新車を買うときにあれやこれや選ぶのが楽しいのがオプション選び。ついつい「あれもこれも」になったり、ディーラーマンのおすすめを聞いてしまったりで、実は買ったけれど使わないというオプションが多いのではないか、というのが企画の発端。なんだか300万円の買い物しようとしていると、ついつい「5万円ならばいいかぁ」なんて思いがち。
でも同じ5万円のPS4を買うのにコツコツお金を貯めた記憶ないですか? なのになぜ5万円のオプションを即決しちゃうのですか!! その5万円であれもこれも買えたのに!! そんな後悔をしたくない、賢くお買い物をしたいあなたにおすすめなのがこの企画。今回はバイヤーズガイドなどで細かい評価に定評のある渡辺陽一郎氏に、買った後にちょっと後悔するようなオプションを、自身の経験などを含めて選んでもらいました。
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文:渡辺陽一郎/写真:Shutterstock.com、ベストカー編集部
■便利なオプションも万人向けではない!?
クルマの装備には、標準装着されている品目と、ユーザーが必要に応じて個別に装着するオプションパーツがある。オプションパーツは、標準装着品と同じように生産ラインで組み付けられるメーカーオプションと、販売店や物流センターで取り付けるディーラーオプションに分かれる。
メーカーオプションには、緊急自動ブレーキ、スライドドアの電動機能、ガラスルーフなど装着に手間を要する装備が多い。ディーラーオプションは、フロアマットやカーナビなど、比較的容易に取り付けられる装備が中心だ。
オプション装備は、もちろん装備品として必要なユーザーも多いから設定されているが、実際には使用頻度が少ない装備も多い。ここでは10品目の代表例を挙げて考えたい。
■気軽につけがちな「2万円前後」のオプション
【リーディングランプ(オプション価格の相場:1.5~2万円)】
後方に向けて照射するランプで、リヤフォグランプとも呼ばれる。濃霧の時にリーディングランプを点灯して走ると、後続車から自車の存在が認識されやすく、後続車にとっては道しるべのような役割も果たす。
しかし濃霧の時以外に使用すると、後続車を眩惑させて危険を誘発する。リーディングランプは後続車に向けて照射するから、使い方を誤ると長時間にわたって迷惑を掛けてしまう。
そのために使用には気を使い、都市部を中心に走るユーザーは、ほとんど使う機会がない。なおリーディングランプは、ほかの装備と併せたセットオプションになることも多い。
【ヘッドランプクリーナー(1~2万円)】
ヘッドランプに洗浄液を吹きつけて、汚れが付着したヘッドランプをキレイにする装備。仕組みはウインドーウォッシャーに似ている。悪路を走るための機能を備えたオフロードSUVに多く見られる。
それだけに悪路を走る機会がない場合はほとんど使われない。「ヘッドランプクリーナーが欲しい!」と切実に思った経験のあるドライバーは少ないと思う。
【寒冷地仕様(1.5~4万円)】
文字通り寒冷地で使うための仕様で、さまざまな低温度対策が行われる。まずラジエター冷却水が異なり、バッテリーは容量を拡大する。ヒーターも強化され、フロントウインドーの下側に熱線を入れてワイパーの凍結を防いだり、ワイパーモーターもパワーアップされている。
凍結するようなシーンがなかなかない地域のオーナーだと寒冷地仕様はオーバースペックかもしれない
また先に述べたリーディングランプやヘッドランプクリーナーを、セットオプションとして寒冷地仕様に含める車種もある。ただし寒冷地を走らないユーザーにはニーズが低く、そのためにオプションになっている。自分の使い方をよく考えて装着したい。
【応急用スペアタイヤ(1~1.5万円)】
今はタイヤパンク応急修理キットを標準装着する車種が多い。その上で応急用スペアタイヤをオプションで用意する車種が増えている。
ただし道路条件が良くなった今は、パンクする頻度も低い。車両に装着された応急用スペアタイヤの内、90%以上が未使用、あるいはほとんど使われない状態で廃棄されているというデータもある。
【おくだけ充電(1.5~2.5万円)】
携帯電話をおくだけ充電(ワイヤレス充電器)の上に置くと、コイル間の電磁誘導によって充電が行われる。 ただし対応機種でないと使えず、今はUSBポートを装着する車種が増えた。USBポートがあれば充電も簡単に行えるから、おくだけ充電は必要不可欠な装備ではないだろう。
■「念のためにつけておこう」と選んで無駄になりがちオプション
【オフロードSUVに装着される後輪のデフロック(5~7万円)】
悪路向けのオフロードSUVは、センターデフ式、あるいはパートタイム式の4WDシステムを使う。これらにはセンターデフのロック機能に加えて、後輪のデフロックもオプションなどで設定されていることがある。
滑りやすい登り坂、あるいは泥道などを走る時に、後輪のデフロックを併用すると、走破力を大幅に強化できる。ただしそこまで酷い悪路を走る機会は、競技や特設のコースを除くと、日本ではほとんど考えられない。
最初からデフロックがあればいいが、オプションで付ける場合は使用用途をしっかり考えたい
万一、舗装路をセンター+リヤデフロックで曲がろうとすれば、駆動系を破損することもある。仮にオプション装着しても、使わずに終わることがあるだろう。
前輪のデフロックもあるが、走破力がさらに増強される半面、誤った使い方をした時の危険も一層高まる。前輪のデフロックはメーカーオプションでもほとんど用意されていない。
【ガラスサンルーフ(10~12万円)】
かつてはサンルーフと呼ばれ、スチールパネルがスライドして開く方式だったが、今はガラスルーフが増えた。ルーフがガラス製だから、シェードを開くだけで車内の採光が良くなる。さらにガラスルーフまで開けば換気が強力に行われる。
ただし喫煙者が減った今、換気を積極的に行う必要性も薄れてきた。季節によっては、ガラスルーフを開いた時に車外から花粉を含んだ風が大量に入ってくるため、装着したことを後悔するユーザーもいる。オプション価格がかなり高いことも難点だ。
【パワーバックドア(5~7万円)】
ミニバンやSUVに見られる装備で、リヤゲートを電動で開閉できる。これもオプション価格に見合う装備か否かは、ユーザーの使い方によって異なる。荷室をほとんど使わなければ、電動の開閉機能を作動させる必要もない。
またバックドアは、ミニバンなどのスライドドアほど開閉に腕力を要さないから、電動化するメリットが乏しいという見方もできる。
【SUVに装着された3列目のシート(7~15万円)】
エクストレイル、ランドクルーザープラドといったSUVは、2列シートの5人乗りに加えて、3列シートの7人乗りも用意する。3列目をメーカーオプションとして設定しているわけではないが、実質的には同じことだ。
5人乗りと7人乗りの価格差は車種によって異なるが、おおむね後者が7~15万円高い。この金額がオプション価格と考えれば良い。「3列シートの7人乗り」であればミニバンのように使えそうだが、実際はかなり違う。
3列目は本当に人間が長時間座れるのか、という点でも判断が必要。試乗車などで家族で乗ってみるのも手だ
3列目は荷室に装着された格納式の補助席で、シートのサイズは小さく、座ると腰が落ち込んで膝が持ち上がる。そして大人が座るには、2列目を前寄りにスライドさせて3列目の足元空間を確保する必要があるから、2列目の足元空間まで狭まる。
つまりSUVに多人数で乗車すれば、ドライバー以外の全員が、窮屈な座り方を強いられるわけだ。「大勢で乗車できた方が便利」という感覚で装着すると、結局は使わずに終わって後悔することもあるだろう。
【クールボックス(5~7万円)】
クールボックスとは、センターコンソールなどに装着された冷蔵庫で、小さなボトルなどを冷やすことができる。人気のない場所を長時間にわたって走る時は便利だが、今はあちこちに24時間営業のコンビニエンスストアができた。
高速道路のサービスエリアやパーキングエリアにも、自動販売機が多く設置されている。必要な時に休憩を兼ねてクルマをとめて、買い物をすれば良いだろう。便利だと思って装着しても、意外に使われない装備だ。
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