最若手でも61歳! レース専用車両で本気の走りを見せた
日本のレース界を牽引してきた伝説のドライバーたちが富士スピードウェイに集結し、ワンメイク車両でガチンコ勝負をするという夢のような企画が「エイム・ザ・レジェンズ・クラブ・カップ2018」が11月17~18日に行われた。
「日本一速い男」に「モンスター」異名で知られる偉大なレーシングドライバーたち
往年のドライバーたちを束ねるのがLRDC(レジェンド・レーシング・ドライバーズ・クラブ)だ。LRDCは1980年代までにトップカテゴリーで活躍した往年のドライバー総勢49名で構成されおり、クラブの会長である大久保力はかつてリッキー大久保の名でマカオなどを始め国内外で名を馳せたドライバーだ。
土曜日に行われた予選でポールポジションを奪ったのは1987年に日本人初のパーマネントF1ドライバーとなった中嶋悟で、キレのある往年の走りは健在だった。
それに続いたのが1988年に全日本F3のシリーズチャンピオンで今年61歳となった中谷明彦で、今回の最年少ドライバーはトップの中嶋からわずか100分の2秒差だった。3番手は1995年に日本人初のル・マン24時間レースのウイナーとなった関谷正徳だ。4番手には「Zの柳田」としてその名を馳せた柳田春人、5番手にはBMW635で1985年に初代グループAレースチャンピオンに輝いた長坂尚樹、6番手には1972年のF2000チャンピオンで「ガンさん」で親しまれている黒澤元治、7番手ポジションには今回最高齢となる84歳の多賀弘明が見事入った。
多賀はまさにレジェンドで、第一回日本グランプリでトヨタ自販からワークスとしてクラウンで出場し見事優勝を飾っている。以下、鮒子田寛、岡本安弘、桑島正美、高橋国光、清水正智、北原豪彦、武市勇三、戸谷千代三、大久保力、見崎清の順となった。
決勝は上記全17名で争われるはずだったが、北原が予選時にクラッシュし、「富士では現役以来となる54年ぶりに救急車に乗った」とコメントし、元気な姿を見せてはいたがクルマの修理が間に合わなかった。またLRDC会長の大久保は右足にシビレがあるとの理由でダミーグリッドには着いたが出走せず、全16台で決勝が行われた。レースは VITA01と呼ばれるワンメイクレースのマシンを使って、フルコースを全8周で争われる。
スタートで飛び出したのはポールの中嶋だったが、2周目には後続の中谷が中嶋を捉えトップを奪取。中谷はそのまま逃げ切り体制に入る。
中嶋は3番手の関谷から執拗なアタックを受けながらもなんとか最後まで2番手を死守し、関谷が3番手となった。4位でゴールしたのは最後尾スタートの見崎で、現役時代以上とも言える見事な追い上げを見せた。それもそのはずで見崎はVITAレースに現役として参加している強みを見せての驚異的追い上げだった。その後ろでは柳田と長坂の白熱したバトルが繰り広げられ、さらに元日産の三羽烏と言われた高橋と黒澤も激しくもクリーンなバトルを披露して観客を沸かせた。
大久保会長はレース終了後に「無事にレースが終わってホッとしている。60代、70代、80代になっても現役当時を思わせるファイトある走りを最後まで見せてくれ、このようなクリーンなレースをしてくれた我らのクラブ員を誇りに思う。私が会長のうちはぜひともこの会をさらに盛り上げていきたい」と締めくくった。
国内外で活躍した往年のレジェンドドライバーたちの積み重ねてきた素晴らしい歴史があって、現在のモータースポーツにつながっていることを再考させてくれる素晴らしいレースとなった。(文中敬称略)
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