プラットフォームの共用化が進む今、エンジンを含めて同じようなモデルが増えているほか、見た目がそっくりだけどボディの大きさやボディ形状などが違うモデルもある。これら似たもの同士のような2車の実際に乗った印象は違うものなのか? それともあまり変わらない?
派生モデルや姉妹車など、同じような2台の乗った印象はどこが違うのか? に迫る!
文:松田秀士、鈴木直也、渡辺陽一郎、国沢光宏
初出:ベストカー2018年3月10日号
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■【似たもの対決・1】 同じディーゼルを搭載する2列シートと3列シートの2車。乗り味に違いがある? 【マツダ・CX-5 vs マツダ・CX-8】
CX-5(上)とCX-8(下)
CX-5とCX-8の車幅は同じ1840mm。なので、この2台は同じプラットフォームを使い、CX-5のストレッチモデルがCX-8と思われがちだが、実は違うもの。
CX-8は米国で発売されている大型の3列シート車であるCX-9と同じプラットフォームを採用しているのだ。さらに、サスペンションアーム類もCX-9のモノをわざわざ縮めて作り直している。これらはシートが1列増えたことで多人数乗車となる重量増を見越しての処置。
当然のことながら乗り味はCX-5と変わる。特に感心したのは、北海道での4WDモデルを雪道で走らせた時だ。雪道は路面となる雪の状態が刻々変化し表面も荒れている。そのような状況でもボディ全体の振動がとても少なく、サスペンションが雪面をしっかりと捉えているのだ。
ボディ振動が少ないということは室内静粛性が高いことに繋がり、乗り心地もいい。
2.2Lディーゼルエンジンは、さらに改良が加えられ15ps/3.1kgmアップ。音振が改善され、低速域からスムーズにトルクを発揮する。
ハンドリングはステアリングの切り始めがCX-5に比べて若干ダルに感じられるが、これはサスペンションの有効ストロークによるもので、切り込むにしたがってフロントの動きをよりダイレクトに感じられるもの。
CX-8の全長を縮めてCX-5にしたくなるくらいだ。
(松田秀士)
【違いはある?】CX-8のほうがエンジンフィールも乗り味もいい!
◎CX-5(XD・2WD)
全長4540×全幅1840×全高2700mm、ホイールベース2700mm、車重1560kg、2.2L 直4ディーゼルターボ、175ps/42.8kgm、JC08モード燃費 18.4k/L
価格:280万8000~352万6200円(DE車)
◎CX-8(XD・2WD)
全長4900×全幅1840×全高1730mm、ホイールベース2930mm、車重1790kg、2.2L 直4ディーゼルターボ、190ps/45.9kgm、JC08モード燃費17.6km/L
価格:319万6800~419万400円
■【似たもの対決・2】 ベースが同じ2Lターボのセダンとワゴンだが、走行性能の差はあるのか? 【スバル・レヴォーグ2.0GT-S vs スバル・WRX S4 2.0GT-S】
レヴォーグ(上)とWRX S4(下)
スバル車は多くのモデルでプラットフォームを共用している。現在最も進化しているのはインプレッサ系のグローバルプラットフォーム。WRX S4とレヴォーグは、これより旧型のプラットフォームを改良したもので、この2車はプラットフォームもエンジン(2L車)もトランスミッションもAWDシステムもまったく同じものを採用している。唯一、違うのは3ボックスのセダンか2ボックスのワゴンというボディ形状だ。
しかし、この2台の乗り味は明らかに異なるもの。
レヴォーグはデビュー当時から、その固められたサスペンションによる乗り心地に対して異論が多かった。ホントは、走りが好きだからS4が欲しかったんだけど、レヴォーグ2.0GT-Sのほうが乗り心地もよさそうだし家族もOKを出してくれるだろう。と、レヴォーグを選んだ人、多いはず。しかし、いざ乗り比べると「S4のほうが乗り心地がいい!?」と思ったお父さんも多かったのでは。
ただし、スバルは反省していた。昨年の改良でサスペンションストロークを延長し、スプリングレートもソフトに振った。同じような改良はS4にも施されたが、レヴォーグのハンドリングと乗り味は大きく変化。
現在のレヴォーグはWRX S4よりも明らかに優等生の大人。すべてがマイルドだ。
(松田秀士)
【違いはある?】昨年の改良後はレヴォーグのほうがマイルドな乗り味
◎レヴォーグ(2.0GT-Sアイサイト)
全長4690×全幅1780×全高1490mm、ホイールベース2650mm、車重1560kg、2L 水平対向4ターボ、300ps/40.8kgm、JC08モード燃費13.2km/L
価格:361万8000円
◎WRX S4(2.0GT-Sアイサイト)
全長4595×全幅1795×全高1475mm、ホイールベース2650mm、車重1540kg、2L 水平対向4ターボ、300ps/40.8kgm、JC08モード燃費13.2km/L
価格:373万6800円
■【似たもの対決・3】 同じプラットフォーム&同じ2LターボのSUV2車、乗り味は違うのか? 【トヨタ・ハリアー 2Lターボ vs レクサス・NX300】
ハリアー(上)とNX 300(下)
ハリアーのターボとレクサスNX300は、ひと言で喩えるなら「ラグジュアリー志向のハリアーとスポーティ志向のNX」といった位置関係。デザインとシャシーの味付けによって異なるキャラクターをうまく作りわけている。
パッと見で印象的なのは、柔らかなラインで構成されたハリアーと直線的でシャープなNXのスタイリングの対比だ。インテリアの感触をふくめて、ハリアーは居心地のいいリビング感覚だが、NXはスポーティ色が強め。特に、足回りの味付けがそのキャラクターを反映しているように感じる。
いちばん異なるのは、たぶんハンドリング。NXのほうが操舵に対する反応がシャープで、ロールも抑制気味だし接地感もフラット。飛ばし屋さんにはコッチがお薦めだ。
ただ、日常の足としては、ハリアーのほうがウェルバランス。特に、低速の市街地走行では、当たりのソフトな乗り心地が好ましい。
エンジンはともに8AR-FTS型2Lターボで、カタログ馬力はNXのほうが7ps大きいものの、6ATも含めて基本同じ。フラットトルクでどこからでも力強く反応する35.7kgmのトルクは強力で、このセグメントのSとしてはもっともパワフルな部類。ここは両者まったく差がないといっていい。
個人的には、コスパもふくめてハリアー推しですね。
(鈴木直也)
【違いはある?】ラグジュアリーとスポーティで、キャラ分けしている
◎ハリアー(エレガンス・2WD)
全長4725×全幅1835×全高1690mm、ホイールベース2660mm、車重1660kg、2L 直4ターボ、231ps/35.7kgm、JC08モード燃費13.0km/L
価格:338万400~457万4880円
◎NX300(標準2WD)
全長4640×全幅1845×全高1645mm、ホイールベース2660mm、車重1710kg、2L 直4ターボ、238ps/35.7kgm、JC08モード燃費13.0km/L
価格:440万~532万円
■【似たもの対決・4】 2タイプあるスズキのハイブリッド。マイルドとストロングでは走りは違う? 【スズキ・スイフト マイルドハイブリッド vs スズキ・スイフト ハイブリッド】
スイフト マイルドハイブリッド(上)とスイフト ハイブリッド(下)
標準スイフトのマイルドハイブリッドは、インテグレーテッド・スターター・ジェネレータ(ISG)といって、ベルト駆動の発電機(オルタネータ)をモーターとしても活用するタイプ。もっとも簡易型だから、モーター出力も2kW程度。乗った印象は「アイドルストップからの復帰が滑らか」というくらいで、いわゆるハイブリッドっぽさはほとんどない。
いっぽうのストロングハイブリッドは、そもそもベースがシングルクラッチの5速AMT(スズキでの名称はAGS)で、そこに10kWのモーターを追加している。電池容量は100V/4.4Ah(0.44kW/h)とミニマムだが、それでも1~2kmほどのEV走行は可能だ。
それゆえこの両車、走りはぜんぜん異なる。マイルドハイブリッドはごく普通だが、ストロングハイブリッドはスムーズなモーターアシスト発進から、MT的にギアシフトしてスピードに乗せてゆく感覚。そしてアクセルオフ時のエネルギー回生などかなり独特。万人向けじゃないけど、ぼくはコッチが大好きです。
(鈴木直也)
【違いはある?】マイルドタイプはハイブリッドらしさがほとんどない!
◎スイフト ハイブリッドML(マイルドハイブリッド)
全長3840×全幅1695×全高1500mm、車重900kg、1.2L 直4+モーター、91ps/12.0kgm、JC08モード燃費27.4km/L
価格:162万5400~184万5720円
◎スイフト ハイブリッドSL(ハイブリッド)
全長3840×全幅1695×全高1500mm、車重960kg、1.2L 直4+モーター、91ps/12.0kgm、JC08モード燃費32.0km/L
価格:166万8600~194万9400円
■【似たもの対決・5】 待望のホンダハイブリッドミニバンの2車、乗った印象は違うものか? 【ホンダ・オデッセイ ハイブリッド vs ホンダ・ステップワゴン ハイブリッド】
ステップワゴン(上)とオデッセイ(下)
アコードでデビューしたホンダのi-MMDは、オデッセイ、ステップワゴンと搭載車を増やしてきたが、新しいモデルが登場するたびに、着実に進化を遂げている。
モーターやパワー制御系というのは、今いちばん開発競争の激しい分野だけに、研究で成果の出たものは即実践投入という感じ。
EVバブルの余波がHEVにも波及しているのだろうが、やはり競争の激しい分野は進歩も早い。
オデッセイハイブリッドに試乗した際には、アクセルを深く踏み込んだ際の加速感と、エンジン回転の上昇がうまくバランスしていて、CVT的なラバーフィールがだいぶ改善されたと感心したが、ステップワゴンのドライバビリティはさらに自然。ほんと、着実によくなっている。
さらに、ステップワゴンではハイブリッド化にあたってボディやシャシーにもアチコチ手を入れているから、ハンドリングや乗り心地の質感も向上。このジャンル、やっぱり後から出てくるクルマには敵いませんね。
(鈴木直也)
【違いはある?】ステップワゴンは後発のぶん、さらに進化している!
◎ステップワゴン スパーダ(ハイブリッドG ホンダセンシング)
全長4760×全幅1695×全高1840mm、車重1790kg、2L 直4+モーター、145ps、JC08モード燃費25.0km/L
価格:330万480~355万9680円
◎オデッセイ(ハイブリッド ホンダセンシング)
全長4840×全幅1820×全高1695mm、車重1820kg、2L 直4+モーター、145ps、JC08モード燃費26.0km/L
価格:375万~415万円
■【似たもの対決・6】 登場から丸5年、改良を重ねたこの2車の走りに差はあるのか? 【トヨタ・86 vs スバル・BRZ】
86(上)とBRZ(下)
初期モデルでは「滑らせて楽しいのが86。グリップ走行ならBRZ」などと言われてきたものの、今やノーマル車に関していえば同じだと思っていいだろう。どちらも意地を張るのに疲れ&微妙な差でコストアップになるのはツマらんということになったらしい。加えてサスペンション交換する人も少なくないため、もはや車種の差と言うより選んだサスペンションの特性になってしまう。標準グレードに関して言えば、好みのブランドをどうぞ。
されどお互いのスポーツブランドでモデファイされている『GR』と『STI』は、けっこう違うクルマに仕上がってます。GRの場合、走る楽しさを追求しており、狙いはモリゾウさんがラリーの時に乗っている86の味を出すこと。実際、GRMN86とモリゾウさん仕様、けっこう近いという。いっぽうBRZはパフォーマンスの向上に熱意を燃やす。サーキットのラップタイム向上を狙った感じ。まぁこれまた好みの差で決めればいいのかもしれません。
(国沢光宏)
【違いはある?】現在の標準モデルはどちらもほぼ同じだが、GRとSTIは違う
◎86(GT 6MT)
全長4240×全幅1775×全高1320mm、車重1240kg、2L 水平対向4DOHC、207ps/21.6kgm、JC08モード燃費11.8km/L
価格:262万3320~342万3600円
◎BRZ(S 6MT)
全長4240×全幅1775×全高1320mm、車重1240kg、2L 水平対向4DOHC、207ps/21.6kgm、JC08モード燃費11.8km/L
価格:243万~359万1000円
■【似たもの対決・7】 コンパクトベースのニスモチューン2車。走りはどこが違うのか? 【日産・マーチNISMO vs 日産・ノートNISMO】
マーチNISMO(上)とノートNISMO(下)
基本的にはボディの完成度とエンジンの差がハッキリ出ており、まったく違うクルマと言っていい。マーチの場合、そもそもタイで生産されるボディの剛性感や、仕上がりに課題を抱えてしまっている。そいつにスポーティなサスペンションを組み付けたモンだから、一段と厳しい乗り味。3気筒の1.2Lエンジンのパワーは足として使う最小限であり、ニスモというブランドを付けて満足するようなレベルにほど遠い。クルマにまったく詳しくないけどニスモ好きの人にすすめておく。
ノートはベースとなるモデルの完成度が明らかに高い。マーチで痛いほど感じる安っぽさ感なし。そのうえ、最小限のボディ補強パーツを加えているため、高い減衰力持たせたダンパーでもあまりドタバタしない。マーチニスモだと辛抱たまらない私ながら、ノートニスモなら我慢できるレベル。さらにエンジンもニスモでプログラムされたコンピューターが付く1.2Lスーパーチャージャー。それなりの動力性能を持つ。乗り比べたら迷わないです。
(国沢光宏)
【違いはある?】車の作りもエンジンもまったく違う!
◎マーチNISMO
全長3870×全幅1690×全高1500mm、ホイールベース2450mm、車重980kg、1.2L 直3、79ps/10.8kgm
価格:160万3800円
◎ノートNISMO
全長4165×全幅1695×全高1535mm、ホイールベース2600mm、車重1110kg、1.2L 直3スーパーチャージャー、98ps/14.5kgm
価格:210万600円
【プラスONE】 OEMだから同じクルマ。でも装備が違う車種もある
スバルジャスティなどのOEM車があるダイハツトール(左)デイズとは共同開発車だが、eKワゴンは標準車もターボがある(右)
OEM車の装備や価格は、供給を受ける(購入する)側が決める。スバルジャスティの場合、安価なグレードはベース車のダイハツトールと同額だが、上級は異なる。ジャスティカスタムRSスマートアシストは、トールカスタムGターボSAIIよりも10万5840円高い。その代わりジャスティには、トールでオプションとしているパノラマモニターやイルミネーションパックなどを標準装着する。トールにジャスティと同等の装備を加えるとほぼ同額だ。
また三菱eKワゴンは標準ボディでもターボを選べるが、日産デイズには設定がなくハイウェイスターのみになる。ただしデイズはターボの装着に伴う価格上昇をわずか1万800円に抑えた。
(渡辺陽一郎)
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