現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > トラックドライバーの働き方改革なるか? 「物流の2024年問題」解決策は? 各社の取り組みから見えたもの

ここから本文です

トラックドライバーの働き方改革なるか? 「物流の2024年問題」解決策は? 各社の取り組みから見えたもの

掲載 10
トラックドライバーの働き方改革なるか? 「物流の2024年問題」解決策は? 各社の取り組みから見えたもの

■トラック・物流業界の「2024年問題」その課題は?

 昨今、物流業界の「2024年問題」が話題となっています。現状はどうなっているでしょうか。
  
 日本最大のトラック関連見本市「ジャパントラックショー2024」で各社の問題解決に対する取り組みを見てみます。

【画像】「えっ…!」 これが「謎の小部屋」です。画像を見る!

 まず、改めて2024年問題について紹介しておきましょう。

 国土交通省によると、目的は「自動車運送事業における時間外労働規制の見直し」です。

 トラックドライバーは全産業で比較して、年間労働時間が約2割長く、年間所得額は約1割近く、有効求人倍率は約2倍という状況にあります。

 つまり、重労働の割には給料が安く、成り手が見つかりにくいのです。

 こうした課題について、平成30年6月改正の「働き方改革関連法」で対応することになりました。

 令和6年4月から、労働基準法による、自動車の運転業務の時間外労働について「休日労働を含まず年960時間の上限規制が適用されることになったのです。

 これに加えて、拘束時間なども強化されました。

 厚生労働省がトラックドライバーの拘束時間を定めた「改善基準告示」(貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の対象)によるものです。

 具体的には、1日あたりで、それまでの「原則13時間いない、最大16時間以内」から「原則13時間以内、最大15時間以内」。

 宿泊を伴う長距離運行は週2回まで16時間(14時間超は1週間で2回以内)。

 また、1ヶ月あたりでは原則、284時間・年3300時間以内。ただし、労使協定によって、年3400時間を超えない範囲で、310時間まで延長可能としています。

 このように、2024年4月以降は、トラックドライバーが実働できる時間がそれまでよりも短くなるため、物流における輸送能力が落ちる可能性が考えられます。

 これを一般的に「物流の2024年問題」と呼びます。

 今回の「ジャパントラックショー2024」の出展者は、大手のトラック製造メーカー、荷室部分などを作る架装メーカー、タイヤメーカー、ソフトウエア事業者、そしてリサイクル関連事業者など、製品やサービスの供給サイドの人たちです。

 実際に物流事業に携わる事業者の人たちが全国各地から来場して、2024年問題や、電動化など新しい技術やサービスの最新情報を得る機会となっています。

 来場者に直接お声がけすることは今回控えて、主に出店社の関係者と情報交換しました。

 そうした中で、当然ながら「2024年問題」に対する関心は高く、大きなビジネスチャンスであるという意見が多く聞かれました。

 具体的な製品・サービスでは、日野、いすゞ、三菱ふそうが、運行管理についてハードウエア、ソフトウエア、そしてコンサルティングについてのトータルサービスを提供しています。

 稼働できる時間が短くなったことを、物流事業の各工程で効率化を図ることで、これまでと同様、またはそれ以上の稼働率を確保することが狙いです。いわゆる、DX(デジタルトランスフォーメーション)の分野になります。

 その上で、多く聞かれた声は、「中小のトラック事業者では状況にかなり差がある」という点です。

 トラック事業者業界は、一般的にも名前が知られている大手が数社ありますが、多くは中小企業です。

 そうした中小企業では、手書き書類や電話など、旧来の仕事の方法を続けている場合も少なくありません。

 そこへいきなりDXと言われても、投資できる金額にも差がありますし、DXに対応できる担当者を場合によっては新たに雇用する必要があるかもしれません。

 そこで、中小企業向けには、大規模なDXサービスではなく、いわゆるOA機器を導入するというイメージで、まずは「すぐに事業を改善できるところから着手できる」ところから始められるサービスが徐々にですが増えてきているようです。

 また、大手においては、連結車両を導入するなどして、ドライバーひとりが運べる貨物量を増やす試みや、輸送拠点の最適化、そして長距離におけるドライバー交代の的確化などをDXによって実現し始めているところです。

 この他、軽トラックについては、スズキの「SUZUKI FLEET(フリート)」を紹介していました。

 ベンチャー企業のスマートドライブと連携し、シガライターから電源を取るGPS等のデータ収集機器を使い、専用のソフトウエアで車両の運行管理、共有車両の予約管理、アルコール記録などを行う仕組みです。

 特徴はスズキ車だけではなく、様々なメーカーの車でも利用が可能な点。

 同社関係者によりますと、今後はスズキ車の新車機能に組み込むことも視野に入れているといいます。

 そのほか、国は2024年問題への政策パッケージを様々提示しており、そうした政策を基盤として今後さらに、事業やサービスのサプライサイドから商品揃えが拡充することでしょう。

 それをどう活かすかは、物流事業者それぞれの判断となります。

 その上で、大手事業者同士、または中小事業者同士がどのように事業を連携していくのかが、2024年問題解決に向けた鍵となることでしょう。

こんな記事も読まれています

物流危機で注目「ダブル連結トラック」 これを“2台分の手積み&手卸し”と考えるドライバーは時代遅れだ! 有効活用を直視せよ
物流危機で注目「ダブル連結トラック」 これを“2台分の手積み&手卸し”と考えるドライバーは時代遅れだ! 有効活用を直視せよ
Merkmal
確かに休みは増えたけど……「働き方改革」に苦しむ新車ディーラーの現状
確かに休みは増えたけど……「働き方改革」に苦しむ新車ディーラーの現状
WEB CARTOP
トラックドライバーの声を無視した国の愚策! 望んじゃいない「最高速度引き上げ」「時間外労働の短縮」じゃ物流問題は何も解決しないどころか悪化する!!
トラックドライバーの声を無視した国の愚策! 望んじゃいない「最高速度引き上げ」「時間外労働の短縮」じゃ物流問題は何も解決しないどころか悪化する!!
WEB CARTOP
物流危機対策、まず急ぐべきは現状の「中継物流拠点」「共同配送」のフル活用だ!
物流危機対策、まず急ぐべきは現状の「中継物流拠点」「共同配送」のフル活用だ!
Merkmal
全国6万社、取引総額42兆円規模の自動車業界サプライチェーンで進む「下請けいじめ」是正に向けた取り組み
全国6万社、取引総額42兆円規模の自動車業界サプライチェーンで進む「下請けいじめ」是正に向けた取り組み
@DIME
日時によって通行料を変化させて交通量をコントロール! ロードプライシングは「渋滞緩和」の切り札となるか?
日時によって通行料を変化させて交通量をコントロール! ロードプライシングは「渋滞緩和」の切り札となるか?
WEB CARTOP
お小遣い稼ぎに持って来い? ついに始まった[日本型ライドシェア] 規制マシマシだけど日本には丁度いいんじゃない
お小遣い稼ぎに持って来い? ついに始まった[日本型ライドシェア] 規制マシマシだけど日本には丁度いいんじゃない
ベストカーWeb
高速道「サービスエリア」での“NG行為”何がある? たまに見かける「超・迷惑行動」も? 守るべきルールとは
高速道「サービスエリア」での“NG行為”何がある? たまに見かける「超・迷惑行動」も? 守るべきルールとは
くるまのニュース
新車購入でお馴染みの光景「値引き交渉」はまもなく姿を消す!? 家電で広がる「指定価格」が新車にも導入される可能性
新車購入でお馴染みの光景「値引き交渉」はまもなく姿を消す!? 家電で広がる「指定価格」が新車にも導入される可能性
WEB CARTOP
ホンダ新型軽バン「N-VAN e:」発表! 乗用・商用設定で多需要に対応 200万円切る価格でEV普及目指すモデルに
ホンダ新型軽バン「N-VAN e:」発表! 乗用・商用設定で多需要に対応 200万円切る価格でEV普及目指すモデルに
くるまのニュース
50ccエンジンバイクの新車が国内から消える!! 二重規制で2025年6月に前倒しか?
50ccエンジンバイクの新車が国内から消える!! 二重規制で2025年6月に前倒しか?
バイクのニュース
クルマのバックモニターが義務化されたって知ってた? 非装着車にも後付けが必要?
クルマのバックモニターが義務化されたって知ってた? 非装着車にも後付けが必要?
月刊自家用車WEB
「後ろも”取締り”」可能!? 最近増えてる「“すごい”パトカー」って何? 新「前後レーダー」機能搭載モデル「他地域にも波及」か
「後ろも”取締り”」可能!? 最近増えてる「“すごい”パトカー」って何? 新「前後レーダー」機能搭載モデル「他地域にも波及」か
くるまのニュース
クルマの“リアシール”廃止!? ガラスに貼られる「車庫ステッカー」なぜ無くなる? みんなの反響は? 「車庫証明書」は継続へ
クルマの“リアシール”廃止!? ガラスに貼られる「車庫ステッカー」なぜ無くなる? みんなの反響は? 「車庫証明書」は継続へ
くるまのニュース
【ディーラーに緊急取材!】認証不正問題でヤリスクロスなどが即時出荷停止!ユーザーはどうすればいい?納車待ちはどうなる?
【ディーラーに緊急取材!】認証不正問題でヤリスクロスなどが即時出荷停止!ユーザーはどうすればいい?納車待ちはどうなる?
月刊自家用車WEB
いすゞが新型「スゴい“精悍”モデル」発表! 6000万円超えでめちゃ画期的な「段差なし」×370馬力の「超静音ユニット」採用! 「新型エルガEV」に大反響
いすゞが新型「スゴい“精悍”モデル」発表! 6000万円超えでめちゃ画期的な「段差なし」×370馬力の「超静音ユニット」採用! 「新型エルガEV」に大反響
くるまのニュース
トラックから船・電車へと荷物の積み降ろしなく運べる! 意外と知らない魔法の箱「コンテナ」とは
トラックから船・電車へと荷物の積み降ろしなく運べる! 意外と知らない魔法の箱「コンテナ」とは
WEB CARTOP
使いこなせば一流営業マンも夢じゃない? 紙カタログの廃止で変化する[新車営業術]
使いこなせば一流営業マンも夢じゃない? 紙カタログの廃止で変化する[新車営業術]
ベストカーWeb

みんなのコメント

10件
  • ごうまえのり
    政府や行政側に現状と本質を理解している人がいないのだから無理でしょうね。
  • hou********
    各ディーラーも
    車体値段が同じだし高騰
    この2024年問題は誰が得する法案なのだろう

    本質が全く理解されていない法案です
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村