この記事をまとめると
■オペルのエントリーモデルとしてラインアップされていた「カデット」
70歳オーバーを筆頭にドライバー全員50歳超え! ニュル24時間レース名物の80年代マシン「オペル・マンタ」の愛されストーリー
■とくに「カデットC」はGMの世界戦略車としていすゞ・ジェミニの名前で販売されていた
■競技車両としてのポテンシャルの高さからWRCでも活躍した
オペルのエントリーモデル「カデット」
2006年に日本市場から撤退して以降、マイナーな存在になってしまったオペル。しかし、ヤナセが輸入していた頃はアストラやヴィータ(本国名コルサ)をよく見かけたし、知っている人は少ないかもしれないけれど、1960年代も我が国ではメジャーな存在だった。
このときのエントリーモデルがカデットで、1937年に初代が登場後、第2次世界大戦後の1962年に復活し、アストラにバトンタッチするまで作り続けられた。
当時のオペルの車名は、ドイツ語で「士官候補生」を意味する「カデット」だけでなく、上級車種は「艦長」の「カピテーン」、「提督」の「アドミラル」など、軍人の職位を表す言葉を使っていた。いずれもナチス・ドイツ時代に生まれ、戦後も引き継がれた。日本と同じ敗戦国でありながら、ミリタリーに対する考え方は少し違っていたようだ。
カデットのライバルはフォルクスワーゲン(VW)のビートル。しかも、当時のオペルはゼネラルモーターズ(GM)傘下ということで、ポルシェ博士による独創的な設計だったビートルとは対照的に、水冷直列4気筒エンジンをフロントに積む後輪駆動で、リヤサスペンションはリジッドアクスルというコンベンショナルな内容となっていた。
そんなカデットに転機が訪れたのは1973年に発表された戦後3代目のカデットC。GMのワールドカー構想の一環として開発され、世界各地で同じボディが生産されたのだ。そのなかに、少し前にGMグループ入りしていたいすゞがベレットの後継車として位置付けられたジェミニもあった。
ちなみにGMの本拠地であるアメリカにはいすゞ製が輸出され、オペルbyいすゞ、ビュイック・オペルなどの名前で販売。オーストラリアでもやはりいすゞ製が展開されていて、現在のグーグルAIと同じようにホールデン・ジェミナイと呼ばれていた。
ボディバリエーションが多かったこともこの世代の特徴で、ジェミニは4ドアセダンと2ドアクーペだけだったが、カデットでは2ドアセダンやセミオープン、3ドアのハッチバックとワゴンもあった。
モータースポーツでは、クーペの高性能版カデットGT/Eのほか、英国版ボクスホール・シェベットの3ドアHS/HSRがWRCに送り込まれており、オペルはマニュファクチャラーズチャンピオンシップで2位に入ったこともある。
前輪駆動に転換したのは次の世代で、兄弟車はボクスホールだけとなった。ジェミニは独自設計のいわゆるFFジェミニになり、こちらが先代同様、アメリカのシボレーやオーストラリアのホールデンなどで販売されている。
最後のカデットになったカデットEでは、当時のトレンドを受けたエアロルックが印象的。ワールドカー構想の影響もあってストップしていた日本への輸入もこの世代から再開され、ホットハッチのGSi、ワゴンのキャラバンに注目が集まった。
日本ではVWビートルやゴルフの人気が根強かったうえに、カデットC/Dではいすゞジェミニの存在もあって難しい立場だったが、このカデットEはオペル初の欧州COTYを受賞し、380万台近くが販売されたというから、成功作だったことは間違いないだろう。
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みんなのコメント
ジェミニって?
という若者のほうが多い気がした。
以上。