この記事をまとめると
■東京オートサロン2023にトヨタ車体がランクル40とランクル70を合体させたモデルを出展
最新の300系ランクルじゃダメなワケがある! 80年代に登場した「70系ランクル」がいまだ現役な理由
■メーカー直系のカスタムモデルや独自のサービスを展開する予定だ
■ランクルBASEというメーカー直系のランクルに強いショップを年央に開店させる
旧車オーナーの夢をメーカーが叶えるかもしれない!
2021年に続き、2022年の自動車業界をなにかと盛り上げた4WDマシンがある。そう、トヨタのランドクルーザー(以下ランクル)だ。海外でも人気があるというから、国内向けの生産台数を調整した結果、納期は異例の4年待ち以上となってしまい、ほぼ新車のような状態の中古車は、新車価格の3倍ほどのプレミア価格がつく始末。「納期の長さ」「あまりのプレミア価格っぷり」などなど、まだまだ話題に尽きないクルマだ。
では、なぜこれほど人気があるのか。もちろん昨今の「SUVブーム」というのも理由にあるだろう。また、メルセデスベンツのGクラスや、ジープのラングラーといった大型のゴツゴツしたいわゆるクロカンSUVはとくに人気カテゴリーとなっているので、新型となったランクル300もその類に漏れない1台として扱われている。
もうひとつは、ランクルが掲げる「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」という、生半可な覚悟では言い切れない圧倒的な自信を持って世に送り出されている唯一無二のクルマ、というプレミア性もあるのではないだろうか。実際に、「どこでも整備(修理)できる」「どんな場所でも走り切れる」「そう簡単には壊れない」という信頼性が世界中で高く評価されているのは有名な話。
と、言っても日本ではここまでの使い方はまずされないはずで、「命懸けでランクルに乗っている!」なんて人は、もはやツチノコレベルのユーザーだろう(もしいたら大変申し訳ない)。
そんなランクルだが、なにも人気なのはランクル300だけではない。そう、ランクルには2台の絶対不動のエースがいるのだ。
それが「40系ランドクルーザー(ランクル40)」と「70系ランドクルーザー(ランクル70)」だ。前者は、1960年に販売されたモデルで、無骨でありながらもどこか愛くるしい見た目が特徴的な旧車クロカンのアイドル的1台。とある国民的イケメン俳優が、ドラマ内で愛車として乗っていたことでも話題になった。
後者は、1984年に販売されたランクルの完成形といまでも評価されているランクル界のボス。日本では2004年に販売を終了しているが、2014年に復活するほどの人気があったモデルでもある。ちなみにまだ海外向けに生産が続いているので、約40年間も作り続けられているのである。進化が早い現代の自動車業界においてはあまりにも異質な存在だ。
さて、このふたつのピースが揃ったところで、ランクルを愛して止まない画面前の読者諸氏はあることを夢見るのではないだろうか。「ランクル70の機能を活かしてランクル40に乗りたいなぁ」と。こんなことができたらもう気分は無敵。地球上でもっとも強い人間になれたと錯覚してもおかしくない。
だが、プラモデルじゃあるまいしこんなことできるわけないと、普通の人なら考えるだろう
しかし、今日からはその普通の思考は捨てて結構。責任は取ります。
ランクルをもっと盛り上げたい! それが私たちの夢です!
前置きが長くなりすぎたので本題に入ろう。
そう、「アイドル的存在のランクル40のボディを歴代最高峰であるランクル70のフレームに載せよう」という夢の計画はすでに実行に移されており、そのプロトモデルが今回の東京オートサロン2023でお披露目されたのだ。
紹介するのは、ランクルの企画から開発まで行っているトヨタ車体と、海外向けのランクルへの架装を手掛ける東海特装車が一体となって運営することを予定している「ランクルBASE」が、先陣を切って行ったプロジェクトだ。
ランクルを知り尽くしたのプロ集団が、70のラダーフレームをはじめとしたエンジンやミッションに、40のボディをドッキングさせ、圧倒的信頼性と独特なキャラを融合させるというまさに究極の1台だ。ランクルを手掛けるトヨタ車体だからこそできる芸当。今回はこのモデル関する詳しい話を、トヨタ車体では商品事業企画部、ランクルBASEでは店長を勤める三浦さんにうかがった。ちなみに三浦さん自身もランクルのオーナーで、愛車は80ランクルだという。
まず第一に、ランクルとはいえまったく別の車種である40系と70系のボディとフレームが合体できるのか? というところだが、結論から言えば結構簡単に合体できるとのこと。これは40系のショートボディと70系のショートボディの全長があまり変わらないことがポイントだそう。
ただし、チューニング業界で言われる「ポン付け」とまではさすがに行かず、フレームの位置やステアリングラックの位置などは厳密には合っていないという。また、ラジエターのコアサポートも位置が合わないそう。極端な話をしてしまえば、フレームを切ったりなんなりすれば解決する話なのだが、ランクルBASE側では「70の信頼性は絶対なので、フレームを切るなんて言語道断!」というアツく堅いポリシーのもと、フレームにはボディを載せる際の加工以外はほとんど手を入れていないという。
なので、ラジエターを収めるために今後は40のボディを若干延長することで解決する方向に持っていくという。そのほかにも若干ボディ側の加工を考えているんだとか。
車内はかなり綺麗にリメイクされているが、一部を除いてほとんどがランクル40のものをそのまま使う形となっている。シートは新車のランクル40が装備していたであろう色合いになるよう、独自のレストアを行なっているとのことだ。ミッションまわりはランクル40とランクル70では少々合わないということで、この辺りは切り貼りしている。しかし、言われなければわからないクオリティには脱帽ものだ。
と、こだわり満載のこの夢のようなランクルが誕生した背景には、3度の飯よりランクルが好きという社員が集まる、トヨタ車体の人たちが「自分たちが欲しいランクルを作りたい!」「ショップなどと一緒になってランクルをもっと盛り上げたい!」という夢が、今回のプロジェクトの原動力だという。
なので、1月にプレオープンをし、年央に正式オープンを予定しているランクルBASEでは、ユーザーの声を直に聞いて、どんどんフィードバックして商品に生かしたいというビジョンもあるんだとか。極端な話、今回はランクルが主役となっているが、ユーザーがトヨタのクルマを使ってやりたいと思ったことはなんでも相談を受けて、一緒にその理想を叶えるお手伝いの領域にまで、将来的にできたらという目標もあるそうだ。
チューニングショップなどではできない、トヨタ車体”ならでは”の価値を模索する記念碑的モデルと呼ぶこともできるだろう。三浦さんは「トヨタ車体は現在、”ならでは探し”の真っ只中です」と語ってくれた。
ちなみにこの40ボディのランクル70、「ナンバーって取れるの?」と気にする人が多いのではないだろうか。結論から言うとナンバー取得は問題なく可能だ。どういったカラクリかというと、ランクル特有のラダーフレームにそのヒントがあるという。
じつはラダーフレームの車両はナンバー取得の際に「ベアシャシー」が一番重要視されるそう。なので、ベアシャシーの年式にあった法規に則った装備があればなんら問題なく公道に出られるというのだ。つまりこの車両は、車検証では、形式や車体番号は70ランクルとして扱われるということになる。ランクル40のボディや灯火類を活かしつつ、ベースのランクル70の年代に各所が適合する仕様に改造すればOKなのだ(もちろん手間は掛かるが)。代表例ではシートベルト、フロントウインドウなどがランクル40のままでは難しいそう。ただ、大規模改修は不要とのことで、これはラダーフレームのクルマでしかできない裏ワザと言えよう。
展示パネル上部にある「公道走行不可」の文字は、単に前述したラジエターがないからという呆気ない理由だった。ランクルBASEでは、公道デビューまでを想定して今後マシンをブラッシュアップしていくそうだ。
オートサロン初日に実際に購入を前向きに考えている方もいらっしゃったそうで、注目度の高さが窺える。ただ、ここで注意していただきたいのは価格だ。ランクル40の中古は結構な高額プライスとなっているほか、ランクル70も同様にプレミア価格に近い状態で推移している。それに架装費用などを入れたら、この1台を手に入れるのにどれほどの費用が必要なのか、なんとなく答えは出るはずだ。どちらかをすでに持っているユーザーならまだいいが、ゼロベースで製作となると、2台もランクルが必要なのだ。一般向けのプランとして設定する予定はあるとのことなので、ランクルBASEでは製作の手順などがある程度決まったら受注を開始して、年間数台手掛けられたら……と現段階での理想を語ってくれた(架装自体は結構簡単なんだとか!?)。
ランクル40とランクル70の融合モデル以外に、ランクルBASEのブースでは、大人気で納期が4年以上と言われているランクル300をベースとしたカスタムモデル「ランドクルーザーTLC Custom」を展示していた。こちらは、現在開催中のダカールラリーに出場しているマシンの雰囲気を落とし込んだコンセプトモデルで、ホイールやシュノーケル、セミバケットシート、デカール(参考出品)を装備しており、スポーツ感溢れるランクル300になるように、ランクルを知り尽くしたランクルBASE渾身の1台だ。
実際にダカールラリーで使用しているパーツメーカーと同じアイテムというのもポイントだ。ランクル300のオーナーであれば、デカールと一部パーツ以外はまったく同じ仕様でオーダーできるそう。
なお、今回のダカールラリーはランクル300としては初の出場となるとともに、優勝すれば10年連続チャンピオンという偉業を成し遂げるレースでもあるという。トヨタ車体は例年以上に力が入っている。そういったこともあり、このランクル300は記念モデルという扱いでもあるのだ。
なお、トヨタ車体では「土曜日出勤を実施しており、1台でも多くのお客様にランクル300を早くお届けできるよう尽力しています」と、今回の取材を通して工場の現場の様子を少しうかがうこともできた。
最後の1台は、コンビニなどの宅配でお馴染みのコムスをベースとしたシティコミューター「Fun・COMエクスプローラー」だ。こちらは、商売道具感漂うコムスを、街中を格好良く走れるようカスタムしたモデルで、最終的には市販を予定しているという。
あえて中古のコムスをベースに選ぶことで費用を安く抑えられるほか、循環型社会への貢献も考えての仕様なんだそう。いかにもコンセプトカーのような見た目ではあるが、刈谷ナンバーを取得済みで、このまま公道走行OKだという。
トヨタ車体が営むランクルBASEでは、ユーザーの声を第一に、ランクルをもっと盛り上げるためにこれからもさまざまなイベントや車両開発を行なっていくとのことなので、ランクルファンは今後の動向も要チェックだ。
今回紹介したランクル40とランクル70がひとつになったコンセプトモデルや、ランクル300やコムスのカスタムカーも1月15日(日)まで開催中の東京オートサロンで見ることができるので、興味あるユーザーは会場に急げ!
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みんなのコメント
当時はただの武骨なオフローダー
マイカーにする人は一部のマニア。
パジェロが出るまではファッションにもならなかった
メーカー系列がこういう意味不明なことをするなよ。