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自動車レースで使う「スリップストリーム」 日常の運転で燃費を向上させるテクニックと注意点

掲載 更新 12
自動車レースで使う「スリップストリーム」 日常の運転で燃費を向上させるテクニックと注意点

前走車を風除けにして空気抵抗を減らす

 F1などのレース中継ではおなじみの用語となっているスリップストリーム。高速で走行するクルマは“空気の壁“が大きな抵抗になる。エンジンの出力がその空気抵抗に打ち勝てなくなったところで、そのクルマの最高速を迎えると言っても過言ではないだろう。

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 もちろん走行中のクルマには、空気抵抗以外にもタイヤの転がり抵抗や、機械的なフリクションロス、駆動抵抗などの抗力がかかるが、およそ160km/h以上になると、抗力の9割は空気抵抗になる。というのも、空気抵抗は速度の二乗に比例して大きくなるからだ。したがって、クルマの最高速は空気抵抗との戦いといっていい。

 レースの場合、トップを走るクルマ=前走車がいないクルマは、もっとも大きな空気抵抗を受けることになるが、2位のクルマは、空気の壁をトップのクルマが掻き分けてくれるため、空気抵抗が減り、気圧低下による吸引効果も得られる。そのため、より少ないパワーで速度を高めることができるわけだ。

 この前走車が作り出す空気抵抗が小さいエリアに入り込むことを「スリップストリームに入る」、あるいは「トウを得る」という。スリップストリームを使えば、前走車のオーバーテイクが容易になり、追い抜かない場合(追い抜けない場合)でも、エンジン回転を押さえ、エンジンの負担を減らし、燃費をよくするメリットがある。

 そんなスリップストリーム。サーキットだけのテクニックで、公道では無縁のものなのだろうかというと、じつはそんなことはない。前述の通り、空気抵抗は速度の二乗に比例するので、低い速度域では効果が薄いが。

 ただ効果が薄いだけであってゼロではないところが重要で、モータースポーツ以外のスポーツなら、例えば自転車のロードレースやトライアスロン、アイススケート、マラソンではトップを走り、後続の風よけになるのが不利だということはよく知られている。それゆえ、先行する選手に過度に接近することが禁止されている競技もある。

 冬季五輪で注目されたスケートの団体パシュートや、ロードレースの「トレイン」などは、スリップストリームの使い方が勝敗を左右するほど効果が大きい。人力の競技でもこれだけ効果があるほどなので、クルマの場合、街乗りならともかく、高速道路やバイパスなどでは一定以上の効果があるのだ。

 問題はどれぐらい効くかということ。スリップストリームは前走車の前投影面積が大きく、前走車との距離が近ければ近いほど効果が大きい。90km/hで走るトラックの後方を乗用車が走った場合、車間距離30mだと、燃費改善率が11%になるというデータがあるので、これがひとつの目安となるだろう。

 ただし、90km/hで30mの車間距離というのは近すぎる。あおり運転ともとられかねないし、車間距離不保持で取締りにあう可能性も……(90km/hなら、最低でも50mの車間距離は空けておきたい)。

 その代わり、スリップストリームは、2台よりも3台、3台より4台と数珠つなぎ、つまりは「トレイン」「コンボイ」という状況になった方が大きな「トウ」が得られるということも理解して欲しい点。

 高速道路を走るなら走行車線のトラックの列(大型トラックは90km/hでリミッターが作動)のなかに、行儀よく並ばせてもらって、前に2~4台ほどトラックがいる状態を作れば、安全な車間距離でも、空力的にかなりオイシイ思いができるはずだ!

 一方でストップ&ゴーを繰り返す一般道では、ほとんど効果が期待できない。高速道路の長距離ドライブで、のんびり一定のペースで走りたいようなときに、ちょっとスリップストリームを意識してみるぐらいが、ちょうどいいのではないだろうか。

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みんなのコメント

12件
  • この記事、あおり運転や車間距離を詰めて走る事を助長していると思う。
    いくら燃費に効くとはいえ、安全を考えたら車間は開けるべきだ。
  • 大型トラックに近接しての走行で燃費が向上するとしても、万が一急ブレーキ踏まれたら・・・後続の大型トラックとでサンドイッチにされるかもしれませんから~
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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