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PSAとFCAが対等合併に合意。売上高で世界3位の自動車メーカーが誕生

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PSAとFCAが対等合併に合意。売上高で世界3位の自動車メーカーが誕生

グループCEOを務めるのは日本でも知られるカルロス・タバレス氏

自動車業界が大きく変革する中、従来のままでは生き残れないと言われています。CASE(コネクティッド・自動化・シェアリング・電動化)の時代、走りを担うシャシーやエンジン、燃費性能やスタイリングといった商品力だけでは立ち行かなくなっていくからです。そのために自動車メーカーは合併を模索していますが、ついにFCA(フィアット・クライスラー)とPSA(プジョーシトロエン)が対等合併を発表しました。これにより、年間販売台数で870万台という世界第4位の自動車メーカーが誕生します。ちなみに、3位までのメーカーはフォルクスワーゲン、ルノー日産三菱アライアンス、トヨタとなります。また、FCAとPSAを合計した売上高は1700億ユーロ規模となり、こちらは世界第3位にあたるということです。

もともと経営危機に陥ったクライスラーをフィアットが吸収するカタチで生まれたFCAは、ここ数年の業界再編においてキープレイヤーでした。一方、PSAも単独で生き残るのは難しい規模といえ、アライアンスを模索していました。2017年には、PSAはGMから欧州の事業といえるオペル・ブランドを買収、はやくもアライアンス効果を出しているのは知られているところです。むしろ、オペルを吸収していなければ今回の対等合併という話にはならなかったでしょう。

さて、目先で考えられる合併による効果は、いわゆる「スケールメリット」と呼ばれるものです。一例をあげれば、同じプラットフォームやパワートレインを複数のブランドで共有することによる開発費負担の軽減にあります。FCAとPSAの合併においても、年間37億ユーロの相乗効果を生み出すとされています。これは様々な部分での共通化により見込まれるコストダウンが生み出すメリットといえます。フィアット、プジョー、シトロエン、オペルといったブランドのラインナップは同じようなセグメントで重なっていますが、だからこそスケールメリットが追求しやすいといえます。

また、両社の主なブランドとしてはフィアット、アルファロメオ、ジープ、プジョー、シトロエン、オペルといった名前が並びます。これらは維持し、また工場の整理も考えていないといいます。それぞれのブランドが強みを持つ市場(欧州・北米・南アメリカ)は守りながら、他地域での存在感を強めることで販売台数を伸ばそうということになるでしょう。

しかし、CASEがキーワードとなる時代における合併の狙いは、プラットフォームやパワートレインの共通化というスケールメリットだけではありません。CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)の各分野においても規模は重要です。より具体的にいえば、電動化に伴うバッテリーなどのサプライチェーンの確立は緊急のテーマといえます。コネクテッドや自動運転といった技術、シェアリングのビジネスモデルなどは個社がそれぞれ進めていっても、デファクトスタンダードを取れるとはいえず、メーカーとしてのスケールが生き残りに影響するためです。CASEの各分野は開発費もかかりますが、メーカーとしての規模を大きくすることで、相応の負担が可能になるといえます。

FCAとPSAの合併によって誕生する新しい自動車メーカー、そのCEO(最高経営責任者)を務める人物も発表されました。それはPSAを率いているカルロス・タバレス氏です。かつて日産自動車の副社長も務めていましたから、その名前や顔を覚えているという自動車ファンも少なくないでしょう。ルノーのCOOからPSAに転身したカルロス・タバレス氏はPSAを復活させた立役者として、その経営手腕が高く評価されています。新会社でも最初の5年間はCEOを務めると発表されているほどです。

トップへのこだわりを持ち続けるカルロス・タバレス氏が率いる、FCA-PSA合併会社は果たして自動車業界のトップに立つことができるのか、さらに他社との合併はあるのか。今後の動きに注目です。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

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