1991年公開のシリーズ第2作『ターミネーター2』(原題:Terminator 2: Judgment Day)で、シュワちゃんが演じたアンドロイドT-800・モデル101が乗っていたバイクが何のモデルか、バイク好きなら気になりますよね。
ホイールのデザインが特徴的なハーレー
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シュワちゃんが乗っていたのは1991年型ハーレー・ダビッドソンFLSTF FAT BOY(ファットボーイ)というモデルです。 ファットボーイは1990年型でデビューしたハーレーの「ファクトリーカスタム」(その名のとおり、メーカー自らが作ったカスタムモデルのこと)で、エンジンは「エボリューションエンジン」と呼ばれる1340ccのV型2気筒です。
ちなみに、敵の液体金属アンドロイド・モデルT-1000が乗っていた白バイはカワサキKZ1000P(「P」はPOLICEのこと)。『白バイ野郎ジョン&パンチ:CHIPS』でおなじみのバイクですが、KZ1000Pはカリフォルニア州などで実際に数多く配備されていました。
昔はアメリカで白バイといえばハーレーでしたが、KZ1000P登場以降は見かけなくなり、その後はBMWが主流になりました。これは多くの国で共通する傾向です。 さてファットボーイに話を戻すと、車体は「ビッグツイン」と呼ばれる大排気量シリーズの中のひとつ「ソフテイル」系に属します。 ソフテイルの車体は1984年型でデビューしたもので、昔のリヤサスペンションなしのリジッドフレームのようでいて、実は2本のリヤサスペンションがエンジン下にある構造が特徴です。
名前はSoftとTail(尾っぽ)を合わせて、中間の「t」をひとつにした造語です。昔のリジッドフレームは乗り心地がハード(カタい)こともあって「ハードテイル」と呼ばれていたのに対し、リヤサスペンションがあって乗り心地も良いことから「ソフテイル」となったのです。
ワイルドな見た目に反し「ファットボーイ」というややファンシーなネーミングは、前から見たときかなりワイドでだから、という説がありますが、親しみを込めて「ちょっと太っちょ君」といったところでしょうか。 「ファット」のネーミングは、1979年型FXEFファットボブ・スーパーグライドもそうですね。こちらはエンジンが1200cc→1340ccになって大きくなったことが理由か、1960年代のボブキャット(2ストエンジン)から大きくなったからという意味かもしれませんが。
ちなみに、ソフテイル系のファクトリーカスタムは1986年の途中から発売した「FLSTヘリテイジ・ソフテイル」が大ヒット。 スタイルは完全にクラシックで、リジッドフレーム+パンヘッドエンジンの名車「ハイドラグライド」の復活と喜ばれたのです。 さらに、フロントサスペンションにテレスコピックフォークではなく、1948年まで使われていたスプリンガーフォーク(ボトムリンクで、スプリングとダンパーは上部に配置)を採用したスプリンガー・ソフテイルを1988年に限定的に販売し、1989年型では正規にラインナップしました。
ファットボーイはその「FLSTヘリテイジ・ソフテイル」を現代的にカスタムしたモデルで、前後ホイールはデッシュ、マフラーは上下に2本並ぶショットガン。余計な飾り付けは省いて、シンプルなデザインとした辺りがポイントです。 カラーリングは最初期型1990年型がファイン・シルバー・メタリックで、フューエルタンクのマークは、伝統的なハーレーのものではなく、カスタムルックなミリタリー調になっています。
映画をきっかけにカラーリングが生まれた可能性も
『ターミネーター2』作中に登場するファットボーイはカラーリングは5バリエーションに増えた1991年型、その中の「ビビッドブラック」ですね。
アメリカ本国での映画公開が1991年7月3日なので、当然撮影はもっと前。すると1991年型として発売するカラーリングをハーレーが事前に用意したことになります。 普通は数年前から撮影に入って、1年ぐらいは編集作業しますが、映画に登場するとなれば大きなプロモーション活動になるので、ハーレー側もそれぐらいはやったでしょう。
もしかかしたら映画撮影用だったカラーリングを1991年型に加えたか可能性も……。いずれにせよ映画は超大ヒット、ファットボーイも売れに売れました。 映画のファットボーイは見る限りスタンダードの状態でしょう。ハードなシーンもある撮影用バイクは何台も予備車を用意しないといけないので、スタンダードの方が楽ですから。 あの伝説の映画『イージーライダー』に登場するパンヘッドのチョッパーも同じタイプが数台あったようで(壊すシーンもあるからです)、現存するピーター・フォンダが乗ったキャプテンアメリカ号がアッチでも、コッチでも、コレこそ本物!って言っているのはそんな理由もあるからでしょう。(昔デイトナで展示されたのは、デニス・ホッパー所有の1台だから本物と、彼の友人のカメラマンが解説してくれました)
さて、ファットボーイは現在も人気で最新モデルも存在します。2020年型ファットボーイ114は1868cc空冷45度VツインOHV4バルブの「ミルウォーキー・エイト」エンジンを搭載。 ソフテイル系の車体は2018年型で一新され、リヤサスペンションが見えないリジッド風デザインは同じですが、リヤサスペンションは1本になって、シート下に配置されています。この新世代ファットボーイの乗り心地はとても快適です。
なお余談ですが、実は昔のリジッドフレームでも見た目ほどハードな乗り心地ではありません。 スプリングで支えられているシートや太いタイヤのクッション性がかなりあって、加えてフレームも適度にしなるので、キレイな舗装路なら問題なく走れちゃうんです。また、リヤが無駄に動かない分、切り返しがスポーティだったりしてけっこう楽しめます。
ちなみにハーレーの「ファクトリーカスタム」路線は、創業者の孫ウイリー・G・ダビッドソンが1977年型としてデビューさせたFXRローライダーとカフェレーレーサーXLCRから始まりました。 彼はハーレーのデザイン部門の責任者で、その後もワイドグライド(1980年型)、ヘリテイジ・ソフテイル、ファットボーイと話題作を生み出していきます。
そしてヘリテイジ・ソフテイルやファットボーイをプロデュースしたころは、毎年3月、全米のライダーが集まると言っても過言ではない一大バイクイベント「デイトナバイクウィーク」に、本人が次期モデルと思わしきバイクに乗ってフラッと現れ「コレ、どう?」なんて言うわけです。
まあ、リサーチでありプロモーションでもあったのでしょうが、その後、彼が乗って来たバイクが実際に製品になってしまうので、ファンは大喜びです。 ウイリー・G・ダビッドソンはこういうパフォーマンスが得意でした。ですが、それ以上に彼のカスタム愛も本物でした。ファットボーイはその代表作で、根っからのハーレーファンにはファットボーイは「シュワちゃんのバイク」というのもさることながら、「ウイリー・G作品」として愛されています。
(レポート●石橋知也 編集●モーサイ編集部・上野)
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