経済性と満足感を両立する小型車トップ10
エネルギー消費量を減らすことが奨励されている今、少ない材料で生産でき、燃費も良い小型車は、なぜか肩身の狭い思いをしている。
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車重2500kgのプラグイン・ハイブリッドSUVの方が「環境的に許容できる」とする法律によって、市場から締め出されているのだ。なんという皮肉だろう。
だからこそ、改めて小型車の魅力にフォーカスを当てたい。小型車は窮屈で、スパルタンで、安っぽいと思っている人は、もう一度考え直した方がいい。
実際、欧州で「Aセグメント(別名:シティカー)」と呼ばれる小型車クラスはかなりのスピードで進化しており、都会のコンクリート・ジャングルを駆け回ったり、高速道路をひたすら走ったりと、日常の移動手段として十分に対応できる。
さらに、細いタイヤ、低い車体、活発なエンジンによって、しばしばスリルあるドライビングを楽しませてくれる。自動車業界の序列における地位に見合わないほどの魅力があるのだ。
ここでは、低いランニングコストと驚くほど濃厚な個性を併せ持つ魅力的なシティカー(一部例外あり)のトップ10を紹介する。ランキングと評価はAUTOCAR英国編集部が欧州で行った試乗レビューを基にしている。
1. ヒョンデi10
長所:すっきりとした新しい外観。室内空間の広さと装備。4気筒エンジンはこのクラスとしては強力。
短所:ハンドリングは安定感を増したが、楽しくはない。ライバルのような洗練された乗り心地ではない。かつてのようなお買い得感はない。
一部のメーカーにとって、シティカーは非常に低コストで設計された安価なマシンであるはずだ。しかし、ヒョンデi10では、上級SUVと同じ高い基準を適用しているように感じられる。
第3世代となる現行のi10は2019年に登場した。昨年のマイナーチェンジでは魅力に磨きをかけ、1万5000ポンド(約280万円)という価格からは想像できないほど、うまくまとめられている。
インテリアの質感は大幅に向上し、実用性も高まった。居住性の高さはワンクラス上のモデルに匹敵する。エクステリアもシャープで、シックな魅力がある。
装備も充実しており、最廉価のエントリーグレード「SEコネクト」でさえ、エアコン、パワーウィンドウ、革巻きステアリングホイール、バックカメラ、Bluetooth接続機能を備えている。これ以上何が必要だというのだろう?
際立っているのは走りの良さだ。上級グレードでは16インチ・ホイールを履き、多少のロードノイズはあるものの衝撃吸収性に優れており、乗り心地が良くリラックスできる。コンパクトなボディサイズと軽い操作感も相まって、街中を楽々と走ることができる。
ハンドリングはキビキビとしていて、運動性能は十分。そして、最高出力83psの4気筒エンジン(小型車では今や珍しい)は、適切なドライバビリティと実用的な走行性能を実現している。また、パワーは劣るが、鼓動感のある1.0L 3気筒エンジンも個性的だ。
設定されているマニュアル・トランスミッションも優秀で、軽快かつ正確、手首を軽く動かすだけで満足のいくシフトチェンジが可能だ。
生産終了したフォルクスワーゲンUp! GTIのようなスター性はないかもしれないが、実用的でバランスのとれたシティカーとして、このクラスのトップに君臨している。
2. キア・ピカント
長所:ライバルより優れたインテリア。スマートなスタイリング。
短所:2024年のアップデートで価格が上昇。非力なエンジン。
兄弟車のヒョンデi10と同様に、キア・ピカントも最近のモデルチェンジで大幅にアップグレードされた。以前より見栄えも良くなったが、インテリアはとても良く仕上げられており、標準装備もまずまずのレベルとなっている。
乗り心地やハンドリングの面でも好印象で、穴だらけの英国の道路によく対応している。
最高出力66psの1.0L 3気筒エンジンは少し弱々しく感じることもあるが、上級グレードにはパンチの効いたターボエンジンが用意されている。
実際のところ、ピカントとi10を隔てるものは、外観、装備、エンジン、そしてトランクの大きさ(キアがわずかに小さい)以外にほとんどない。
3. スズキ・イグニス
長所:優れたパッケージングと室内空間。汎用性が高い。見た目も運転も楽しい。コンパクトなのに四輪駆動。
短所:キャビンの質感は欧州車に及ばない。低速域での乗り心地は少し粗い。
イグニスは価格、室内の広さ、汎用性、低燃費に恵まれた魅力的な1台だ。クロスオーバーに近い外観も、市場の嗜好にマッチしている。
特にパッケージングが素晴らしく、サイズの割に室内空間が広い。インテリアはところどころチープに見えるし、スズキのタッチスクリーン・インフォテインメント・システムには少々不満が残るが、耐久性や機能性が十分に高いため、気にしない人の方が多そうだ。
舗装路におけるダイナミクスは、実のところ、ライバル車ほどシャープでも洗練されてもいない。性能は比較的優れており、スズキの賢い12Vマイルドハイブリッド・システムが必要なトルクを加えてくれる。ハンドリングはかなり軽快だが、大きな段差の上では乗り心地が少々粗く感じられる。
スズキの「AllGrip(オールグリップ)」という四輪駆動システムが用意されており、多くのライバルよりもオフロード走行が得意だ。このような多くの魅力が詰まった1台であり、驚くほど個性的なパッケージとなっている。
4. フィアット・パンダ
長所:広々とした後席。力強いエンジン。すっきりとしたハンドリング。
短所:前席のニールームが狭い。高速走行時の乗り心地が不安定。高価格。
パンダは、ほとんどライバルとは性格が異なる。フィアット自身、パンダはシティカーというより「エッセンシャルカー」だと述べており、明るくシンプルな性格を最大の特徴としている。
2011年に発売された第3世代のパンダは、ずいぶん年季が入っているかもしれないが、それでもその魅力は光り輝いている。
装備は乏しく、ドライビング・ポジションも取りづらいが、頑丈で実用的であることに変わりはない。マイルドハイブリッドも用意されるなど、パワートレインは新しい。
パンダで最も魅力的なのは4×4であり、山羊のようにどこへでも行ける走破性と、力強い外観が与えられる。決して安くはないが、アルプスに住むオーナーにとっては間違いない選択だろう。
5. ダチア・サンデロ
長所:印象的なスペック。優れたコストパフォマンス。
短所:のんびりしたエンジン。このリストの他車ほど小さくない。
ダチア・サンデロはBセグメントに分類されるため、正確にはシティカーではないが、このリストのほとんどのクルマより安く買えるという事実を考えると、ここで紹介するのは十分妥当だと思う。
通常のシティカーよりも大柄で、当然ながら室内も広々としているが、低価格には代償が伴う。
インテリアは見た目も質感も明らかに旧式で、ドライビング・ポジションは少しぎこちなく、コーナリングではかなりボディがロールする。しかし、最高出力90psのターボチャージャー付き3気筒エンジンは活発で、燃費も悪くない。
サンデロはまた、LPG(液化天然ガス)エンジンを搭載した数少ないモデルの1つであり、低価格の低排出ガス車を探している人にとってはさらに魅力的だろう。
6. シトロエンC3とe-C3
長所:優れたコストパフォマンス。快適な乗り心地。充実装備。
短所:平凡なスタイリング。運転の楽しみが少ない。
新型シトロエンC3は、快適性を重視し、ブランドの新しいデザイン言語を取り入れた先代とは大きく異なる次世代車だ。
ガソリン車とEVが用意され、価格は1万5000ポンド(約280万円)前後から。
ガソリンエンジンは最高出力99psの1.2Lターボで、5速マニュアル・トランスミッションが用意されている。同じ出力の3気筒マイルドハイブリッドも選択可能で、6速デュアルクラッチ、48Vバッテリー、28psの電気モーターが組み合わされる。
欧州で試乗したところ、その快適性の高さが明らかになった。乗り心地の良さはクラス最高レベルである。
容量310Lの実用的なトランクに加え、充実した装備も魅力的だ。手頃な価格の素晴らしいシティカーとなっている。
7. MG 3
長所:驚くほど余裕のある性能。低価格でハイブリッドを実現。快適な乗り心地。
短所:マルチメディアと運転支援機能に改良が必要。視界が悪い。サイズが少し大きい。
お買い得モデルを揃えるMGのボトムエンドを支えているのがMG 3だ。最近改良を受け、手頃な価格でハイブリッド・パワートレインを選べるようになった。
価格は1万8495ポンド(約340万円)からで、シトロエンC3が登場するまではクラス最安価レベルだった。
決して遅いクルマではない。公式な0-100km/h加速は8.0秒とされているが、AUTOCARのテストでは7.1秒を記録した。いずれにしても、ルノー・クリオ(9.0秒)やトヨタ・ヤリス(9.7秒)よりも速い。
速いとはいえ、ドライビングはそれほど楽しいわけではない。ただ、乗り心地は良く、街中の段差はほとんど簡単に吸収してくれる。
全体として、MG 3は魅力的なクルマであり、ハイブリッド車のランニングコストは低く、オールラウンドな快適性とスポーティささえも兼ね備えている。
8. トヨタ・アイゴX
長所:成熟した洗練性、長距離走行での快適性。標準の安全技術。
短所:遅い。ライバル車に比べて高価。
2022年に登場した第3世代のアイゴは、欧州トヨタ最小のモデルとしてクロスオーバーに生まれ変わったが、市場のトレンドを考えれば驚くべきことではない。
高くなった車高と力強いデザインは、昨今では定番のレシピとなっているが、アイゴXはシティカーとして驚くほどの個性を放っている。
シトロエンやプジョーとの共同開発だった先代モデルとは異なり、最新のアイゴXはトヨタの単独開発だ。
内外装のファンキーなデザインは、タフで頼りがいのある印象を与える。ドライビング・ダイナミクスは成熟し、しっかりコントロールされた乗り心地と従順なハンドリングを兼ね備えている。
残念なのは1.0L 3気筒エンジンである。これまでのすべての世代で使用されてきたが、最高出力69psでは重いクロスオーバーの車体を動かすのに苦労してしまう。
インテリアは見た目もよく、頑丈に作られており、装備も充実している。しかし、このリストの上位にあるヒョンデや、フォルクスワーゲン・ポロのような広さはない。また、上級グレードで2万ポンド(約370万円)を超えるという事実も直視しなければならない。
ただ、オプションの格納式ファブリック・サンルーフは素晴らしい特徴の1つだ。晴れた日にはトロエン2CVのような心地よい雰囲気にさせてくれる。
9. フィアット500
長所:個性的なスタイリングは古さを感じさせない。実燃費23km/l。ソフトトップのカブリオもある。
短所:キャビンとトランクが狭い。装備などは少し古く、安っぽく感じる。性能は控えめで、乗り心地はノイジーでぎこちない。
フィアット500は、発売から約15年経った今でも新鮮な外観を保っている。改めて考えてみれば、これは驚くべきことだ。
最高出力70psの3気筒ガソリンエンジンを搭載したマイルドハイブリッドや、EVの500eがあるが、見た目は似ていても両車に共通点はほとんどない。
500eでは航続距離が最長320kmと謳われ、他のEVに完全に遅れを取っているわけではない。速く走りたい人にはアバルト500eもあり、こちらは最高出力154psにパワーアップするが、航続距離は265kmに落ちる。
アバルト500eは、エンジン車の排気音を再現する斬新なサウンド・ジェネレーターを備えている。しばらくの間は楽しいが、すぐに飽きてしまう。ゼロ・エミッションのシティカーという点では、標準的なフィアット版の方が適している。
10. シトロエン・アミ
長所:コンパクトなサイズ。最小回転半径が小さい。ミニマルなデザインと構造。
短所:乗り心地が悪い。悪天候での視界の悪さ。走行エリアによっては危険を感じる。
このリストの中で最もシティカーという言葉にふさわしいのが、シトロエン・アミだ。都市環境に特化しており、それ以外の場所では十分に対応できない(そしてすぐに充電が切れる)。
自動車というより正確には四輪バイクであり、シトロエンが都市部における低価格の交通手段として開発した、風変わりな乗り物である。
コンパクトなサイズ、小さい旋回半径、電動パワートレインなど、基本的な部分は混雑した都市での使用に適しており、必要以上のものは備えていない。そのミニマルなデザインにこそ魅力があることは確かだ。
最高速度は45km/hで、航続距離は74kmと心細く見えるが、シトロエンが想定している環境ではあまり問題にならない。
とはいえ、その一本気なアプローチは、都市部以外で真価を発揮できないことを意味する。鈍く冷え切った性能、衝撃をそのまま身体に食らうような乗り心地、悪天候時の視界の悪さは、郊外道路では恐怖を感じてしまう。
アミは、非常に狭い動作範囲において見事に実現されたシティカーだ。限られた動力性能と地理的範囲に合致する場合にのみ、正当化できるクルマなのだ。
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