●文:月刊自家用車編集部(ハラ)
スッキリ美しく、でもスポーティ。新型エクストレイル用NISMOが登場。e-POWER初のスポーツマフラーもあり
【プロフィール】伝統メカニズムと最新デバイスを融合した本格クロカン
トヨタ
ランドクルーザー プラド
発売日2009年9月
価格:315万~475万円(2009年9月当時)
もともとはランドクルーザーの廉価仕様という位置づけだったが、代を重ねるごとに上級志向を強化。2009年に発売された現行モデル(4代目)は、ボディサイズやパワートレーン設定こそランドクルーザー(先代・200系)の1クラス下になるが、内装の仕立ても良好で、装備の充実ぶりも際立つ。優れた基本性能とこなれた価格設定のおかげもあって、本家ランドクルーザーに匹敵する人気を集めている。
導入当初に設定されたパワートレーンは、2.7L直4ガソリン(163PS/25.1kg・m)と4LのVガソリン(276PS/38.8kg・m)の2つ。2015年の改良時に2.8L直4ディーゼルターボ(177PS/45.9kg・m)が追加されている。
ラダーフレームの本格シャシーにセンダーデフにトルセンLSDを用いるフルタイム4WDを採用するなど、ボディサイズこそミッド級になるが、悪路走破性能はランドクルーザーと同等と考えていい。
―― ボディサイズは全長☓全幅☓全高:4825☓1885☓1835mm。2017年のマイナーチェンジで外装デザインが変更され、より存在感溢れる顔つきを手に入れている。 [写真タップで拡大]
―― 最新モデルのインテリアは形状と素材を見直し、かつ加飾を増やすことで、よりモダンなデザインを手に入れた。撮影車は2017年のTZ-G。
【モデル変遷&グレード展開】2015年6月に待望のディーゼルターボ車を追加
2009年9月にフルモデルチェンジを実施。先代ランドクルーザー(2007年9月発売)に遅れること2年遅れで刷新されたことになる。
導入当初のグレード構成は全モデルガソリン車という設定。2.7L車にTX(5名乗り車/7名乗り車)とTX Lパッケージ、4.0L車にTX、TZ、TZ-Gを設定。5グレード、6タイプのモデルを選ぶことができた。2.7TX以外のグレードは7名乗り車になる。
伝統のフルフレーム構造の改良とボディ剛性向上により、指摘されていた乗り心地が改善。良化。キネティックダイナミックサスペンションシステムやクロールコントロールなどの電子制御機能が採用されたことで、オンロード性能が向上したことも特徴。車載カメラの映像から周囲の路面状況を確認できる「マルチテレインモニター」を設定するなど、砂地やがれ場でボディ周辺の状況を検知する機能も強化されている。なお発売1か月の受注台数は約3700台(当時の月販目標台数は1000台)。生産工場は日野自動車・羽村工場。
2013年9月にマイナーチェンジを実施。外装意匠(フロントグリル、ライト類の変更)と内装質感(ファブリック素材の変更、スーパーUVカットガラスの採用)の向上が図られたほか、TX Lパッケージ車(2.7L車)に5名乗り仕様を追加。サスペンションのチューニング変更によりオンロード性能の向上も図られている。
2015年6月に一部改良を実施。新開発の2.8Lクリーンディーゼルエンジン「1GD-FTV(177PS/45.9kg・m)搭載モデルを追加設定した。4Lガソリン車が廃止され、2.7Lガソリン車のトランスミッションが6速オートマチックに変更されている。
2017年9月にマイナーチェンジを実施。外装意匠を変更(エンジンフード、フロントグリル、LEDヘッドライト化など)したほか、インパネデザインも変更。新たにトヨタセーフティセンスP、ドライブスタートコントロールを全車標準装備とした。ランドクルーザーシリーズとして初めてリヤディファレンシャルに採用したトルセンLSDや、シーンに合わせて5つの走行モード(NORMAL、ECO、COMFORT、SPORT S、SPORT S+)を選択できるドライブモードセレクトを「TZ-G」に標準装備している。
2020年8月に仕様変更を実施。ディーゼルターボ車の最高出力を従来の177PSから204PSに向上させた。安全装備のトヨタセーフティセンスの機能向上も実施。車載IT機能はディスプレイーオーディオがOP設定された。
2021年6月に一部改良を実施。インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]が標準装備化された。同時にランドクルーザー生誕70周年を記念した特別仕様車「X“Lパッケージ・70th ANNIVERSARY LIMITED”」も発売されている。
―― 写真は2009年登場時のTX。
―― 写真は2009年登場モデル。 [写真タップで拡大]
【試乗インプレ】先進装備の活用で、オフロード走破の難易度を低減
ハードなオフロード路でこそ真価を発揮する本格クロカンだが、最新の機能デバイスの恩恵を得ることで、歴代屈指の高適性を示してくれることが、独自の強み。具体的には走行支援のマルチテレインセレクトやクロールコントロールがかなり効果的で、ハードなオフロード走行でのドライバーの負担を大きく軽減してくれる。
オンロードでは、ラダー車特有の緩さを感じる運転感覚に戸惑いを覚えるシーンもあり、同価格帯のクロスオーバーSUVのような快適性や質感は望めないが、それでも1世代前のラダー車よりも大きく改善されている。改良時にACCなどの機能も強化されたこともあって、長距離が苦手というわけではなく、都会から行楽地に向かう際の足クルマとしても、なかなか優秀。レジャーの定番車として人気が高いことも、十分にうなずける。
パワートレーンは力強さに富む2.8Lディーゼルターボの方が幅広い速度域で扱いやすい。価格差は80万強とこのクラスのモデルとしても大きめだが、その分、売却時のリセール価格も高い。装備と機能が充実している最上級のTZ-G(553万円)をオススメしたい。
―― よく動くアシに加えて、クロールコントロールなどの最新装備も充実。2.8Lディーゼルターボは低中速域で扱いやすい特性をもつため、オフロードとの相性も抜群に良い。 [写真タップで拡大]
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登坂車線に行くか、って考えるくらい