7月5日、ダイハツは、新型「ムーヴ・キャンバス」を発表した。フルモデルチェンジの背景を、開発担当者に訊いた。
ひと目惚れする人続出!
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ダイハツのミニバス「ムーヴ・キャンバス」は、約6年ぶりにフルモデルチェンジし、2世代目になった。新型には、内外装が異なるふたつのシリーズ、「ストライプス」と「セオリー」が設定されたのが特徴だ。
ただし、どちらのシリーズも丸みをおびたシルエットや両側スライドドア、豊富なボディカラーなどは先代から継承する。クルマに詳しくない人が先代と新型の2台を見たら、どちらが新型かわかりにくいかもしれない。まさに、“キープコンセプト”という言葉がぴったりだ。
「キープコンセプトの理由は、初代が大変好評だったからです。街中で見たムーヴ・キャンバスにひと目惚れし、ディーラーに来店した人が多かったのですが、これは弊社のクルマでは珍しいケースでした」
新型ムーヴ・キャンバスの開発を担当した松田梨江さん(営業CS本部国内商品企画部)は述べた。
キープコンセプトではあるものの、ユーザーの意見を反映し、各所はアップデートされている。ひとつは、ターボ・モデルの設定だ。
「ムーブ・キャンバスのポテンシャルを高めるため設定しました。『デザインは好みだけど、自宅付近が山道なのでターボがないと買えない』といったターボを求めるが声が多かったんです」
ちなみに、ライバルと目される「ワゴンRスマイル」にターボ・モデルはないから、新型ムーヴ・キャンバスにアドバンテージがある。
エクステリアでは、フロントのエンブレムが変更され、キャンバスの英字ロゴとなった。
「ひと目惚れした人から『車名がわからない』といった声があったため、認知度を高めるために車名ロゴに変更しました。リアにはブランド・ロゴを残しているので、ダイハツのクルマであることが分かるようになっています」
インテリアでは、前席に「ホッとカップホルダー」なる新装備が目玉だ。ホットドリンクをちょうど良い温度でキープしてくれる保温能付きのカップホルダーだ。
「開発時のインタビューで、とくに女性の皆さまから、『身体を出来るだけ冷やしたくない』という声が多かったので採用しました。シートヒーターもGグレード以上に標準です」
輸入車では保温にくわえ、夏場に飲み物を冷やす機能を搭載したモデルもあるが、「その機能を求める声はありませんでした」だそう。
新たに追加したセオリーの特徴とは?
「より上質なクルマとして開発しました。メッキの加飾や本革巻きステアリング・ホイールなどがストライプスにはない装備です。ボディカラーは、ストライプスと異なりモノトーンのみで、かつ落ち着いた色調が多いのも特徴です」
ちなみにセオリーとストライプスで、価格差はない。セオリーの装備が充実しているのになぜ? と、思ったが、ストライプスは先代でオプションだった2トーンのボディカラーが標準化されたからだ。
「先代では約7万円相当のオプションでしたが、ほとんどのユーザーが(2トーンを)選んでいたのと、セオリーとの差別化をはっきりとさせるため、新型では標準にしました。とはいえ、装備レベルを考えると先代との価格差はあまりありません」
ストライプスとセオリーの販売比率は半々を、ターボ・モデルは、総販売台数の20%を目指すという。
新型ムーヴ・キャンバスは、一見すると変化に乏しいが、実はユーザーからの声をしっかりと吸い上げ、それらを細かく反映した意欲的なクルマなのだ。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
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