ようやく新型フィットに試乗できるチャンスがやってきた。当初予定していた発売日よりもだいぶ遅れての発売だが、2020年2月14日よりデリバリーが開始されている。フルモデルチェンジされた四代目フィットには、プロトタイプの試乗はしていたものの、市販モデルでの公道試乗ができていなかった。その機会があったので早速お伝えしよう。
低反発まくらな乗り心地
やはり、プロトタイプとはかなり乗り心地が変わっていた。より洗練されたというか、磨かれたというか、その乗り心地の良さが際立っているのだ。
試乗コースは一般道と高速道路で、ワインディングではない一般的な地方道だ。路面はかなり荒れた場所もあり評価が厳しくなるような道路だった。そうしたコンディションの悪い場所でも「乗り心地がいいなぁ」と感じられるというのが新型フィットの大きな特徴と言えるだろう。
印象は低反発まくらのような、柔らかさとしっかり感が同居したもので、フランス車のようにストロークからくる柔軟さや、ドイツ車のようにダンパーとスプリングで「減衰」させた剛性感のある乗り心地とはまた違った、新しい乗り心地だった。
その秘密は、シート、サスペンション、サス取り付け部のボディなどに行き渡り研究した部分で、気になる人は、詳しく解説している関連記事をご覧いただきたい。
関連記事:ホンダ四代目フィットは感性価値を持った絶対的エース
そうした改良によって、低反発まくらのような乗り心地になった。プラットフォームはキャリーオーバーしているが、ボディへの改良を多岐にわたり加えることで実現した乗り心地だ。これはぜひ、実車で体験してみることをおすすめする。
シミュレターのような視界
新型フィットに乗り込んで最初にインパクトを覚えるのが視界の広さだ。極細のAピラーに支えられるフロントウインドウとサイドウインドウ、大きい三角窓によって明るく開放感たっぷりのインテリアは新鮮さを感じる。
まるでシミュレーターのシートに座ったかのような、視界の広さを感じるのだ。さらにシートをリフトアップしてもボンネットが見えてこない。もちろんワイパーブレードも見えず、フロントウインドウの先には景色だけがあり、視界を邪魔するものは一切ないのだ。
そして超シンプル!と感じるインテリアデザインも新鮮。水平基調のダッシュボードに2本スポークのステアリング、フローティングしているかのように見える9インチ大画面のナビなど、これまでにないインテリアの印象を持つ。
それでいて、質感へのこだわりもあり、操作系のスイッチなどはクリック感などの操作した時の質感もしっかり作り込んでおり、安っぽさがない。こうしたシンプルでありながら、高品質さを持ったものは、近年の流行りでもあるミニマリストをターゲットにしたかのような印象だ。
先進的で、シンプル。それでいて高品質なインテリア。驚きの視界と明るい室内。家のソファのような座り心地のよいシートなどなどインパクト十分だ。
関連記事:ホンダ 四代目新型「フィット」を発売
圧倒的収納力
ホンダはいまさらなのか、技術説明においてセンタータンクレイアウトとインナーフレーム構造について言及しなかった。が、そのホンダ独自の技術とも言える構造でとてつもなく広いキャビンが生まれているのだ。それはセンタータンクレイアウトとすることで、シートを全て畳むと、驚きの広さが現れる。
リヤシートはチップアップ&ダイブダウン機能がついた6:4分割シートで、片手で操作できる操作性と、そこから生み出されるスペースの広さはライバル不在だ。そして、これだけの空間がありながら、運転していてボディの剛性感があるので安心なのだ。
冒頭の低反発まくらのような乗り心地も、こうしたボディ構造がもたらす、ねじれ剛性の高さが乗り心地や安心感へと繋がっている。
e-HEVはモーターメインで走行
試乗した「NESS(ネス)」グレードには新型のハイブリッドを搭載している。従来、準大型モデル用に開発していたi-MMDの仕組みをコンパクト化し、新型フィットに搭載している。1.5Lガソリンエンジンを搭載し、2モーターを持つ構造で、エンジンは主に、バッテリーを充電し、一部高速走行はエンジンで行なうシリーズ・パラレル式ハイブリッドだ。
したがって、一般道ではほぼモーターだけで走行し、バッテリーの残量状態でエンジンが稼働する。そのエンジンが稼働したときはアクセルとリニアに連動し、強く踏み込めばエンジンの回転も上昇し、まるでエンジン走行しているように感じる制御になっている。が、モーターで走行しているのだ。
そしてモーターで走行している時の静粛性の高さ、滑らかな走りと、しっかりしたボディ剛性、低反発まくらのような乗り心地、シミュレーターのような視界は新鮮さが溢れ、これまでにないコンパクトカーという印象が強い。
もちろんパワーの点でも力強さを感じる。253Nmのモーター出力は1.5Lターボエンジンを上回る力強さがあり、環境性能を高めながらレベルの高い走行もできるというわけだ。ちなみに燃費はJC08モードで28.6~38.6km/Lというスペックだ。
ライフスタイルに合わせて
新型フィットのラインアップをみると、グレード構成が縦構造のヒエラルキーになっていないのだ。ライフスタイルに合わせて選択するというラインアップで、5タイプのモデルが存在し、それぞれのモデルに装備オプションを設定するという新しい展開も新鮮だ。
「BASIC ベーシック」、「HOME ホーム」、「NESS ネス」、「LUXE リュクス」、そして「CROSSTAR クロスター」という5タイプで、ホンダではベーシックをミニマルライフとし、毎日使うものだからこそ、シンプルで飾り気のないものが自分らしさを際立てると。
そしてホームはコンフォートライフとし、日常の生活の中でリラックスできる、こだわりの空間で質の高い暮らし。ネスはフィット・ネスの洒落のように、健康思考のフィットネスライフを提案。リュクスはラグジュアリーライフとし、優雅で心地よい充実感のあるリラックスとラグジュアリーだ。
唯一エクステリアがSUVライクに車高の上がっているグレードがクロスターだ。友人や家族とアクティブに出かけたくなるようなライフスタイルに似合うとしている。
静粛性の高い1.3Lエンジン
こうした5つのモデルすべてにFFと4WDを設定し、さらにパワートレーンもハイブリッドのe-HEVと1.3Lの自然吸気エンジンのモデルがラインアップされる。ちなみにガソリンエンジンはCVTのみの設定でハイブリッドは高速走行用のギヤを1速持っているタイプになっている。
ボディのディメンジョンは全長3995mm、全幅1695mm、全高FFが1515mm、4WDが1540mm、クロスターのみFF、4WDともに1545mmとなっている。
もう一台の試乗はホームで、1.3Lガソリンエンジン搭載モデルだ。L13B型エンジンはもちろん強烈なインパクトはないが、意外と静粛性が高かったのだ。e-HEVでエンジンが稼働しているときと、1.3Lエンジンで走行している時の差は、実はあまり感じなく同じように静かだと感じるレベルだから、積極的に1.3Lを選択するというのもありだ。
もちろん価格差はあるので、1.3Lを選択した時の恩恵はきちんとあるし、上記の乗り心地や視界の良さ、使い勝手といった新型フィットの魅力はそのままなので、そうした選択もあると思う。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
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みんなのコメント
なんで評判の悪かった旧モード燃費をわざわざ使うかね。
せっかくWLTCモード表示が始まったのに、だから提灯記事と言われるんだよ。
破断する本田技研工業製CVT。