「逆輸入車」ではなく「逆輸出車」?
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
【画像】よくぞ綺麗に所有されました! 今ならヨダレものの輸入ドイツ車4選【値上がり傾向】 全150枚
「逆輸入車」という言葉をお聞きになったことがある方は少なくないと思うが、今回のテーマは「逆輸出車」である。
逆輸出車とは日本に輸入/販売/登録/使用されてきた輸入車を再び生産された国を中心とする海外へ、中古車として輸出された状態のクルマだ。
「もともと海外から輸入されたクルマを本国に『輸出』して販売するってどんな意味があるの? 現地にだって当然、たくさんの中古車はあるでしょう?」
そう思う方もいるだろう。
しかし、日本からの逆輸出車は実は大きな意味がある。「日本で長年使われてきた中古車」であることに価値があるのだ。
日本車、外国車含め数多くの良質な中古車を海外へ輸出している「ユーティリタス(東京都小金井市)」の池谷祐一代表はこう話す。
「昨今、日本から海外へ輸出される中古車は年間130万台にのぼります」
「輸出先として台数が多いのはアラブ首長国連邦、ニュージーランド、ロシアの順ですが、その多くは日本の使用過程車を一般的な中古車として再販しているのが現状です」
「一方で一般的でない中古車、特殊な価値を有する日本の中古車というジャンルの輸出もあります」
「全体からするとわずかではありますが、25年ルールでアメリカに輸出される日本のスポーツカーなども含まれます」
「そして今、注目されているのは日本で正規販売された外国車を本国に逆輸出するパターンです」
極上のドイツ車を「逆輸出」 なぜ?
ちなみに、中古車の輸入を禁じている国はアジア(中国/タイ/インドネシアなど)や中南米(チリ/メキシコ/ブラジルなど)を中心に多い。
統計上は台数が多い南アフリカ等も商業目的の中古車は実質輸入禁止だが、同国を経由して第三国へ再輸出されている。
アメリカは25年経てばOK。欧州も左ハンドルであることや排ガステストなどをクリアすれば日本からの中古車輸入を認めている国はドイツを中心にいくつかある。
「日本ではバブル時代にお金持ちが購入しガレージの肥やしにしてきた車が多数存在します」(ユーティリタスの池谷祐一代表)
「都内の一等地に建てられた豪邸のガレージに鎮座していたメルセデス・ベンツSクラスなどは、車検のたびに数十万円の整備が行われ、年間走行距離は数千km、こんな極上中古車が存在するのは日本だけですよ」
池谷氏は過去にアメリカで正規販売されたメルセデスやBMW、ロールス・ロイスなどをアメリカに逆輸出し、アメリカ人のマニアに販売したこともあるそうだ。
「日本で低価格で仕入れた極上中古車を欧米諸国のマニアに販売しました」
「マニアといっても、欧米では古くからビンテージカーに対して固有の価値を有していますので、お金持ちがそれらを所有するというステータスは日本に比べごくごく一般的なことなのです」
ドイツの中古車販売サイト「Auto Scout24」で探してみると、日本からの輸入車を数多く見つけることができる。
日本国内の輸出業者に話を聞いてみた
例えば、メルセデス・ベンツ500E(1993年登録)は走行距離12万5090kmで約505万円。
少し新しい2009年登録のメルセデス・ベンツE 63 AMGは3万1000kmで約433万円。
いずれも説明書きには、「日本からの輸入」であることが明示されており、整備記録簿の内容が抜粋されて記載されている。
実際にドイツへ日本で使われてきたドイツ車を輸出している日本国内の業者「Elite Auto Export Japan(千葉県千葉市)」に実情を聞いた。
――日本で使われてきたドイツ車がドイツで高い評価を受けていますか?
「日本で使われてきたドイツ車は走行距離が少なく、メンテナンスもしっかりと行われていることが多いので品質も非常に良いです」
「そのような極上の中古車が欧州では信じられないほど安い値段で手に入ります」
「たとえば1997年のポルシェ993。ドイツで乗る人は、おそらくアウトバーンを一生走り続けるでしょう。当然、距離も伸びますね」
「しかし、東京では多くが週末にだけ運転されており、距離は少ないです。97年のポルシェ993、しかもミントを見つけることができます」
※ミント=mint conditionの意味。コンディションが極上の中古車を意味する。
――ドイツに輸出する手間や経費を考えても取引が成立するのですね?
「年式が古いというだけでポルシェでもメルセデスでも格安で入手できますし、輸入に関わる経費も高額な価格ではありません」
「ドイツメーカーが作ったクルマですから手続きもスムースです。そして、ドイツではそんなクルマに対する需要があります」
逆輸出は年々増加 品質以外の要因も
――日本からドイツに逆輸出するのは左ハンドルだけですか?
「はい。わたしが携わってきたドイツ車に関しては左ハンドル車のみです」
――ドイツで人気のある日本からの輸入車はどんな車種ですか?
「90年前後のメルセデス・ベンツSクラス、SLなどと空冷エンジンを搭載していた時代のポルシェですね」
「15年以上経過したものが特に人気があります。理由は、価格と品質のバランスが素晴らしいからです」
それにしても日本から海外に輸出される中古車は年々増え続けている。(逆輸出車はまだまだ少数だが)
この理由は何だろうか? もちろん、品質や価値が認められていることは当然あるだろう。
前出の池谷氏いわく、
「この10年でインターネットの環境が激変し、世界各国から日本の中古車をダイレクトに購入できるようになりました」
「ひと昔前ならデジカメで撮影した車両の写真をPCからメールに添付しエンドユーザーに中古車情報を送る方法以外方法がありませんでした」
「しかし、今はスマホで撮影しながらリアルタイムで映像を全世界のお客様に見せることも可能です」
日本で使われてきたクルマに対する安定した評価に加え、情報入手の方法がひと昔前とは激変したことがついには、「逆輸出」という現象まで生み出してしまったようだ。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
高速道路を「トラック横並び完全封鎖」で渋滞…むかつく風景が日常茶飯事な「意外な理由」とは? 逆に嫌がらせしたら「免許返納」レベル! 思わぬ「うっかり交通違反」にも注意
日産復活のカギはやっぱり[新型マーチ]!? ヤリスやフィットを超えるコンパクトカー誕生なるか!? 2025年度に発売確定!
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
インテグラなのにおっさんセダン! マークXなのにFF!! 名前は「名車」中身は「迷車」なクルマ4選
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント