エネルギー転換時代に世界のリーディングカンパニーへ
自動車ブランド「ヒョンデ」を抱える韓国のHyundai Motor(現代自動車)は、2024年8月28日に新たな中長期戦略「Hyundai Way」を発表した。
2024年はより水素分野が加速する! Hyundai Motorが「CES 2024」で水素とモビリティを越えたソフトウェアのビジョンを発表
「2024 CEO Investor Day」と題されたイベントにおいて発表されたヒョンデ・ウェイでは、自動車製造にとどまらず、さまざまなモビリティ分野に進出することで、ゲームチェンジャーとしての地位を強化すると発表。エネルギー事業者としての役割を強化し、水素社会を実現することで、エネルギー転換時代にグローバルトップクラスのリーダーシップを維持できる企業へと生まれ変わることが明言された。
しかし、現代自動車が水素社会の実現に向けて突き進むからといって、自動車ブランドの「ヒョンデ」も水素一辺倒に転換するのかといえば、そうではない。EVとハイブリッド車の競争力を強化するため、バッテリー内製化に向けた取り組みや自動運転技術の進化、さらに既存エンジンを活用したレンジエクステンダー方式のEVを市場投入することでの価格競争力や、新興国市場対応など、あらゆる側面から変化するモビリティ社会に対し、柔軟に対応していくことが強調された。
発表内容をすべて網羅すると膨大な量になってしまうため、当記事では主にモビリティ分野に特化し、「Hyundai Way」における重要なトピックスを「新型EV車の市場投入計画」、「次世代向けハイブリッドシステムの導入」、「バッテリー製造の内製化」、「自律走行車の開発」、「水素技術開発」の5つの項目に分けてお伝えしたい。
新型EV車の市場投入計画
概要は次の通りだ。 ・2030年までに、2023年比30%増の世界年間販売台数555万台を目指す ・2030年までに世界で年間200万台のEV販売を目指す ・一充電航続距離が900kmを超える新EVである「EREV」の新モデルを北米と中国に導入予定 ・2030年までに、手頃な価格帯から高級車、高性能車に至るまで、全21車種のEVフルラインアップを揃える
2023年に世界年間販売台数が421万台に達し、世界の自動車メーカーのトップ3入りを果たしたヒョンデ。2030年までにはそれを555万台まで伸長させ、そのうち200万台がEVになるという未来を描く。
しかし、ヒョンデ自身は直近のEV需要減速を自覚しており、レンジエクステンダー方式(エンジンで電気を発電しモーターで走行する方式)のEVを投入することで、高価なバッテリーの搭載容量を減らして価格競争力を確保する。これにより、誰しもがEVならではの走行性能を手軽に体感できる環境を整え、将来のEV需要が回復した際には、消費者が自然にEVへ移行できる下地づくりを目指すとしている。なお、ヒョンデはこのレンジエクステンダー方式のEVを「EREV」と呼び、航続距離は900km以上を目指して開発中だ。
この戦略は日産がたどった道とも類似している。世界初の量産EVとして「リーフ」をデビューさせ、そののちにレンジエクステンダー方式の「e-power」を搭載した「ノート」で一気呵成にEVの普及とシェア拡大を強めた。今回の「Hyundai Way」では、BEVの「アイオニック5」をはじめとしたEVでイメージ作りをしっかり行ったうえで、2026年末までを目標に北米と中国でEREVの生産を開始し、2027年には本格的な販売に移行して量産EVメーカーとしての地位を確保する構えだ。なお、このEREVは北米市場向けにヒョンデブランドとその上級ブランドであるジェネシスから、それぞれDセグメントSUVとして世に送り出され、8万台以上の販売を目指すことが公表された。
また、ヒョンデは現在低迷中のEV需要が回復する時期を2030年と見込んでいる。それまでに生産能力の増強を行い、北米では2024年に、韓国でも2026年に新工場が立ち上げられる予定だ。
「EV は交通手段の未来ですが、すべての顧客が切り替える準備ができているわけではないことを認識し、顧客の好みに積極的に対応しています。そのため、ICE(内燃エンジン)、ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)、EV、水素燃料電池車など、さまざまなパワートレインを提供し続けていきます」とヒョンデは中長期戦略を語っている。
次世代向けハイブリッドシステムの導入
ひとつめの説明ですでに長くなってしまったので、ここからは駆け足でお伝えしたい。
現在コンパクトカーや中型車を中心に7車種で展開するハイブリッドシステムを、大型車や上級ブランドのジェネシスまで計14車種に倍増させる。なお、ジェネシスはEVのみのモデルを除いた全車種でハイブリッドが選択可能になるという。
同時に、次世代ハイブリッドシステム「TMED-IIシステム」を搭載した量産車を2025年1月にデビューさせる予定だ。そして、この強化されたハイブリッド機能を活用して、ハイブリッド車の販売台数を2028年までに2023年比で40%以上の増加となる133万台を目標としている。このうちハイブリッド需要が急増するとヒョンデが予想する北米では、2030年までに販売台数を69万台に増やす計画だ。
バッテリー内製化で他社競争力を強化
ヒョンデはバッテリー技術を磨き、安全技術を進化させて他社との競争力を確保したい構えだ。性能向上はもちろんのこと、コスト対策にも余念がなく、EVが安全かつ手ごろなクルマになることに尽力している。そのためにバッテリー開発能力の内製化を目指している。
2030年までには現在の高性能NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)バッテリーと低コストなLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを使用するだけでなく、新たな低価格帯のNCMバッテリーの開発を行っていることが公表された。
また、今後はバッテリーの搭載方式を現在のCTP(セル・トゥ・パック)に加え、CTV(セル・トゥ・ビークル)構造を採用し、バッテリーと車体を一体化することで部品点数を減らしながらも性能向上を行い、全体重量を10%程度軽減させる取り組みを行うことも併せて発表された。
自律走行車の開発
ヒョンデは世界の自動運転ソフトウェア開発企業に自動運転車を販売するファウンドリー事業を立ち上げる計画だという。ヒョンデが持つハードウェアの開発力と製造競争力を、ソフトウェア開発分野と協業することで、来たる自律運転社会でのパイオニアとしての地位を築こうというものだ。
すでに北米では、アイオニック 5を用いた自律運転技術の開発ならびにロボタクシーのテスト事業が行われているが、その実地テストと研究所発の技術で世界のリノベーターとして自律運転、ひいてはドライバーと歩行者の両方にとって安全なモビリティ社会の構築を自動車メーカーとして取り組む構えだ。すでに他社に対して先行している感のあるヒョンデの自動運転開発だが、自律運転の実現に向けさらに加速しそうだ。
水素エネルギー事業の拡大
ヒョンデは自動車メーカーではあるものの、広い視野でみれば「現代自動車」という重工業メーカーでもある。そのため、水素に関しても水素バリューチェーン事業ブランドHTWOを通じて、燃料電池システムのラインアップを拡大し、路面電車や電車、先進的な航空モビリティ、重機、船舶など、より幅広い用途をカバーし、さまざまなニーズに対応していく計画だとしている。成長要因として挙げたのは、石油、セメント、鉄鋼など、削減が困難な分野でのクリーン水素の需要増加や、船舶や飛行機などの長距離輸送での利用増加などである。
現代自動車は、持続可能なエネルギー技術とソリューションに重点を置いたHTWO事業を通じて、世界のエネルギー転換をリードすることに注力しているという。同社は、2045年までにネットゼロを達成し、生産と運営のすべての段階でカーボンニュートラルになることを目指している。これには、職場での再生可能エネルギーの導入と水素エネルギー事業の拡大が含まれている。
そのため、現代自動車にとっての水素エネルギー戦略は重要な要素であり、ヒョンデブランドの「ネッソ」のように目に見えてわかるプロダクトもあれば、廃棄物水素(W2H)やプラスチック水素(P2H)は現代自動車の水素製造技術によるもので、社会的貢献も進んでいるところだ。
まとめ
ヒョンデは2030年をEVの需要回復期とみて、「Hyundai Way」という中長期戦略を立てた。新型ハイブリッドシステム搭載車と、普及価格帯のEVとして「EREV」の市場投入を行い、EV移行期にもEVのメリットを消費者に体感してもらいながら、自然な形で2030年以降のEV乗り換えへと導く戦略といえそうだ。
その一方で、EVだけに限定することなく、あらゆる動力を選択肢として残しながら、並行して次世代技術の研究開発に対する投資を怠らない姿勢が強調された。変化の激しい自動車産業でイニシアチブを握り、世界三大メーカーの座を確固たるものにしようという、野心的な計画だと受け止めた。
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みんなのコメント
禁断のワード「ヒュンダイ(ヒョンデ)を知らないのは日本人だけかもしれない」を吐いて、フルボッコにされて潔く日本から撤退してくれ。