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12気筒のヴィラージュと8気筒のヴァンテージS。どちらのアストンマーティンも悪いわけない【10年ひと昔の新車】

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12気筒のヴィラージュと8気筒のヴァンテージS。どちらのアストンマーティンも悪いわけない【10年ひと昔の新車】

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、アストンマーティン ヴィラージュとヴァンテージSだ。(タイトル写真はヴィラージュ)

アストンマーティン ヴィラージュ & ヴァンテージS(2011年:ニューモデル)
1913年からスポーツカーを作り続けているアストンマーティンから、2台のニューモデルが発表された。12気筒のヴィラージュと8気筒のヴァンテージSだが、その国際試乗会はスペインの南部で開催された。

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まずはヴィラージュ。DBSとDB9の中間を埋めるブランニューモデルだ。ボディサイズは全長、全幅とも日産 GT-Rよりやや大きめ。クーペは2+2シーターを標準に、オプションで2シーターが選べる。コンバーチブルはヴォランテと呼ばれ、こちらは2+2のみの設定だ。

フロントに搭載されるパワーユニットは6LのV12 DOHC。6速ATの「タッチトロニック2」はトランスアクスル方式で車両の前後バランスを50:50にしている。

スタイリングは最近のアストンマーティン車に共通のイメージだが、フロントのリップスポイラーと左右に続くサイドステップが他モデルとの識別点になっている。アストンマーティンの特徴の一つとして、ドアは左右とも真横ではなく、12度斜め上方へあがりながら開く。だからヴィラージュも乗降性がとても良い。

室内は熟練工が手縫いした高級なマテリアルがクルマを覆っている。インテリアだけでも70時間もの時間をかけて仕上げられているという。クリスタルとアルミで造られたキーをインパネ中央にあるキーホルダーに差し込み、スターターボタンを押す。

シフトはレバーではなく、センターパネルのP/R/N/Dの各ボタンを押す。マニュアルモードはパドルレバーを用いる。さらにダンパーの減衰力を調整するADS(アダプティブ ダンピング システム)やATのシフトタイミングを制御するsportスイッチも備わる。

スタートはDレンジ+ノーマルモードを選択。V12エンジンは6500rpmまでスムーズに上昇、5速6000rpmで250km/hに達する。乗り心地はノーマルモードでも硬さはなく、安定感も抜群。さすがアストンマーティンの最新モデル、と感心した。

クーペに続いて試乗したヴォランテはオープンカーとは思えないほどにボディ剛性が高く、ハンドリングも素晴らしかった。今回のヴォランテはクーペとは別の開発チームが担当し、独自のセッティングを行ったという。それが功を奏したのだろう。

サーキット走行用モデルでもコンバーチブルを設定
もう1車種のヴァンテージSは、2005年にV8エンジンを搭載して「ベイビー アストン」と呼ばれて登場したヴァンテージをベースに、主にサーキットを走って楽しむことを目的にしたモデルだ。とはいえ、クーペだけでなくコンバーチブルのヴォランテも設定されているところがアストンマーティンらしい。

7速セミATの「スポーツシフトII」はギア比をローギアード化し、サスペンションも硬められ、ブレーキも強化されている。シートはボディカラーとコーディネートされた、本格的なバケットタイプが装着されていた。もちろんパワーユニットにも手が加えられており、ベースのヴァンテージよりも最高出力は10ps、最大トルクは20Nmもアップされている。

サーキット走行が主目的とはいえナンバーのついたクルマだから、まずは街中で乗り出してみる。市街地走行のレベルでは、ヴァンテージSのステアリングはかなり重い。サスペンションは上下の突き上げも強く、乗り心地はけっこう硬い。おまけにシングルクラッチのセミATは変速時のシフトラグもあり、あまり良い印象ではなかった。

しかし、サーキットを走らせると、その印象は一変する。硬めの乗り心地も思いハンドルも気になることはなく、ホールドの良いバケットシートと強烈に効くブレーキの恩恵を受け、時間を忘れるほどに周回を重ねてしまったほどだ。これほどまでに本格的にサーキットを攻めることのできるアストンマーティンは、少なくとも市販モデルでは存在しなかったからだ。

叶うことならば、ヴィラージュ ヴォランテを普段の足として乗りまわし、休日にはヴァンテージSでサーキットへ行ってスポーツ走行を楽しむ。そんなアストンマーティン三昧の生活をしてみたい・・・などという夢を見させてくれた試乗会だった。

■アストンマーティン ヴィラージュ クーペ(欧州仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4703×1904×1282mm
●ホイールベース:2740mm
●車両重量:1785kg
●エンジン種類:V12 DOHC
●排気量:5935cc
●最高出力:365kW<497ps>/6500rpm
●最大トルク:570Nm<58.1kgm>/5750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●EU総合燃費:未発表
●タイヤサイズ:前245/35R20、後295/35R20

■アストンマーティン ヴァンテージS クーペ(欧州仕様) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4385×1904×1282mm
●ホイールベース:2600mm
●車両重量:1610kg
●エンジン種類:V8 DOHC
●排気量:4735cc
●最高出力:321kW<436ps>/7300rpm
●最大トルク:490Nm<50.0kgm>/5000rpm
●トランスミッション:7速セミAT
●駆動方式:トランスアクスル式FR
●EU総合燃費:7.8km/L
●タイヤサイズ:前245/40R19、後285/35R19

[ アルバム : アストンマーティン ヴィラージュ & ヴァンテージS はオリジナルサイトでご覧ください ]

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