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ダットサン「フェアレディ2000」は淑女というよりジャジャ馬だった!?「SR311」と呼ばれる超ド級のモンスターとは【国産名車グラフィティ】

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ダットサン「フェアレディ2000」は淑女というよりジャジャ馬だった!?「SR311」と呼ばれる超ド級のモンスターとは【国産名車グラフィティ】

海外の人気も高かった「フェアレディ」

トラックのシャシーに860ccのエンジンを搭載した、わずか20台だけ生産された小さなオープンカー「ダットサン・スポーツ」。その登場から約10年で、後に国産車として初めて200km/h超の世界を実現するスポーツカーが発表された。それが日産「ダットサン・フェアレディ」だ。日本国内に限らず海外の多くの人々からも、今なお愛され続けているクルマだ。今回は「SR311」の型式で有名な「フェアレディ2000」までの系譜を紹介しよう。

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兄弟車・初代シルビアにも影響を与えた

1965年5月に登場したフェアレディ1600は、兄弟関係にある初代「シルビア」(型式CSP311)とともに日産のスポーツイメージを高めることに大きく貢献した。パフォーマンスも世界に通用する魅力的なものとなっている。

SUツインキャブを装着したR型エンジンは90ps/6000rpm、13.5kgm/4000rpmを発生し、トランスミッションも扱いやすいフルシンクロの4速MTに進化した。この結果、最高速度は100マイルを超える165km/hに向上し、0-400m加速はクラス最速の17.6秒を誇った。フロントには住友ダンロップのマークIIディスクブレーキを採用し、制動性能も大きく向上した。走りの装備を充実させたことに加え、エクステリアも化粧直しして美人になっている。

リーズナブルな価格で高性能なため、アメリカのマニアたちはフェアレディ1600を放っておかなかった。イギリス製のスポーツカーを駆逐し、サーキットでも大暴れしている。だが、日本では今一歩の人気にとどまった。それには理由がある。1967年3月に、超ド級のモンスターが追加されたからだ。

真打ちとして登場したのが、「フェアレディ2000」である。マニアには型式名の「SR311」と言った方がわかりやすいだろう。

搭載するエンジンは、H型2L直列4気筒OHVをベースに開発されたU20型直列4気筒。フェアレディ初のSOHCエンジンで、5ベアリング支持のメインベアリングやウエッジ型燃焼室などを採用する。これにツインチョーク・ソレックス44PHHキャブを2連装した。総排気量は1982ccだ。

そのパフォーマンスは抜きん出ている。最高出力は145ps/6000rpm、最大トルクは18.0kgm/4800rpm。初期型の車重は910kgだったため、パワーウェイトレシオは驚異的な6.28kg/psになる。変速機はポルシェタイプのフルシンクロ5速MTだ。

最高速度は日本車として初めて200km/hの大台を超える205km/hである。0-400m加速、これも日本車として最速の15.4秒を叩き出した。空力的に不利なオープンで実現しているのは驚くべきことだ。淑女(フェアレディ)ではなくジャジャ馬だから、急加速するときにクルマが暴れないようにリーフスプリングにトルクロッドを組み合わせられている。

1967年10月、北米への輸出が多かったフェアレディは、マイナーチェンジを行い、安全装備を大幅に充実させている。そして1968年には快適性を高められるハードトップを設定した。1969年秋にS30型フェアレディZが登場した後も販売を続け、1970年に惜しまれつつ姿を消している。最後の硬派なオープンスポーツカーが、SP/SRフェアレディだ。

量産化で行われたショーモデルからの小変更

フェアレディ1500は量産化されるとき、ショーカーとは細部が変わっている。注目したいのは三角窓の部分だ。ショーモデルではなんと三角窓を設けていない。さらに、アクリル製のドアウインドウは脱着式だった。これに対し量産モデルには三角窓を追加。ドアウインドウをサッシュレスガラスの巻き上げ式に変更しているため、ウインドウガイドとして使われていたのだ。初期モデルは開閉しない固定型だった。

ショーカーでは前後のバンパーにオーバーライダーが付いている。しかし量産型では、長い1本のタイプになっている。また、見栄えがよくなるように試作途中でモールが追加され、フロントグリルもメッキを強調。ドアハンドルはグリップ式で、バーの部分を握って親指でボタンを押し込むとドアが開いた。

フロントスクリーンは低くルーフもないため、運転席と助手席の間に縦方向のバーを取り付け、ルームミラーを取り付けている。向きはもちろん高さも変えることが可能だ。ちなみにフロントウインドウは、発展型のフェアレディ1600(SP311)とフェアレディ2000(SR311)の途中でカサ増ししされた。安全性を高めるためだ。このタイプは「ハイウインドウスクリーン」と呼ばれている。

じつは、初期のフェアレディ1500は驚いたことに3人乗りだった。ドライバーズシートとパッセンジャーズシートが並んでセットされ、その間をセンターコンソールで仕切っている。そしてドライバーズシートの後ろに、横向きに座るリアシートを装備した。後席の人は歩道側を見るように座る。現代では考えられない独創的なアイデアだ。

ドライバーの後ろに横向きのシートがあるため、運転席のスライド量は少なく、窮屈なポジションを強いられ、運転しにくかった。スポーツカーとしては致命的な欠陥だ。だが、逆に左ハンドル車は運転席後ろのスペースが空いているため、最適なドライビングポジションを取ることができたのである。フェアレディはほとんどが北米向けに輸出されていたので、日本のユーザーは冷遇されていたことになる。2シーターモデルのみに変更されるのは、1964年8月のマイナーチェンジだ。さらに三角窓が初めて開閉できるようになり、ソフトトップの折りたたみ機構を変更している。リンク式に改められたため、トップの脱着が従来より簡単に操作できるようになった。

当初の計画では縦2灯式のリアコンビネーションランプだったが、量産型ではリフレクターを追加し、3連タイプとなる。日本仕様と海外仕様では交通法規などが違うため、ランプ類の色が違う。フューエルキャップにはカギ付きが主流派だった。

アメリカの安全基準の変更でインテリアのデザインと装備を一新

インテリアは機能を優先させたスパルタンな味わいで、メーターを整然とレイアウト。ドライバー側を盛り上がらせたダッシュボードには平面的なパネルが組み込まれ、大径の丸型メーターが4つ整然と並べられている。右端は水温計、燃料計などのコンビネーションだ。前回紹介した撮影車はメーターの数が増えた1964年夏以降のモデル。アナログ時計も誇らしげに組み込まれている。

時計の下には4つのタンブラースイッチが並び、その下のコンソールボックスには始動時のチョークレバー、オーディオ、ヒーターコントロールレバーなどをひな壇のように配置する。2人乗り仕様になったこともあり、センターコンソールやシートが立派に大きくなっている。初期の3人乗り仕様はメンテナンスしやすいように、バッテリーを横向きシートの座面下に設置していた。

1967年春に登場したSR311ことフェアレディ2000でもダッシュボードは変わっていない。だが、発売から8カ月後の10月にインテリアをモデルチェンジし、安全装備を充実させた。新しくなったアメリカの安全基準に対応したもので、ウインドウシールドを25mm高くし、シートにはヘッドレストを追加。また、日本車で初めて衝撃吸収ステアリングを採用している。ダッシュボードも表面を厚いソフトパッドで覆った安全性の高いものに変更し、ガソリンタンクもそれまでより安全性を高めたタイプに変更された。

フェアレディ2000は1968年11月に最後のマイナーチェンジを行い、ライセンスランプやメーターの書体を変更。風をともにするオープンスポーツカーの時代は終わり、1970年代は快適なクローズドクーペの時代が到来する。だが、SP/SR311は後継のフェアレディZが登場した後も、しばらくは併売されていた。発売から9年間に5万台近いSP/SRが強烈なマニアの手に渡り、愛されている。スパルタンに徹し、乗り手を魅了した痛快なオープン・スポーツカーが、1960年代に青春を謳歌したフェアレディだ。

ダットサン フェアレディ2000(SR311) ・年式:1967 ・全長×全幅×全高:3910mm×1495mm×1300mm ・ホイールベース:2280mm ・トレッド(F/R):1275/1200mm ・車両重量:910kg ・エンジン:U20型 直4SOHC+ソレックス2連キャブ ・総排気量:1982cc ・最高出力:145ps/6000rpm[SUツインキャブ装着の北米仕様は135ps] ・最大トルク:18.0kgm(176Nm)/4800rpm[北米仕様は18.2kgm(178Nm)/4400rpm] ・変速機:5速MT ・駆動方式:FR ・サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/半楕円リーフスプリング ・ブレーキ(F/R):ディスク/L&Tドラム ・タイヤ:5.60S-14-4PR

■「国産名車グラフィティ」記事一覧はこちら

 

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みんなのコメント

2件
  • 隣の家のお兄ちゃんが40年くらい前写真と同じ赤のSR311を乗ってて、毎朝ソレックスの「カフォ カフォ」音で起きていました。
    懐かしい思い出です。
  • 小悪魔のZ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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