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夢の広がるクルマ──新型メルセデス・ベンツEQB試乗記

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夢の広がるクルマ──新型メルセデス・ベンツEQB試乗記

メルセデス・ベンツのピュアEV(電気自動車)「EQB」が改良を受けた。最新モデルに小川フミオが乗った!

EQAとの違いは重厚感

電気の“小ベンツ”の進化──新型メルセデス・ベンツEQA試乗記

3列シートのバッテリー駆動SUVという、使い勝手の良いモデルがメルセデス・ベンツEQBだ。2024年6月にマイナーチェンジを受け、バッテリー容量が拡大してパワーアップするともに走行距離が延びた。

24年7月に試乗したのは、EQB250+。ほぼ同時に発表されたEQA250+と同様、従来モデルより性能が上がったため、車名に“+”が追加された。140kW(190ps)の最高出力と385Nmの最大トルクは、EQA250+とおなじ。ただしこちらはホイールベースが100mm長い2830mmだ。

EQB250+のよさは、(少なくとも2列目までは)余裕ある室内空間。天井はとても高く、レッグルームもスペースがあり、ピープルムーバーとしての機能性が高い。

スペースにくわえて、静粛性の高さと、乗り心地のよさもEQBの美点。おなじBEVのファミリーに属するEQA250+に対しても、EQB250+のほうが、サスペンションの動きかたとかステアリングの操舵感に重厚感があった。

フロントグリルにスターパターンが採用されると同時にLEDのシグネチャーライトがゆるやかにカーブを描きながらフロントマスク全体を横切るように配されたデザインテーマは、EQAと共通。リヤのコンビネーションランプもやはり、左右を横断するデザインで、一目で新しいEQBと知れる。

全高は1705mmあり、ボクシーな印象のボディデザインだが、タイヤの存在感が強調されている印象で、意外なほど躍動感がある。実用性は高いが、いっぽうでスポーツアクティビティを好む人をメインターゲットにしているような、上手なデザインだ。

インテリアは、タービン型などと呼ぶエアコンのアウトレットが目をひく。若々しいイメージだ。もうすこしデザインに統一性があっても良いように思わないでもないが、さまざまなパーツをコラージュのように組み合わせたようなダッシュボードは、ある意味、このクルマのキャラクターだ。ここにもスターパターンが配されているのが新しい。

いざという時の3列目シートなにより印象的だったのは、パワー感。ドライブモードがコンフォートモードで、かつアクセルペダルを強く踏まなくても、車体はモーターの力でグイグイという感じで加速していく。

坂道や大型駐車場のスロープを下るときは、ハンドルのコラムから生えているブレーキ用パドルを操作して、回生ブレーキの強度を調節すればよい。

ブレーキペダルに足を置き換えなくても、パドルを操作すれば、アクセルペダルをゆるめるだけで制動が効く。あまりにもスムーズでかつ速いので、パワフルなガソリンエンジン車がスポーツシューズだとすると、こちらはアイススケートシューズを連想したほど。

EQBの特徴は、もうひとつ、利便性だ。さきに触れたとおり、3列シート&7人乗りのパッケージがセリングポイントになっている。ただし3列目シートはかなり窮屈。いざとなれば乗れないことはないけれど、むしろ畳んでおいて、ふだんは大きな容量の荷室にキャンプ道具とか、趣味のものを積んだほうが、このクルマのよさを堪能できるかもしれない。

いろいろ夢の広がるクルマ。それが、新しくなって、車名に“+”がついた、メルセデス・ベンツEQB250+なのだ。

文・小川フミオ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)

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