先日、スバルが発表した6MT車用のアイサイトを今秋のBRZ一部改良時に搭載のアナウンス。すでにGRヤリスやスイフトスポーツなどにはメーカーオプション設定されているが、イマイチ運転自体がうまくない? そのあたりが今度のアイサイトは改善されている可能性を含め、分析してもらった。
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部
スバルBRZのMT車にアイサイト搭載で考える! MT車のアダプティブクルコンって何がどう凄いの?
■MT車のアダプティブクルコンがスバル車にも登場
BRZの6MT車にもようやく待望の先進安全装備のアイサイトが装着されるようになるとのアナウンスがあったが……
今は衝突被害軽減ブレーキが大幅に普及した。カメラやミリ波レーダーなどのセンサーが、先行車との車間距離や速度差を把握して、衝突の危険が高まると警報を発する。状況がさらに悪化すると、衝突被害軽減ブレーキを自動的に作動させる。過信は禁物だが、交通事故を防止する効果は高い。
そして衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱警報のメカニズムを活用すると、一定の車間距離を保ちながら追従走行したり、ステアリングの操舵制御を行ったりする運転支援も可能になる。ドライバーのペダルやステアリングの操作が軽減される仕組みだ。そこで多くの車種は、衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能をセットにして装着している。
スバルのアイサイトは、衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能を普及させるうえで、大きな役割を果たした。アイサイトは2008年に4代目レガシィに搭載され、2010年のアイサイトバージョンIIでは、システム価格を10万円(税抜き)に抑えて人気の装備になっている。
「ぶつからないクルマ?」というタレントの石田ゆり子を使ったテレビCMも話題になり、他社の衝突被害軽減ブレーキの装着率を高める相乗効果を生み出した。
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■なぜ今までは6MT車にアイサイトの設定がなかったのか?
今までスバルの6速MT(マニュアルトランスミッション)車は、アイサイトを装着できなかった
このようにアイサイトは、衝突被害軽減ブレーキと運転支援機能の先駆的な存在だが、今までスバルの6速MT(マニュアルトランスミッション)車は、アイサイトを装着できなかった。今はスバルもATが増えたが、BRZには6速MTがあり、以前はWRX STIなども用意していた。これらはアイサイトが非装着であった。
それがようやく、2023年の秋からBRZの6速MT車にもアイサイトが装着されることになった。ここで不可解に思えることは、なぜ今までスバルの6速MTには、アイサイトの設定がなかったのか、という点だ。マツダなど他社の衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能は、MTにも設定されるから、スバルは見劣りする印象があった。
そこでスバルの開発者に、6速MT車にアイサイトが搭載されなかった理由を尋ねると、以下のように返答された。
「理由はふたつある。まずは6速MTとアイサイトの親和性だ。6速MTの作動は、ATとは異なるため、専用の設定が必要になる。ふたつ目は6速MTの販売台数が少ないこと。ATに比べると、どうしても開発が遅れてしまう」。
■アイサイトと6MT車との親和性はどうか?
BRZはデビュー時からステレオカメラを採用した旧Ver.III相当のアイサイトを採用してはいた
注意したいのは6速MTとアイサイトの親和性だ。ATであれば、衝突被害軽減ブレーキによって急ブレーキが作動しても、エンジンが停止する可能性は低い。ブレーキの真空倍力装置なども通常どおりに作動する。
ところが6速MTでは、衝突被害軽減ブレーキが作動した時にドライバーがクラッチペダルを踏まないと、エンジンが停止する場合がある。運転支援機能も同様で、6速にシフトして走行中、先行車が減速したのに自車のドライバーがクラッチペダルを踏んだり、シフトダウンしたりしなければ、エンジン回転数が大幅に下がってエンジン停止に至る。
衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能の作動によって速度が下がったのに、ドライバーがクラッチペダルを踏んだり、シフトダウンしたりしないためにエンジンが止まると、真空倍力装置も作動しないから次第にブレーキの利き方が低下する。
高い踏力が必要になる。車種によってはパワーステアリングの作動も止まる。このような懸念もあるため、スバルは6速MTとアイサイトの組み合わせに慎重だった。
ただし、客観的にいえば、衝突被害軽減ブレーキを作動させること自体に事故を避ける大きなメリットがある。また、6速MTに慣れた多くのドライバーは、衝突被害軽減ブレーキなどの作動によって速度が下がると、無意識にクラッチペダルを踏む。そうなればエンジンが停止しない可能性も高まる。
真空倍力装置も、エンジン停止後にブレーキペダルを何回か踏まないかぎり、負圧が残っているから制動力が急に衰える心配はない。従ってマツダなどの他社は、MT車に衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能を以前から装着していたが、スバルはさまざまな可能性を考えて完璧を目指した。
■BRZはMT車の販売比率が高いのだが……
BRZでは6MTの販売台数が少ないということを指摘されていたというのだが……
そこでスバルは、6速MT用アイサイトの開発を進めて、BRZに搭載することになった。先の開発者のコメントでは「6速MTの販売台数が少ない」とされていたが、BRZは例外で販売比率が高い。6速MTとアイサイトの適合が急務になっていた。
まず、衝突被害軽減ブレーキについては、基本的な制御はATと共通だ。クラッチやシフトレバーの状態に関係なく作動する。仮に衝突被害軽減ブレーキが作動した時に、ドライバーがクラッチを踏まずにエンジン停止しても、車両が停止するまでアイサイトのブレーキ制御を続ける。
衝突被害軽減ブレーキの作動速度は通常は時速1km以上で、ギヤがニュートラルだったり、クラッチが繋がっていなかったりする時は時速8km以上になる。
また、誤発進抑制機能は、クラッチ操作が必要な6速MTには不要と判断して採用されていない。後退時ブレーキアシストも、ATには採用されるが、6速MTには設定されない。それでも障害物に接近した時のクリアランスソナーは装着する。
運転支援機能になる車間距離を自動制御できる追従機能付きクルーズコントロールは、シフトレバーが2~6速に入っていて、時速30km以上での走行中に使える。作動中にシフトレバーやクラッチを操作して変速することも可能だ。
先行車に追従するクルーズコントロールを継続させながら、ドライバー自身が滑らかな変速を行える。例えば先行車が速度を下げた場合、自車もシフトダウンして適切なギヤに切り替えることにより、変速後もクルーズコントロールによる走行を続けられるわけだ。
■AT車用アイサイトと違うのは全車速追従型クルコンではないこと
レヴォーグはCVT用のアイサイト採用で全車速追従型となる
ただし、ATと違って全車速追従型ではない。車速が時速25kmを下回ると、追従機能がキャンセルされる。その代わり6速ギヤを使っている時に速度が下がっても、エンジンは停止しない。
つまり、6速走行時にもエンジンを止めない最低速度の限界が、時速25kmだから、ここまでは制御が続くようにした。それを下回ると制御をキャンセルしてエンジン停止を防ぐ。
このような速度制限があっても、車間距離を自動制御できる追従機能付きクルーズコントロールを利用できるメリットは大きい。6速MTを買う人は運転が好きだから、長距離を移動する機会も多いだろう。クルーズコントロールは疲労を軽減させて、安全性を一層向上させる。
そして、ドライバー自身の変速操作と、高度な運転支援技術とされるクルーズコントロールを融合させると、ドライバーがクルマと協力しながら一緒に走っている実感を味わえる。今までとは違うスポーツドライブの世界が開けるわけだ。
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みんなのコメント
車種別に改良してWRXやレヴォーグにも6MTと一緒に搭載して欲しいです。