新型レクサス「LM」に込められた開発者の想いを、実車を取材した山本シンヤがレポートする。
LMでしか体験できない新たな価値
レクサスの「LM」は、日本独自のミニバン文化が生んだプレミアムなモデルだ。初代は2019年に登場し中国マーケットでも高い評価を得た。そして2代目が上海モーターショー2023で世界初公開。本記事では、筆者が開発責任者の横尾貴己から聞いた“生”の情報を届けたい。
新型は単なるフルモデルチェンジではなく、立ち位置が大きく変わったのが最大の特徴である。地域限定モデルからグローバルモデルへ変わったのだ。
「初代は中国のお客様の声から生まれたモデルでしたが、その価値はライバルモデルの出現を含めて、十分認めていただいたと思っています。そんな評価を聞いたほかの地域からのリクエストも多く、新型はグローバルモデルとして開発を進めています」と開発責任者は述べる。
──初代は“アルファードのレクサス版”というイメージが強かったものの、2代目はいかに?「最大の違いは“高級ミニバン”ではなく“ラグジュアリームーバー”として開発を進めた事でしょう。現在レクサスは『電動化』、『知能化』、『多様化』を大きな3本柱にしていますが、その中でもLMは多様化を担う存在であると認識しています」
──新型LMは、セダンの「LS」、SUVの「LX」と並ぶ存在であるはずだ。現在レクサスは「NX」を皮切りに“新世代”に移行中だが、LMもそれに当てはまるのだろうか?「新型は新世代レクサスの一員であることをより意識しました。初代で評価された部分を引き延ばすだけではなく、LMでしか体験できない新たな価値の提供も目指しました。それは“デザイン”と“走り”です」
──箱型ボディのミニバンではデザインの個性を出しにくいはずだが、どう克服したのか?「新世代レクサスらしくスピンドルボディを採用したのはもちろん、“ミニバン=顔が命”から脱却したいという想いも込めています。ちなみにサイドビューを特徴付けるキャラクターラインは直進安定性、ロアスカートはロールを抑える効果がある機能部品としての役割もあります。先代と比べ40mm拡大された全幅は、デザインだけでなく走り(=トレッド拡大)にも活きています」
──4人乗り仕様に設定された専用キャプテンシートのこだわりは?「キャプテンシートはもちろん、空調やエンターテインメントを操作するリモコンやシェード、電動スライドシートをはじめとする各種機能などは、左右の席を“独立した空間”にすることを意識して開発をおこないました。VIPは後席にひとりで乗るケースが多いと思いますが、親しい人を横に乗せるときもあるはずです。そうしたとき、自身の操作でゲストを邪魔してはダメです。新型はそういった場面も考慮し、デザインなどを徹底的にこだわりました」
どの席に座っても満足出来る完成度──走行性能面ではいかに?「走りの面で不利と言われるボディ形状かもしれませんが、レクサスらしい走りを実現することが、大きなタスクでした。パワートレインは全車ハイブリッドとし、『LM500h』が2.4Lターボ+ダイレクト4、『LM350h』が2.5L+THSIIです。先代は動力性能の部分で不満の声もあったので、新型ではかなり意識しました。メインはAWDモデルですが、LM350hのみFF(前輪駆動)を設定しています」。
──乗り心地やハンドリングで目指したものは「ラグジュアリームーバーなので快適性は重要な要素ですが、それだけでは新世代レクサスと呼べません。ハンドリングは基本素性を活かし、素直で、自然な動きを目指しました。これはドライバーだけでなくパッセンジャーにも大きな効果があります。ドライバーが操作に戸惑う、的確な操作ができないと、不安は乗員にも伝わりますので」
──ドライブセレクトに設定された新しい「リヤコンフォート」モードの特徴は「リヤコンフォートはショーファーニーズに最適なモードで、後席における乗り心地の硬さを出来るだけ感じさせないようにし、かつアクセル/ブレーキ操作時の姿勢変化を最小限にしたセットアップです。静粛性は、エンジンからの音はもちろん、ロードノイズも乗員にできるだけ感じさせないように工夫しました」
──マスタードライバーの豊田章男は、トヨタ「ヴェルファイア」を愛用するリアルユーザーのひとり。新型LMは試乗済みなのか?「もちろん、評価いただいています。試乗後に一言『これは凄い‼』と、おっしゃられましった。まだまだ発売まで時間がありますので、最後まで作り込みの手は止めません」
──発売はメインとなる中国市場を皮切りに順次おこなわれるが、日本への投入は?「今秋を予定しています。まずはLM500hの4人乗り仕様を発売しますが、市場の声に応じてバリエーション追加も検討します。日本でも非常に高い反響があると聞いていますが、どれだけ作れるのかは悩みどころですが、お客様にご迷惑をおかけしないように販売方法を含め考えます。オーナーは後席に乗る機会が多いと思いますが、私としては大事な方ゲストを乗せて、自らステアリングも握っていただけると嬉しいですね。フロントシート/リヤシート、どちらに乗っても満足いただけるクルマに仕上がっています」。
文・山本シンヤ 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
右から来るクルマの目の前に飛び出してそこから左に
まあ立派な煽りハンドルだわ
対向車は急ブレーキ
本人はカッコいいと思ってやってるから救われない
田舎ドキューンなんてそんなもんか