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「こだわりのエンジン車」下山工場製「匠ユニット」搭載。GRヤリスを「令和時代のラストサムライ」と呼びたいこれだけの理由

掲載 更新 32
「こだわりのエンジン車」下山工場製「匠ユニット」搭載。GRヤリスを「令和時代のラストサムライ」と呼びたいこれだけの理由

G16E-GTS型「ハイスペックターボ」搭載。全身モータースポーツ直系

 GRヤリスは、1999年に生産を終了したセリカGT-FOUR以来、20年ぶりに復活したスポーツ4WDである。コンセプトは「ストロングスポーツカー」。トヨタのスポーツ戦略車として、「次期WRC(世界ラリー選手権)ホモロゲモデル」、「素のままでローカル競技で勝てるパフォーマンス」、「誰でも買えるスポーツカー」という3つのミッションが与えられた。

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 とはいえ、トヨタは20年の空白期間でスポーツ4WDの「技術」と「技能」を失っていた。それを短期間でリカバリーするために、開発を担当したGRカンパニーは「モータースポーツから学ぶ」手法を選んだ。強いクルマ作りはWRカーを手がけるTMR(トミ・マキネン・レーシング)、評価はレーシングドライバー/ラリードライバーから学んだそうだ。
 クルマ作りにも工夫がある。「高い目標」と「課題の明確化」のためにトヨタ自動車のさまざまなカンパニーと連携する「クロスファンクションチーム」を樹立。実はこれ、WRCを戦う「トヨタGAZOO Racing ワールドラリーチーム」と同じ手法である。

 GRヤリスの心臓部はG16E-GTS型。専用開発の直列3気筒ターボだ。ボア×ストローク87.5×89.7mmで排気量1618cc、圧縮比10.5、最高出力272ps/6500rpm、最大トルク370Nm/3000~4600rpm。最近主流のダウンサイジングターボではなく、まさにハイスペックターボである。
 開発エンジニアはWRカー用エンジンの製作を担当するTGR-EでWRCでのエンジンニーズを調査。「軽量/コンパクトである」、「中低速トルクの豊かさと、ハイパワーを両立させる」、そして「扱いやすい」という希望を把握し、これをすべて実現した。

 エンジン生産はトヨタの下山工場で行われる。通常のエンジンとは比較にならない高精度実現のために各部品の重量合わせや組み付け精度を理想値とするための工夫を施し、量産する新システムを構築した。完成したエンジンには、ブロック側面に「GR SHIMOYAMA 匠」のエンブレムが装着される。
 設計者の理想値実現を保証する証明である。

すべてに「こだわり」満載。走りは刺激たっぷり

 GRヤリスはエンジン以外にもこだわりを満載した。トランスミッションはGRヤリス用に強化&最適化された6速MT。シフトアップ/ダウン時にエンジン回転数を合わせる「iMT制御」も採用する。
 AWDシステムはシンプル&軽量なハイレスポンスカップリング(電子制御多板クラッチ)を用いたGR-FOUR。前後駆動力配分は3つのドライブモード(ノーマル60対40/スポーツ30対70/トラック50対50)が設定され、前後1000対0~0対100までアクティブに制御される。RZハイパフォーマンスにはフロントとリアにトルセンLSDが組み込まれる。

 プラットフォームはフロントが標準ヤリス用のGA-B、リアセクションはひとクラス上のGA-Cと言うハイブリッド仕様。WRCのレギュレーションを考慮してさまざまなアイデアを盛り込んだ結果、ほぼ専用設計になった。
 ボディはマルチマテリアル構成。軽量化と低重心のためにボンネット/ドア/リアゲートはアルミ製、ルーフはC-SMC製(カーボン)だ。バッテリーのリア配置で重量配分の適正化を行っている。
 サスペンションはフロントがストラット、リアにはダブルウィッシュボーンを採用。ブレーキは対向ブレーキキャリパー(フロント4ポッド/リア2ポッド)+大径ローター(フロント2ピース、リアドラムインディスク)、タイヤは225/40R18を装着する。
 生産は愛知県の元町工場に新設した専用ラインのGRファクトリーが担当。タクトタイム600秒、ベルトコンベアなしで1台1台丁寧に熟練スタッフの手で生み出される。

 走りは刺激たっぷりだ。フットワークは「軽さは正義」を実感する。車両重量は1280kgだが、体感上は1200kg前半のイメージ。セオリーどおりに走る限りは、オンザレールのハンドリングが印象的。グイグイとノーズがインを向くアンダー知らずのフロントとドシッと踏ん張るリアのバランスは秀逸だ。しかもドライバーのアクション(アクセルやブレーキ、ステアリング操作)次第でオーバーステアまで持ち込める自在性も持ち合わせている。
 GRヤリスの走りは、これまでのトヨタ車になかったセットアップである。
 偉大なる先輩たち……三菱ランサー・エボリューション、SUBARU・WRX・STIが生産終了となった現在、スポーツAWDのDNAを受け継いだ「令和のラストサムライ」と呼びたい1台である。

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みんなのコメント

32件
  • なるほど、ヤリスがブーストアップで400馬力でも大丈夫なのも納得。

    昔ランエボでレースしてた頃に、レース屋にオーバーホールしてもらった4G63は500馬力で2シーズン参戦したけどノントラブルだったよ。

    同じ部品使ってここまで違うものか…と驚いたのを思いだしたよ。
  • このギュって詰まった感じがいいね!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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