この記事をまとめると
■世界的にBEVの普及が減速傾向にあるといわれるようになった
強引にもみえた欧米の「EV100%化」を望んだのはメーカーでもユーザーでもない! いまEV促進が停滞しているのは政治的要因だった
■BEVの普及に関しては政治的背景なども見え隠れする
■BEVだけではなくさまざまなアプローチが今後の変化には必要だ
最近になってEVの普及が滞っている
世界的にBEV(バッテリー電気自動車)の普及が減速傾向にあることが、最近よくいわれるようになった。その理由はさまざまなものがあるのだが、やはり同クラスICE(内燃機関)車に比べて価格がどうしても割高となってしまうことが大きな要因のひとつだ。そのため、BEV普及に熱心な国ほど、補助金などのインセンティブを手厚くして普及促進を図ろうとしている。
2025年2月20日(木)に都内で行われたスズキの「スズキ新中期経営計画」発表の席上ではBEVについて、「インセンティブに頼ることなく、消費者がほしくなる環境の醸成が必要」といったような話も出ていたが、現状と今後を考えるとたしかに正論のように思える。
インドの首都デリーにて、2025年1月に開催された「オートエキスポ2025」では、政府としては、ややBEVに重きを置いているようにも見えるのだが、「マルチパスウェイ(脱炭素をめざすためにBEV一択ということではなく、同時進行的にほかの選択肢も用意するという考え方)」を積極的に進めている印象が見受けられた。
インド国内トップブランドとなっているスズキも、今回のオートエキスポでBEVとなる「eビターラ」をインドで初公開しつつ、インド国内ではCNG(圧縮天然ガス)や、CBG(圧縮メタンガス)、HEV(ハイブリッド車)など、マルチパスウェイ戦略を進めていた。
新中期経営計画の資料を見ると、インド市場戦略の項目における今後のマルチパスウェイへの取り組みとして、車両価格230万ルピー(約400万円)以上のクラスではBEVとS-HEV(ストロングハイブリッド)、車両価格130万~230万ルピー(約226万~約400万円)クラスでは、BEV、S-HEV、M-HEV(マイルドハイブリッド)、CNG(CBG)、車両価格50万~130万ルピー(約87万~約226万円)クラスではM-HEV、CNG(CBG)、FFV(フレックス・フューエル・ビークル)と、各価格帯に合わせたシステムで取り組むとしている。
現状、世界ではBEV一辺倒で脱炭素に取り組もうという姿勢も目立ち、政治的背景も強くチラつくことも普及減速を招いているものと考えている。世界的に見ても、積極的にBEVをラインアップしているのは高級ブランド車ばかりが目立っている。「大衆車」などとも表現できるクラスへいくほどBEVのラインアップは、先進国に籍を置くメーカーでは思うように進んでいないように見える。
電動化でどうにかなるとは到底思えない
このクラスを狙って世界へ進出しているのが、現状では中国メーカー車となっている。それでもBYDオート(比亜迪汽車)のATTO3の国内価格は450万円からとなっているし、タイなどの東南アジアでは、「ローコストBEV」としてその割安感からも注目されている、NETA(哪叱汽車)のNETA Vですら、タイでの価格は54万9000バーツ(約241万円)となっている。
もちろん、多くの国ではBEVの購入に対して補助金などのインセンティブを用意しているが、それでも現状ではBEVを購入できる層というのはある程度可処分所得に余裕のある層に限られるといった状況は、世界共通のように見える。
つまり、BEV一辺倒でその普及を進めても一定価格帯以下のモデルとなると、もちろん生産コストとのかねあいとはなるものの、現状では「BEVで脱炭素」と目論んでも、結果的に広くBEVの普及が進まず、なかなかその達成も進まないということになるものと考えている。
新興国では自国が経済成長するなか、それまで四輪車より圧倒的に多かった二輪車ユーザーを四輪車ユーザーへ転換させ、四輪車普及を進めようとしている傾向がある。しかし、BEVにこだわらなくても二輪車から四輪車への転換ということ自体「足踏み」状態になっているとのこと。
これもスズキの新中期経営計画発表の席上で出た話なのだが、インドでも四輪車ユーザーがなかなか思うように増えないとのこと。つまり、同じようなパイのなかでユーザーの奪い合いが日々行われていることになる。
しかも、その限られた(四輪車が買える)ユーザー層のなかでも、経済成長の過程で多様化も進み、モデルラインアップの多様化も進めなければならなくなっているように見える。そのような状況で「BEVを」といっても、価格が高いので、四輪車への転換というものへのスピードダウンをさらに招いてしまうだろう。
政府がやや偏っているように見えるものの、あくまでもBEVは選択肢のひとつというのがインドの姿勢であり、長い目で脱炭素を考え、マルチパスウェイで段階的に脱炭素をめざすことが正しい方向性なのかもしれない。
インドではかつて自国ブランドのタタモータースで「ナノ」という小型乗用車をラインアップしていた。当時の車両価格は10万ルピー(現在で換算すると約17.4万円)という信じられない低価格で販売されていたのだ。
ターゲットは二輪車ユーザーとなっていたが、二輪車ユーザーが注目するほど魅力(コスパなども含め)がなかったり、ほかに諸問題も抱え、2代目終売からすでに7年が経とうしている。首都デリーであっても、いまではほとんど見かけることはなくなった。
インドにおいては、近年の燃料費高騰もあり、二輪車や三輪車のほうがBEV化は進んでいるように見える。「BEV版ナノ」みたいなモデルが登場すれば、かなりインパクトが大きくなるのだが……。
気候変動問題の起源を産業革命とすると、産業革命が始まったのは1733年とされているので、それから292年が経とうとしている。それなりに時間をかけて現状さまざまな問題が発生しているのだから、クルマにおいて「BEVがすべての解決策」として、さも「短期間で問題解決する」といったイメージ作りをしているようにも見える現状には、違和感を覚えざるをえないだろう。
ただ、インドの首都デリーを2年ぶりに訪れると、路線バスや二輪車、三輪車のBEV化をはじめ、乗用車の多くはCNGを燃料にするなど、マルチパスウェイに取り組んだ結果、平日でも青空を取り戻すなど、少なからずその効果が出ていることは間違いない。
まずは消費者が自然と受け入れることができる範囲で、それぞれに対応できる手段で脱炭素に取り組むことが大切なのだとインドで感じることができた。
BEV普及が減速している現状は、一時的なBEVブームが終焉を迎え、「何をすべきか」と冷静に世界が物事を見つめ直す好機なのかもしれない。
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みんなのコメント
忙しいねえ
一日のうち数時間停電するのもざらにある。
計画的に充電しようにもステーションが使えないでは話にならない。