRA)さん。2010年3月に設立され、10シーズン目を迎えるレースシリーズ。

 今年は全6戦で開催されておりまして、富士スピードウェイ、筑波サーキット、スポーツランドSUGO、そして袖ケ浦フォレストレースウェイで行われています。

 志としましては、モータースポーツはクルマの開発&実証の場とよく言われますが、まさにEVの進化や普及促進、そして地球環境問題に対する意識改革をスローガンに、日本発のカッコイイ世界一のEVの誕生も期待しながら行われている大会なんです。

 ちなみにこのレース、ドライバーの安全装備、レーシングスーツ、レーシングシューズ、グローブ、ヘルメット等々がちゃんとしていれば、ライセンス等は不要。誰もが気軽に参加できるレースだったりもします。

 それでもクラッシュなんかは起こらない、紳士淑女のレースなんですよね(ちなみに女性は私ひとりでした)。ザ・モータースポーツの基本形であり、きちんとした精神が息づいているレースと言ってもいいでしょう。

■エントリーは18台、同クラスは5台

 参戦マシンはクラス分けがされておりまして、モーター出力によって分かれているEV-1~4に加え、EV-C(市販車をモーターとバッテリーに変換した車両)、EV-F(燃料電池車両)、EV-R(レンジエクステンダー)、EV-P(開発車輛もしくはレース専用車両)の合計8クラス。

 この中でいちばん参戦台数が多いのが、なんと! 私が参戦するEV-2クラス。全18台中5台がEV-2。熾烈な争い間違いナシではないですか…。

グリッドに並ぶ竹岡さん。参戦ドライバーのうち唯一の女性であります。がんばってください!

 ちなみにマシンは冒頭でも申しましたが日産リーフe+。通常のリーフにバッテリー容量や出力などがパワーアップされたグレードのモデルになります。基本的にパワートレイン等は、オリジナルそのまま。

 クルマ作りはサンコーワークスさんが手掛けていらっしゃいますが、主に変わっているのは足回りだと思っていただければいいかと。BRIDEのバケットシートと4点式シートベルトが装着されているので、ドライバーのホールド性は問題ナシという感じです。

 ところが! ここで問題発生! 国沢親分は身長が183センチもある大男なんです。私は何を隠そう、女性モータージャーナリストではいちばん小柄の160センチ(女性モータージャーナリストさん、みんな大きいんですよねぇ(笑))。

 ポンッとシートに座ってみたら、メーターしか目に入らない、お風呂に入った状態でした(笑)。

 そこで、とりあえず上げられるだけシート取り付け位置を上げてもらい、それでも足りないので、EV-3クラスで参戦しているお友達、レーサー鹿島さんからシートクッションを拝借し、なんとか高さを確保。

 そうそう、実は私、このレースに参戦するのは2回目でして、2年前にレーサー鹿島さんの代打で参戦させていただいたことがあるんです。現在のところ、代打率ではトップ快走中であります!

■予選は総合8位、いよいよ決勝へ

 と、話は逸れましたが、1DAYレースの朝、8時40分から予選開始。モータースポーツって、朝が早いんですよね(笑)。乗ったことのないクルマなのと、実は袖ケ浦フォレストレースウェイでレースに出るのは初めてなので、不安がいっぱいではありますが「慣れていないところ申し訳ないんですが、バッテリーの温度を上げたくないので合計3周でお願いできますか?」というのがピットからの指示。

 なんでもバッテリー温度が上がるとセーフモードに入ってしまいパワーダウン。一度バッテリー温度が上がってしまうと、丸一日レベルで下がらないというレベルで、温度が下がらないんですって。

 というわけで、計測1周。わけのわからないうちに予選は終わりましたが、結果は8位。まずまず? なのかな? というところですが、というのもですね、クルマの足回りがメチャクチャよかったんですよ! とにかく安定しているので、踏んでいけちゃう。

 ともかくコーナリング時の安定性と踏ん張り感がスゴイので、コーナー進入速度、コーナリング速度、つまり脱出速度、全部速く走れちゃう。ちょっと、感動モノの足回りでした。NeoTune(ネオチューン)恐るべし。だから、様子見走りのいきなりだというのに、8位に入れたのだと思います。

予選が終わったら全員で充電。つまり予選と決勝のあいだにすごーく時間がかかるという

 さて。そこから…、なんと約6時間後にいよいよ決勝スタートであります! なぜにこれだけ時間が空くかと言いますと、EVだけに充電しなければいけないからなんですよね。それに充電するとバッテリー温度が上がりますから、なるべくバッテリー温度の上昇を抑えつつ充電したいとなると、これまたそんなに急ぐこともできないってわけなんです。

■「優勝間違いなし!」と思ったが…

 というわけで、お昼ごはんを食べたり、おしゃべりしたり、まったりしながらの6時間後。スターティンググリッドについたところ、2つ前のグリッド、つまり真正面に同じリーフe+がいるではありませんか…。まずはこれをなんとかクリアしないと~というところですが、スターティンググリッドからは、なんと!スタートの信号見えないじゃん! 

 チビはこういう時に困るんですよねぇ。となると、周りのクルマが動き出すまでスタートのタイミングがわからないわけで、かなり不利な状況…ですが、もはやこうなったらひとりで頑張るほかはありません。

 結果、あまりカッコイイスタートとはなりませんでしたが、まぁ順当にスタート。そして予想通り、すぐさまもう1台のリーフe+とバトルになりました。

EVとはいえデッドヒートがレースの醍醐味。予選8位スタートとはいえ順調に順位を上げていく竹岡選手でありましたが……

 いやはやひと言で言っちゃうと、EVでこんなにバトルできるのか~!というくらいのバトルになりまして、観戦してくださっていた方たちは結構面白かったんじゃないかと思うくらいのバトル! 

 1コーナー、最終コーナー、下りのヘアピン2か所、この4つでタイミングを見て仕掛けてみたんですけど、私ったら抜いたり抜かれたりがあまりにも苦手で、ラリーに転向したくらいなんで(笑)、抜くのも抜かれるのもメチャクチャ下手くそなんです…。

 おかげでこのバトル何周続いたかな? 走行距離40km、全17周のレースのレースの約半分はバトルしちゃってたと思います。ようやく最終コーナーで糸口を見つけ、なんとかクリア! やったぁ~!と思ったのも束の間、1コーナーで黄旗の振動表示。これはっ! と思って少々減速したところ、抜き返されちゃったんですよ。1コーナーで。

 これは相手が黄旗追い越しペナルティだから、これでもう優勝間違いナシ! とも思ったのですが、もしかしたら…ということもあるし、さらにもっと前を目指して総合順位も上げたいし、もう一度仕掛けよう! 再チャレンジだ! とアクセルを踏んでみたところ…。あれ? パワーが出ない…。

 そうなんです…。バッテリーの温度計を見たら、レッドゾーンに入っちゃってました。自分が熱くなったせいで、バッテリーも熱くなっちゃったんですよね…(涙)。

 どうやら後ろから追いかけていた私の方が、バッテリーを熱く使ったらしく、結果追いつけず…。そのあと他のクラスのクルマを数台クリアしまして、クラス2位、総合5位という結果になりました。

正式リザルトはこちら(公式サイトpdf)。

クラス2位ということで、面目躍如……で、どうでしょうか、国沢さん

■無事故ノーペナルティで5位完走

 どうやらこのレース、腕と足だけでなく、頭と心もしっかりと管理しないと勝てないようです。でもね、EVでこんなに遊べるんだ、楽しめるんだ~と叫びたいくらい、メチャクチャ楽しかったから、またチャンスがあったら是非楽しませていただきたいと思います。

 というわけで、国沢親分、貴重な機会をどうもありがとうございました! またシートが空きそうなときは、ぜひお声がけくださいね~! お待ちしてますよ~っ!

公式サイトはこちら http://jevra.jp/
ご興味ある方、参戦お待ちしております

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