■10月に発売予定の新型「レヴォーグ」に搭載の最新アイサイトX
スバルの先進安全装備といえば「EyeSight (アイサイト)」だ。
【画像】コクピットみたいな内装! 超進化した新型レヴォーグをチェック(34枚)
2008年に「レガシィ」シリーズに初搭載されて以来、「ぶつからないクルマ?」のCMとともに先進運転支援システム(ADAS)普及のきっかけをつくった。
そのアイサイトが、Ver.3へと進化を遂げたのは2014年のこと。それから6年が経ち、次世代アイサイトの登場に期待がかかっていたが、ついに今年10月に発表される予定の新型「レヴォーグ」でVer.4ともいえる「アイサイトX」が搭載されることになった。
その実力を正式デビュー前に試乗したプロトタイプで体験した。
アイサイトXで注目すべきは、システムの基本となるステレオカメラを一新したことだ。従来の日立製からスウェーデンのVeoneer(ヴィオニア)製に切り替わり、カメラの画角を約2倍にまで広げて歩行者や自転車などに対する検知範囲を大幅に広げている。
さらに車両の四隅には、前方に77GHzミリ波レーダーを、後方には24GHzのマイクロ波レーダーを装備し、カメラで見えない前側方から近づいてくる車両の検知も可能にした。ただ、前方の検知にはミリ波は使わず、従来どおりアイサイトのみでおこなっている。
見逃せないのが3D高精度マップの採用だ。準天頂衛星「みちびき」からの高精度GPS情報を組み合わせることで、地図情報に基づいた詳細な制御をサポートする。
ちなみにこの地図の採用は、日産「スカイライン」が搭載したプロパイロット2.0に続く2例目だ。このアイサイトXの装備はベースグレードからプラス35万円で装備できる予定で、これはスバルがグレードで安全装備に差を付けない基本姿勢を踏襲するものだ。
このアイサイトXによって実現できた機能は数多いが、なかでもインパクトのある機能が「渋滞時ハンズオフアシスト」だ。
この機能は高速道路走行中、時速50km/h未満の速度域で可能となるもので、ドライバーが正面を見ていることを条件に、ステアリングから完全に手を離しても、車両は先行車に自動追従する。このモード時は停止と発進を繰り返す渋滞でもスイッチ操作なしに追従でき、渋滞時のドライバーに対する疲労軽減に役立つという。
※ ※ ※
では早速、「渋滞時ハンズオフアシスト」を試してみる。試乗はテストコース内でおこない、先行車はスバル側で用意してもらった。
このモードに入るには従来と同じく、ツーリングアシストによるACCモードで走行するようにしておくことが必要だ。ステアリングにある「アイサイトX」スイッチを押し、システムが起動すると、メーター内のアイコンがホワイトからグリーンに変わり、準備が整った。
このまま追従走行して先行車が50km/h未満まで減速すると、自車もその速度に合わせて減速したところでアイコンはブルーに切り替わる。これで渋滞時ハンズオフアシストのモードに入った。
その後は停止からの発進も先行車に続いておこなう。従来のようにスイッチを押したり、アクセルを踏む必要は一切ない。試乗ではこれを繰り返して体験したが、何の違和感もなくスムーズに渋滞走行を繰り返した。
ただしこの動作をしているとき、ドライバーは前方から視線を大きくそらしてはいけない。ダッシュボード中央にある赤外線センサーが目の動きを監視していて、ドライバーが前方を見ていないと判断すると、この動作は中止されてしまう。
つまり、このシステムはあくまで自動運転「レベル2」の範疇にあり、運転中の責任はドライバーにあることを前提としているのだ。
そんな状態でハンズオフのメリットはあるのか? と最初は疑問に思ったが、実際に体験をするとステアリングを握っていなくても済むことの解放感は想像以上に大きかった。これが長時間にわたる渋滞では、その狙いどおり疲労度は大きく違ってくるのではないかと思った次第だ。
■レーンチェンジの自動化も実現した
「アイサイトX」ではレーンチェンジの自動化も実現した。「アクティブレーンチェンジアシスト」と呼ばれる機能で、ウインカー操作をすると周囲の状況をセンサーが安全を確認して車線変更をおこなう。
車線の中央をたどって走行するツーリングアシストとの連続動作もおこない、途切れずに車線変更までアシストするのが最大のポイントだ。また、3D高精度マップを搭載したことで、カーブ手前や料金所に近づくと適切な速度に自動制御する機能も搭載した。
「アクティブレーンチェンジアシスト」での体験は、右車線に出て先行車を追い抜き、元の車線に戻るという一般的なシーンを想定しておこなった。
ステアリングに手を添えた状態でウインカーを出すと、右後方の車両の存在を確認し、その状態はメーター内で表現される。仮に右後方から車両が近づいているときは待機状態となって、それが過ぎるのを見計らってレーンチェンジをおこなった。混雑気味となっている実際の道路では対応がちょっと厳しいかとは思ったが、それは公道でのテスト走行を待ちたい。
カーブ手前や料金所手前での減速は、あらかじめテストコース内の地図を特別に作成したものを使って実施された。速度を100km/h程度で走行中、カーブに差しかかったり、料金所に近づくとシステムが自動的に減速モードに入る。
その減速はとてもスムーズで、アイサイトが積み上げてきた素性の良さはそのまま継承されているようにも感じた。いずれもメーター内にはそれを知らせるアイコンが表示され、不安を感じることはないだろう。
個人的に注目すべき機能と思ったのが「ドライバー異常時対応システム」だ。ドライバーが急病などで運転ができなくなる事例は決して他人事ではない。この機能は、その際の事故のリスクを下げるために搭載されたものだ。
システムの動作条件はツーリングアシスト中や渋滞ハンズオフアシスト中に、車両側からハンズオンを要求してもドライバーが反応しない場合に作動する。
作動すると、システムはまず警告音を発してハンズオンを要求。それでも反応しない場合はハザードランプを作動させて減速に入り、30km/h前後まで速度が落ちたときにホーンを断続的に鳴らして、周囲にその状況を知らせながら停止に至る流れだ。
この時、停止は走行中の同じ車線内でおこなう。一方で、作動してからステアリングに触れればこの機能は中止できる。そのためにステアリングには感知センサーが備えられた。
ここで心配になるのは、仮に追い越し車線などで作動した場合は、かなり危険な状態になるのではないか? ということだ。
これについて担当者は「ここは社内でも議論があったところで、道路状態がわからないまま路肩に寄せるのは別のリスクも生じます。車線変更も安全にできるかといえばその保証もありません。となれば、そのまま向きを変えずに周囲に警告を発しながら、徐々に減速をして停止するのがもっともリスクが少ないのでは」と考えたそうだ。この停止は追突を避けるために、直線路でのみおこなうロジックが組んであるのもポイントとなる。
■日産「プロパイロット2.0」とはどう違うのか
さて、この「アイサイトX」と真っ先に比べられそうなのが、プロパイロット2.0を搭載した日産のスカイラインであり、新型レヴォーグ同様に渋滞時のハンズオフ機能を備えたBMWだろう。
まずスカイラインは、こちらはドライバーが前方を見ていることを条件に、高速道路でのハンズオフ走行を実現したことで注目される。カーナビで目的地を設定し、ルート上で高速道路を走行中、同一車線内であればハンズオフ走行が可能となる。
しかも前方に遅い車がいた場合は追い越しを提案してくれ、ドライバーがウインカーを操作すると追い越して、元の車線に戻ることも提案する。これを高速道路の出口まで続けてくれるのだ。
ポイントは、車両にカメラやセンサーを搭載したことに加え、高精度な3Dマップを活用していることだ。この採用はスカイラインが初だ。日本国内の高速道路を中心とした約4万kmのデータが収録されており、ここには車線ごとの情報や周囲のあるガードレールやポールなど各種施設まで網羅されている。この情報と車両側のセンシングがリンクして高精度に制御するのだ。
高精度マップを使った先読みもあってその走りは驚くほど安定しており、自動運転レベル2のカテゴリーとはいえ、クルージング中の安心感は格別だ。
ではBMWの場合はどうか。30km/h以下の渋滞中にハンズオフを可能としており、考え方は新型レヴォーグと同様、渋滞時の疲労軽減が目的だ。
ハンズオフのスイッチを入れると、ステアリングの左右でグリーンのランプが点灯。これで作動中であることが伝えられる。先行車がいる状態であればそのまま発進と停止を繰り返す。そして、60km/hにまで速度が上がるとこの機能は作動しなくなる。
ドライバーが前方を見ていることが作動条件ではあるが、これは新型レヴォーグも同じだ。違いは新型レヴォーグが複数の制御に対応しているのに対し、BMWではあくまで渋滞時の自動追従でハンズオフを実現しているのみだ。走ることの愉しさをアピールするBMWだけに、せめて渋滞時ぐらいはアシストしようというコンセプトなのかもしれない。
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みんなのコメント
アイサイトだと思ってる奴がたまにいる。
先週横からいきなり突っ込まれたけど少しでも動いているとこっちも過失アリなんだよね
ドラレコ見せたけどどうやって避けるよ?みたない感じなんだがw