グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズから、「2024年版 電気自動車に関する消費者意識調査」の結果が発表された。
電気自動車(BEV)の長期的な見通しは依然として良好であるものの、BEVの堅実な成長の実現には障害が存在するなど、本稿では同社リリースを元に、その概要をお伝えする。
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消費者のBEV購入意欲
※フランス、イタリアは2019年調査では対象外、サウジアラビア、インドは2019年、2021年調査では対象外のためデータはなし。
電気自動車(以下、BEV) の購入意向は世界で二分化している。中国では消費者のBEV購入意向は継続的に増加している一方、米国、欧州、日本の消費者の間ではBEV購入意向は停滞傾向にある。
2021年の調査結果と比較すると、BEVを購入する可能性が「非常に高い」、または「中程度」と回答した人の割合は、米国では2021年と比較して横ばいの35%、欧州ではわずか1%ポイント増の43%となった。
これに対し、中国では2021年の85%から97%に増加した。日本においてはBEVの購入意向は2019年のレベルまで戻っている。
BEVの長期的な見通しは依然として良好だ。今回の調査では、米国と欧州の消費者のおよそ半数(米国48%、欧州43%)が、2035年までにBEVを購入する可能性が「非常に高い」、または「中程度」と回答している。
一方、日本の消費者の回答は21%に留まり、サウジアラビア(85%)、インド(93%)ではBEVの購買意欲が高く、消費が加速する見通しだ。
■BEV購入時の懸念事項
BEV購入時の懸念事項としては、グローバルで共通して、充電インフラ、航続距離、充電時間、サービスセンター等が挙げられていまる。
米国の調査では、充電インフラ(43%)とバッテリー航続距離(43%)が同率でトップ、次いで充電時間(38%)、購入価格(33%)だった。加えて、自宅充電への懸念が2021年の19%から27%に増加している。
日本では、およそ半数が充電インフラ(52%)、バッテリー性能(47%)、充電時間(45%)に懸念を示しており、そのほか航続距離や自宅充電を挙げている。
米国や日本とは対照的に、中国の消費者は充電インフラに対してさほど懸念していないという結果となった。充電インフラ(30%)、充電時間(29%)への懸念は米国と日本と比較して、それぞれ約10%ポイント以上低くなっている。
上記のようなBEVへの懸念もあり、米国のBEV購入意向者はむしろPHEVに関心を寄せている。米国では、BEVを検討する可能性が「非常に高い」、または「中程度」と回答した人のうち83%が次の購入車の選択肢としてPHEVに興味を示していた。
アリックスパートナーズのアドバンスト・モビリティ・プラクティスのグローバル共同リーダーであるアルン・クマール氏は、この結果について次のように述べている。
「米国と欧州では、BEVを購入する意向のある消費者が最近はPHEVに関心を寄せています。PHEVは充電と航続距離の懸念を解消し、消費者の短期的なニーズを満たす正当な代替手段となっています。このような消費者志向の変化は、従来の自動車メーカー、サプライヤー、ディーラーにとって、BEV移行に対抗するためのリソースを投入する上で、非常に大きな課題となります」
中国ブランドについて
中国のBEVメーカーは、中国の国内市場における競争を経て、グローバル展開に向けた基礎固めを着実に進めている。調査対象者のうち、ドイツ、米国、日本を含む成熟市場の消費者の47%から71%が、「少なくとも1つの中国ブランドを知っている」と回答。BYDがその先頭を走っている(※)。
※ 調査対象は14ブランド(BYD, GAC/Aion, Wuling, Chang’an, NIO, Xpeng, Zeekr, Chery, Leap Motors, Hozon, Red Flag, BAIC, Li Auto, Great Wall)
消費者が中国BEVメーカー車の購入を検討しているか聞いてみると、米国と欧州では7割前後が「中国以外の同様のBEVメーカーよりも価格が20%安い場合には中国のBEVブランドを検討する」と回答した。
日本においては、安価な選択肢として中国のBEVブランドを購入検討する消費者はおよそ3割に留まった。
価格は消費者が中国製BEVを支持する大きな要因になり得るが、信頼性、サービス、ブランドイメージなどの懸念は消費者の購入の阻害要因になる。
一方、これらの懸念が払拭されている中国国内では、中国製BEVブランドは製品の完成度が高く、単なる低価格オプションではないと見られている。
アリックスパートナーズの自動車・製造業プラクティスのグローバル共同リーダーであるマーク・ウェイクフィールド氏は、次のように述べている。
「中国のBEV市場は今や成熟期の様相を呈しており、同国の消費者はBEVを当たり前の選択肢と見なしています。この背景には、整備されたBEV充電インフラのエコシステムや、ソフトウェアで定義されたハイテクで魅力的な自動車など、いくつかの要因があります。一方、米国と欧州市場では、BEVはまだアーリーアダプター(早期導入層)を満足させているに過ぎません」
またアリックスパートナーズのマネージング・ディレクターで自動車・製造業プラクティス日本チームリーダーである鈴木智之氏はこう話す。
「日本市場において消費者が電気自動車(BEV)へ移行することは引き続きチャレンジングであり、大きな壁が立ちはだかっています。充電インフラ拡大、車両コスト低下、EV整備士拡大、電池再利用、中古市場の成熟といった課題を日本の社会全体で解決する必要があり、EV化に向けて国全体で取り組むタイミングといえます」
調査概要
実施時期/2024年3月28日~4月10日
対象/ 世界のBEV販売台数の8割以上を占める8市場の消費者計9000人を対象。中国1000名、フランス1000名、ドイツ1000名、インド1000名、イタリア1000名、日本1000名、イギリス1000名、アメリカ2000名(カリフォルニア1000名、その他1000名)
内容/BEVやPHEV に対する一般的な関心、価格に対する感度、中国自動車メーカーブランドに対する認知度や検討度
関連情報
https://www.alixpartners.com/jp/
構成/清水眞希
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みんなのコメント
しかも、グリーンナンバーは税制上の恩恵があり、ブルーナンバーは重税が課せられます。
こんな事やられたら、EV選択するしか無いだろうな 増えるのは、当たり前 流石は独裁国家
中国では毎日8台以上のEV車が燃えている。
購入してもアフターサービスが無い、どこか壊れても部品が供給されない。
納入時に付属品が無い、システムエラーが起こってもなかなか修理してもらえない等、使い捨てのような車は、改善されなければ購入の検討の余地もない。
メーカーとしてアフターサービスの充実と、不具合箇所を見つけ改善位したら。