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デリカミニ公道試乗 高速もラフロードもおまかせ! 新型スーパーハイト軽の実力とは

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デリカミニ公道試乗 高速もラフロードもおまかせ! 新型スーパーハイト軽の実力とは

車種別・最新情報 [2023.07.14 UP]


デリカミニ公道試乗 高速もラフロードもおまかせ! 新型スーパーハイト軽の実力とは
事前の予約注文で1万6000台を超える台数を集めるなど、好調なスタートを切ったデリカミニ。これほどの人気を集めているのは、ひと目で“デリカ”と分かるデザインの影響もあるが、走りや使い勝手が優れていることも大きい。スーパーハイト軽の勢力図を塗り替える可能性も十分にある。東京~茨城街道のロングドライブでその実力をチェックしてみた。

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●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭史


MITSUBISHI デリカミニ
●主要諸元 (T Premium 4WD) ●全長×全幅×全高:3395×1475×1830 ●ホイールベース(mm):2495 ●車両重量(kg):1060 ●パワーユニット:659cc直3DOHCターボ(64PS/10.2kg・m)+モーター(2.0kW/40N・m) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:17.5km/ℓ ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)/リーディングトレーリング(R) ●サスペンション:ストラット式(F)3リンク式(R) ●タイヤ:165/60R15


MITSUBISHI デリカミニ 公道試乗インプレッション

細かな部分まで“熟成”を感じるブラッシュアップモデル
ハイトボディを苦にしない侮れない高速走行適性
 日産と三菱が出資した合弁会社「NMKV」の手により、世に送り出されるデリカミニ。まず興味深いのは、eKクロス スペースとのキャラ設定の違いだ。

 eKクロス スペースは押し出しの利いたフロントマスクでプレミアム感を強調したイメージだが、一方、デリカミニはSUV的なタフネスや機能感を強く出している。この違いは”都会志向“と”アウトドア志向“と言い換えてもいいだろう。嗜好的な判断としては、eKクロス スペースは、スーパーハイト軽が持つ「カワイイ」要素の払拭であり、デリカミニは「カワイイ」要素と機能感との融合を図ったとも言える。

 メカニズムやパッケージ的には、新ブランドとはいえeKクロス スペースの改良仕様の感は否めない。悪路対応力の強化を狙いとしたサスチューンの変更が加えられているが、キャビン実用性や基本的な走行ハードウェア構成はそのまま継承されている。

 室内寸法やインパネ周りのデザイン、シートの基本機能などはeKスペースとも共通仕様。全てのグレードでシート表皮が撥水仕様になっているのは、アウトドアレジャーを意識したモデルらしいコダワリで、男性4名の乗車にも不足ないスペースを持ち、見晴らしの良さも良好だ。スーパーハイト軽の中でもトップクラスのキャビン実用性を備えているなど、eKクロス スペースで評価されていた秀逸な使い勝手も、そのまま継承した格好だ。

 試乗したのはターボ仕様の上級設定となるTプレミアムの4WD車。eKスペースにはターボ車の設定はないので、ターボ+スーパーハイトの組み合わせはデリカミニのみになる。

 まず、東関東自動車道で高速動力性能を試してみたが、平地走行なら制限速度いっぱいの110km/hでの巡航も余裕十分。速度を100km/h前後に抑えると、その余裕がさらに増す印象だ。一般的なスーパーハイト軽だと、平地100km/h巡航で心もとなく思えるシーンがあるのだが、デリカミニの高速域での余力や扱いやすさは段違い。マイパイロットのACC設定上限速が115km/hということは少しもったいなくも思うが、ACCの速度制御は巧みで、ドライバーの負担軽減に貢献してくれる。

 100km/h超巡航でのもうひとつのポイントは直進安定性。これもマイパイロット任せでも構わないが、素の実力を知るためにオフの状態で走ってみた。

 スーパーハイト軽は、重心が高く、側面の面積も大きくなるため、横風の影響を受けやすい。乗り心地重視でサスを柔らかめにセットすると、スタビリティ性が低くなる傾向がある。実際、デリカミニも直進の据わりは甘めで、走行時に微妙な揺らぎを感じてしまう。ただ、車線変更やコーナリング時のロール抑制は上手に効かせるタイプで、ラインコントロールも落ち着いている。軽自動車としては高速長距離用途適性は良好だ。背高で重心が高いスーパーハイト軽にもかかわらず、高速走行を苦にしないことは、デリカミニのセールスポイントといえるだろう。

悪路を意識した設計でラフロードも余裕十分
 ”デリカ“と名乗る以上、ラフロードの走りも気になる。パッケージは、FF車はeKスペースとタイヤサイズも最低地上高も同じだが、4WD車は約20mm外径の大きなタイヤを採用している。それでいて最低地上高の差が少ない(FF車が155mm、4WD車が160mm)のは、ある程度の悪路走破を考慮してデフ容量に余裕を持たせたことで大きめのサイズになっているためだ。

 さらに4WDシステムは軽自動車としては標準的なVCU(ビスカス・カップリング)式だが、前後輪の回転数差によって発生する後輪トルクを巧みに制御するタイプを採用。路面抵抗が少ない状況でも安定性や接地性を感じる特性は、これまでミツビシが積み重ねてきたオフローダー開発のノウハウを活かした設計の賜物といえる。

 このこだわりぶりはサスチューンでも同様。段差のあるダート路での試乗も試みたが、段差の乗り越えや落ち込みでの衝撃が少ない。兄貴分のデリカD:5には及ばないが、ドタバタしない4輪の接地感が頼もしくもあり、走行時のストレスも減少してくれる。さすがに本格的なクロカン走行は無謀だが、キャンプ場などで遭遇しがちな少々荒れた路面程度ならば、気にすることなく進むことができる。スーパーハイト軽としてできる範囲で、最良の悪路対策が施されている。

 この接地安定や衝撃の往なし感、4WDシステムの駆動トルク変動の抑制は、オンロード走行でも利いており、このことも高速長距離適性の向上に繋がっている。

 デリカミニを遠隔地へのレジャーの移動手段として考えているならば、例えターボ車を選択したとしても、走行性能は乗用車のSUVには及ばない。だが、キャビン&荷室のユーティリティ性能はかなりレベルが高く、デリカミニが勝るという部分も多い。短中距離のアウトドアレジャーやタウンユースの比重が高いというユーザーには、デリカミニのほうがウェルバランスとも言える。ファミリーはもちろんのこと、上級クラスからの乗り換えを考えているダウンサイザーにとっても、デリカミニは見逃せない一車になりそうだ。


NA車もターボ車も、小型モーターが組み合わされるマイルドハイブリッド仕様。上級グレードのプレミアムには運転支援のマイパイロットも標準となることも強み。スタビリティに富んだ特性もあって、高速長距離をあまり苦にしないタイプであることも心強い。

背高なパッケージだが安定感も良好。路面からの凸凹の突き上げ感も少なめだ。衝撃を巧みに往なすサスチューンの恩恵は、ラフロードでも強く実感できる。

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