ル・マン24時間レースでWRTの15号車BMWはライバルの83号車フェラーリに衝突されたことでリタイアとなった。WRTは、この件で83号車に対して与えられたペナルティが軽すぎると反発している。
15号車と83号車の接触があったのは、レース開始から6時間半という頃だ。ロバート・クビサが運転する83号車が、ミュルサンヌ・コーナーへのアプローチで15号車に突っ込んでしまい、15号車はウォールに衝突。これが原因で15号車はリタイアとなった。
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83号車フェラーリに対しては、30秒のストップ&ゴーのペナルティが科されたが、彼らはリードラップを維持し、優勝争いにとどまることができた。
クラッシュ時に15号車のステアリングを握っていたドリス・ヴァンスールはスチュワードによる83号車へのペナルティに怒りを示しており、X(Twitter)に次のように投稿している。
「皆さんのメッセージに感謝している。僕は大丈夫だ。軽い脳震盪にすぎない! 僕らのスポーツにとってはただ悪い1日だった。誰かを時速300kmで押しのけて、30秒のペナルティだなんてね。残念だけどFIA WECはここで信頼を失った」
WRTのヴィンセント・ボッセ代表もドライバー同様にペナルティには憤りを示している。彼は特に、クラッシュを引き起こした83号車が、リードラップに留まることができたのは耐え難いことだと語っている。
「結局のところ受け入れられないものだ」とボッセ代表は言う。
「私からしてみれば、このペナルティは非常にアンフェアなものだ。彼らはレースを奪ってしまったんだ。それで3時間後には再び表彰台を目指して戦えるよりも、何らかの形でスローダウンさせられるのがもっとふさわしいだろう」
一方でボッセ代表は、接触したときのドライバーであるクビサに対して恨みを抱いているわけではないという。クビサは2021年、2023年にWRTからWECとル・マンを戦っている仲間でもあった。
「ロバートとは親密だからね。彼はこの数年間、我々のところでドライブしてきた」
「我々はチャンピオンシップを昨年彼と共に制している。彼はとても尊敬のできる男だ」
「彼とこういうことになるとは思っていなかったが、私は彼を批判するつもりはない。まずは冷静になり、そしておそらく来週にでも彼と話をするだろう」
「彼のスポーツマンとしての水準は非常に高いものがある。私は彼をそう捉えているから、残念だがこの状況にはガッカリしていると言わざるをえない」
BMW陣営は今回、15号車がリタイアし、20号車もクラッシュ……20号車は後にコースへ復帰したが、順位のつかない結果に終わった。
BMW Mのモータースポーツ責任者であるアンドレアス・ルースはル・マンを振り返ると、20号車はもっと早く復帰させられたかもしれなかったが、「7月のサンパウロ戦に向けてダメージを負うリスクは冒したくなかった」と説明した。そしてさらにレースを振り返って次のように語った。
「ル・マンは常に非常に過酷なものだ」とルースは言う。
「第一に、ミスを犯してはいけないが、我々はそれができなかった。多くのミスを犯してしまった」
またボッセ代表はミスをしないことが「今のレースで勝つための方法なんだ」と付け加え、こう続けた。
「残念だが我々はある段階では速かったものの、速すぎたのか、もしくは頑張りすぎたのかもしれない」
「クルマについて、望んでいたほどには学ぶことができなかった。結局、このクルマで夜を越せなかったからね。来年は何をすべきではないかを学べたのではないかな」
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