ミニカF4を家族とシェアしながら大切に維持している
360cc時代の軽自動車のなかでも、見かけることが少ないレアな存在となっているのが三菱の軽自動車。そんな三菱「ミニカ」の1972年式で、しかも珍しいスーパーデラックスというグレードでイベントに参加していたのは、女性オーナーの“らん”さん。若きオーナーが、当時物の1桁ナンバーを取り付けたこのクルマに乗ることになった経緯について伺ってみました。
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もともとはクルマ好きの若者が始めたイベントで見つけたレア車
今から3年前の2021年11月に開催されたイベント「古き良き5ナンバー・ミーティング」をルーツとする「20世紀ミーティング」。もともとは新潟在住の高校生(当時)、片桐宏基さんが主催するクルマ好きのオフ会だったものが、2回目からは今の名称に改訂された。5ナンバーに限らず20世紀生まれのクルマならなんでもOKという敷居の低いイベントとなり、現在では周囲の大人たちも巻き込んで春と秋の年に2回開催される、新潟・燕三条エリアの恒例イベントとして定着しつつある。今回は2024年4月14日に開催された直近の20世紀ミーティング、「2024年春季」の会場から、気になるオーナーを順次ご紹介しよう。
現在は地元の企業が運営する展示施設「KYOWAクラシックカー&ライフステーション」が実行委員会事務局となって運営されている「20世紀ミーティング」だが、もともと地元の若者たちが手作りで始めたイベントだけに、エントラントにはベテラン勢のみならず若いオーナーが比較的多くみられるのも特徴のひとつ。今回も多くの若い世代がエントリーリストに名を連ねていたが、こちらの三菱「ミニカ」で参加のオーナーも、そんな若い世代を代表する参加者のひとりであった。
ずっと車庫に眠っていた車両を路上復帰
ヒストリックカー・イベントでメジャーな360cc時代の軽自動車といえば、スバル「360」やホンダの「N」シリーズ、スズキ「フロンテクーペ」あたりが多数派で、この時代の三菱の軽自動車となると、なかなかお目にかかれる機会は少ない。実際、今回のイベントでもこれが唯一の三菱製360cc車。しかもこの世代のミニカでも、スキッパーGTなどのスポーティ・モデルではなく、スーパーデラックスというグレードであることも、今ではかえって珍しい。そこでオーナーにお話を伺おうと周囲を見回すが、それらしい方は見当たらない。いや、もしかしてクルマの近くに佇むあの女性の方? 失礼ですがオーナーさんでいらっしゃいますか?
「あ、そうです。今日は1時間ほどかけて自走で参加しました」
と答えてくれたのが、この三菱ミニカのオーナーの“らん”さん。クルマの年式は1972年というから、「ミニカF4」と呼ばれる3代目である。当時の三菱製乗用車は堅実で手堅い設計で信頼性が高い反面、華やかさには欠けるというも印象があったが、このミニカF4もその例に漏れずシンプルなデザインのコンベンショナルなFRレイアウト。そんなミニカF4の、そもそもオーナーになった経緯は?
「このミニカ、もともとおじいちゃんのクルマだったんです。私が子どもの頃にはすでにほとんど乗られることもなく、ずっと車庫で眠っていました。でも、10年くらい前に再び車検を取って路上復帰。私も18歳になってすぐに免許を取得したので、それからは、このミニカF4をおじいちゃんとシェアするようになりました」
祖父からの20歳の誕生日プレゼント
小さいボディで小回りがきいて、軽トラよりもちゃんと「乗用車」らしいところがすっかり気に入ったという“らん”さん。するとおじいちゃんは彼女の20歳の誕生日に、このミニカF4を“らん”さん名義にするという「プレゼント」を贈ってくれたという。
「名義は私になりましたが、今でも必要な時はおじいちゃんとシェアしてます」
という“らん”さんは、それ以降もずっとこのミニカF4に乗り続けている。最近では日々のちょい乗りなどのほか、こういったイベントなどにも参加するという。
「ただ、うちのあたりは雪深いので、冬の間はリフトアップして冬眠させています」
と、とても大切にされている「おじいちゃんからプレゼントされたミニカ」。これからも一家みんなで、末長く乗り続けてくださいね。
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